37 / 158
真弓先生の策略
しおりを挟む
僕が三階のポスターを全て張り替えて部室へ戻った時、他の部員はすでにそろっていた。どうやら僕が一番最後だったらしい。
「カズ、おせーぞ、一応仮でスタメン決めてみたんだけどよ」
「いやあ、このマネちゃんいいとこ見てるわ、良かったな」
「いえいえ! そんな! 私は皆さんのために一生懸命考えただけです!」
「でも…… 褒めてもらえるのは嬉しいですね!」
木戸の言った良かったな、の意味はわからないが、おおよそのスタメンが決まったらしく、次の練習試合まではこのメンバーをスタメンと想定した練習をしていくことになった。
しかしマネージャーの由布は相変わらず声がデカい。このままだと野球部員全員が難聴になってしまいそうだ。
気を取り直して僕がメンバー表を見ると、昨日由布が言っていたのとほぼ同じだったが、木戸の配慮だろう、三年生が全員スタメンに入っていた。
「一応試合だから全力でやることにはなるんだけどさ、せっかくだから一年生も出してやるつもりだ」
「投手は六回までカズ、七回は木尾でいいな、もし時間があって九回までやることになったら調子次第ではそのまま投げさせよう」
「そうだな、相手の矢島実業は格上だから胸を借りるつもりで思い切っていけるかもな」
「ここで打たれて自信失うくらいならそこまでの器だしさ」
「チビベンは厳しいな、自信失って控えのピッチャーがいなくなると僕は困るんだけど」
「でもどちらにせよ投手はもう一人くらいほしいね」
「じゃあ明日は一年生全員のピッチング見てみるか」
「すぐにものにならなくてもいいんだからよ」
「丸山の後輩はどうなんだ? 肩はよかったよな?」
「ああオノケンな、あいつ地肩はいいけどノーコンだよ」
「中学の頃もピッチャー志望だったけど、練習中にデッドボール連発して外されたくらいだからな」
「ノーコンは困るな、まあとにかく明日の練習で全員見てみよう」
「と言うわけで今日は解散、おつかれー」
「うぃーっす、おつかれー」
こうして僕達は今日の練習を終えてそれぞれが帰宅の途についた。木戸と丸山、由布は電車通学で同じ方面なので一緒に帰っていく。チビベンも乗る電車は反対方向だが駅までは一緒だ。
野球部の二年生の中では徒歩通学の僕が一番近い。同じ中学だった一年生の倉片もそう変わらないだろう。隣の中学出身のハカセは、僕とは反対だがやはり徒歩で来ている。
僕も早く帰らなくっちゃ、きっと咲が待っていてくれる。そう思うと足取りも軽くなり、戸締りを済ませてから職員室へ向かった。
職員室にはまだ数人の教師が残っていた。運動部の顧問はどうしても遅くなるのだろう。まったく頭が下がる思いだ。
「あら吉田君、遅かったわね、ミーティングだっけ?」
「はい、お待たせしちゃってすいません」
「仮オーダーまではできたので明日からシートノックやっていきます」
「それは何よりね、それよりあの子どうだった? 問題起こさなかったかしら?」
「ああ、マネージャーのことですよね? 今日は特に何もなかったです」
「結構細かいところまで見てて、今日帰ってから選手名鑑みたいなのにまとめてくるって言ってました」
「あら、佐戸部君の仕事が減るわね、これで成績上がるといいんだけど」
「もちろん君達全員が良くなることが望ましいわよ」
「あ、そりゃそうですよね……」
「吉田君も英語くらいはきっちりやんなさいよ、夢はメジャーリーグなんでしょ?」
「英語ができて損はないわよ」
真弓先生が言った言葉を聞いて僕は咲の言葉を思い出していた。
夢を目標に変える、か。確かに夢を語ることは簡単だ。しかしそれは実現可能と思っていないということなのかもしれない。本当に目指していることなら夢ではなく目標と考えるべきなのだ。
「そうですね、今はまだ夢ですけど、それが目標だと言えるように努力したいと思います」
「英語も…… その、なるべく……」
「うふふ、正直ね、私の教え子からプロ選手が出ることを期待してるわよ」
「そういえば後ろの席の蓮根さんはどうかしら?」
思わぬところから咲の名が出たことに僕は動揺しかけたが、真弓先生が聞きたいのはもちろん僕と咲の関係ではなく、クラス内でどうかと言うことに決まっている。
