樹くんの甘い受難の日々

生梅

文字の大きさ
上 下
67 / 103
第二章

65.しー…、聞こえちゃうよ?

しおりを挟む
「なぁ、もしかしてさ。前に志木の地元でお前らに会ったのって…」
「もちろん、探りだよ?」
「そ、そうだったのか。あ、ありがとう…」
「愛しくて可愛い樹の為だもん。当然でしょ?」

ちゅ、と軽くこめかみにキスを落とされた。女の子に優しく甘く接する雅樹はこれまでも見てきたけど、こんなに甘いとは知らなかった。
俺らが見ていたのは一面で、2人きりだとこんな感じだったのかな。
ちょっと、チクンと胸にとげが刺さったみたいに痛くなった。今の俺はこれが嫉妬だって自覚している。雅樹はこれまで沢山の子と遊んでいたわけで、それに対して嫉妬とか意味がないわけで。。でも、分かっていても嫉妬してしまう自分の狭量の狭さに凹む。うぅ……。

「樹?1人百面相なんかしちゃって、どうしたの?」
「ん?いや、あの、その…これまでも俺の知らない所で色々と動いてくれてたんだなぁって思って、ありがたいような、自分が情けないような」
「なに言ってるの。俺がしたくてしているんだから樹はそう思う必要ないの」
「