「うーん、馴染めているとは言いがたいですね」
「クラスの女子と話しているところも見たことありませんし、授業で自分から手を上げるどころか指されるところも今日が初めてかもしれません」
「やっぱりそうなのね、彼女って独特の雰囲気持ってるじゃない?」
「他の先生も指しづらいって言ってたのよ」
「そうなんですか、僕は真ん前で蓮根さんを見ることがほとんどないのでよくわかりませんが、教師から見てもそんな印象なんですかね?」
まさか咲の本当の姿、振る舞いを口にするわけにもいかず当たり障りのない返事をする。すると真弓先生がとんでもないことを言い出した。
「そこでね、吉田君にお願いがあるのよ」
「もう少し蓮根さんがクラスに馴染めるように話しかけてあげてくれないかしら?」
「ええ!? 僕がですか!?」
「そんなの無理ですよ! 先生だって僕が女子を苦手にしてるの知ってるじゃないですか」
「でも彼女はネイティブでもないのに英語ペラペラだし、吉田君にとっても得るものがあると思うわよ」
「編入試験の英語は満点だったらしいし、他の教科も現国以外はほぼ満点に近い出来だったんですって」
「そりゃすごいですね、なんでうちみたいなバカ学校に来たんだろう」
「ちょっとあなたねえ、自分の通っている学校で教師を目の前にしてバカ学校はないでしょう?」
「吉田君だってこの学校を選んだ理由が学力のほかにあるんでしょ?」
「まあそうなんですけど、父さんも一番近くて受かりそうなのはナナコーしかなかったって言ってましたよ」
「あらそうなのね…… 蓮根さんの場合はどうなのかしら」
「理由は特に聞いていないけど家が近いからとか? 彼女の家、吉田君のうちのすぐそばみたいよ」
これは墓穴を掘ったかもしれない。よくよく考えれば教師が生徒の住所を把握していないわけもなかった。できればこの話題はもう終わりにしたいものだが真弓先生の話は続く。
「蓮根さんは現国というか日本語が苦手みたいだし、吉田君は英語が苦手だけど必要としている」
「お互いに教えあったら win-win の関係じゃないの」
「いやでも…… 僕には無理ですよ」
「放課後だって居残りする時間はないですしね」
「確かに普段の日は部活があるから時間があるとは限らないわね」
「だから考えたんだけど、吉田君へは英語の、蓮根さんには日本語のプリントを用意してあげるわ」
「いや、それって宿題が増えるようなものだし、僕は人に教えるほど現国得意じゃないですよ」
「むしろ得意科目なんてないんですけど……」
「別に得意じゃなくてもいいわよ、お互いが教えあう名目ができればそれでいいの
「ついでに君の女子嫌いもなおるかもしれないでしょ」
「それは別になおらなくても困りませんよ」
「勝手に寄ってくる女子を遠ざけるだけで精いっぱいなんですから」
僕が困っていたそんな時に思わぬ助け舟が入った。いつの間にか真弓先生の後ろから近寄ってきていた副校長が話に割って入ってきたのだ。
「岡田先生! 男子生徒に向かって特定の女子生徒と仲良くなれとけしかけるとは何事ですか!」
「あなたは教師としての自覚が足りなさすぎるんです!」
真弓先生はしまったという顔をして僕へ向かって帰れとゼスチャーをしている。副校長の小言はしばらく続くのだろう。
こうして真弓先生の策略から逃れることに成功した僕は、無事に職員室を脱出しうきうきとした気分で家路についたのだった。
「カズ、おせーぞ、一応仮でスタメン決めてみたんだけどよ」
「いやあ、このマネちゃんいいとこ見てるわ、良かったな」
「いえいえ! そんな! 私は皆さんのために一生懸命考えただけです!」
「でも…… 褒めてもらえるのは嬉しいですね!」
木戸の言った良かったな、の意味はわからないが、おおよそのスタメンが決まったらしく、次の練習試合まではこのメンバーをスタメンと想定した練習をしていくことになった。
しかしマネージャーの由布は相変わらず声がデカい。このままだと野球部員全員が難聴になってしまいそうだ。
気を取り直して僕がメンバー表を見ると、昨日由布が言っていたのとほぼ同じだったが、木戸の配慮だろう、三年生が全員スタメンに入っていた。
「一応試合だから全力でやることにはなるんだけどさ、せっかくだから一年生も出してやるつもりだ」
「投手は六回までカズ、七回は木尾でいいな、もし時間があって九回までやることになったら調子次第ではそのまま投げさせよう」
「そうだな、相手の矢島実業は格上だから胸を借りるつもりで思い切っていけるかもな」
「ここで打たれて自信失うくらいならそこまでの器だしさ」
「チビベンは厳しいな、自信失って控えのピッチャーがいなくなると僕は困るんだけど」
「でもどちらにせよ投手はもう一人くらいほしいね」
「じゃあ明日は一年生全員のピッチング見てみるか」
「すぐにものにならなくてもいいんだからよ」
「丸山の後輩はどうなんだ? 肩はよかったよな?」
「ああオノケンな、あいつ地肩はいいけどノーコンだよ」
「中学の頃もピッチャー志望だったけど、練習中にデッドボール連発して外されたくらいだからな」
「ノーコンは困るな、まあとにかく明日の練習で全員見てみよう」
「と言うわけで今日は解散、おつかれー」
「うぃーっす、おつかれー」
こうして僕達は今日の練習を終えてそれぞれが帰宅の途についた。木戸と丸山、由布は電車通学で同じ方面なので一緒に帰っていく。チビベンも乗る電車は反対方向だが駅までは一緒だ。
野球部の二年生の中では徒歩通学の僕が一番近い。同じ中学だった一年生の倉片もそう変わらないだろう。隣の中学出身のハカセは、僕とは反対だがやはり徒歩で来ている。
僕も早く帰らなくっちゃ、きっと咲が待っていてくれる。そう思うと足取りも軽くなり、戸締りを済ませてから職員室へ向かった。
職員室にはまだ数人の教師が残っていた。運動部の顧問はどうしても遅くなるのだろう。まったく頭が下がる思いだ。
「あら吉田君、遅かったわね、ミーティングだっけ?」
「はい、お待たせしちゃってすいません」
「仮オーダーまではできたので明日からシートノックやっていきます」
「それは何よりね、それよりあの子どうだった? 問題起こさなかったかしら?」
「ああ、マネージャーのことですよね? 今日は特に何もなかったです」
「結構細かいところまで見てて、今日帰ってから選手名鑑みたいなのにまとめてくるって言ってました」
「あら、佐戸部君の仕事が減るわね、これで成績上がるといいんだけど」
「もちろん君達全員が良くなることが望ましいわよ」
「あ、そりゃそうですよね……」
「吉田君も英語くらいはきっちりやんなさいよ、夢はメジャーリーグなんでしょ?」
「英語ができて損はないわよ」
真弓先生が言った言葉を聞いて僕は咲の言葉を思い出していた。
夢を目標に変える、か。確かに夢を語ることは簡単だ。しかしそれは実現可能と思っていないということなのかもしれない。本当に目指していることなら夢ではなく目標と考えるべきなのだ。
「そうですね、今はまだ夢ですけど、それが目標だと言えるように努力したいと思います」
「英語も…… その、なるべく……」
「うふふ、正直ね、私の教え子からプロ選手が出ることを期待してるわよ」
「そういえば後ろの席の蓮根さんはどうかしら?」
思わぬところから咲の名が出たことに僕は動揺しかけたが、真弓先生が聞きたいのはもちろん僕と咲の関係ではなく、クラス内でどうかと言うことに決まっている。
「うーん、馴染めているとは言いがたいですね」
「クラスの女子と話しているところも見たことありませんし、授業で自分から手を上げるどころか指されるところも今日が初めてかもしれません」
「やっぱりそうなのね、彼女って独特の雰囲気持ってるじゃない?」
「他の先生も指しづらいって言ってたのよ」
「そうなんですか、僕は真ん前で蓮根さんを見ることがほとんどないのでよくわかりませんが、教師から見てもそんな印象なんですかね?」
まさか咲の本当の姿、振る舞いを口にするわけにもいかず当たり障りのない返事をする。すると真弓先生がとんでもないことを言い出した。
「そこでね、吉田君にお願いがあるのよ」
「もう少し蓮根さんがクラスに馴染めるように話しかけてあげてくれないかしら?」
「ええ!? 僕がですか!?」
「そんなの無理ですよ! 先生だって僕が女子を苦手にしてるの知ってるじゃないですか」
「でも彼女はネイティブでもないのに英語ペラペラだし、吉田君にとっても得るものがあると思うわよ」
「編入試験の英語は満点だったらしいし、他の教科も現国以外はほぼ満点に近い出来だったんですって」
「そりゃすごいですね、なんでうちみたいなバカ学校に来たんだろう」
「ちょっとあなたねえ、自分の通っている学校で教師を目の前にしてバカ学校はないでしょう?」
「吉田君だってこの学校を選んだ理由が学力のほかにあるんでしょ?」
「まあそうなんですけど、父さんも一番近くて受かりそうなのはナナコーしかなかったって言ってましたよ」
「あらそうなのね…… 蓮根さんの場合はどうなのかしら」
「理由は特に聞いていないけど家が近いからとか? 彼女の家、吉田君のうちのすぐそばみたいよ」
これは墓穴を掘ったかもしれない。よくよく考えれば教師が生徒の住所を把握していないわけもなかった。できればこの話題はもう終わりにしたいものだが真弓先生の話は続く。
「蓮根さんは現国というか日本語が苦手みたいだし、吉田君は英語が苦手だけど必要としている」
「お互いに教えあったら win-win の関係じゃないの」
「いやでも…… 僕には無理ですよ」
「放課後だって居残りする時間はないですしね」
「確かに普段の日は部活があるから時間があるとは限らないわね」
「だから考えたんだけど、吉田君へは英語の、蓮根さんには日本語のプリントを用意してあげるわ」
「いや、それって宿題が増えるようなものだし、僕は人に教えるほど現国得意じゃないですよ」
「むしろ得意科目なんてないんですけど……」
「別に得意じゃなくてもいいわよ、お互いが教えあう名目ができればそれでいいの
「ついでに君の女子嫌いもなおるかもしれないでしょ」
「それは別になおらなくても困りませんよ」
「勝手に寄ってくる女子を遠ざけるだけで精いっぱいなんですから」
僕が困っていたそんな時に思わぬ助け舟が入った。いつの間にか真弓先生の後ろから近寄ってきていた副校長が話に割って入ってきたのだ。
「岡田先生! 男子生徒に向かって特定の女子生徒と仲良くなれとけしかけるとは何事ですか!」
「あなたは教師としての自覚が足りなさすぎるんです!」
真弓先生はしまったという顔をして僕へ向かって帰れとゼスチャーをしている。副校長の小言はしばらく続くのだろう。
こうして真弓先生の策略から逃れることに成功した僕は、無事に職員室を脱出しうきうきとした気分で家路についたのだった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について
塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。
好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。
それはもうモテなかった。
何をどうやってもモテなかった。
呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。
そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて――
モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!?
最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。
これはラブコメじゃない!――と
<追記>
本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~
みずがめ
青春
陰キャ男子が後輩の女子の弱みを握ってしまった。彼女いない歴=年齢の彼は後輩少女に彼女になってくれとお願いする。脅迫から生まれた恋人関係ではあったが、彼女はとても健気な女の子だった。
ゲス男子×健気女子のコンプレックスにまみれた、もしかしたら純愛になるかもしれないお話。
※この作品は別サイトにも掲載しています。
※表紙イラストは、あっきコタロウさんに描いていただきました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる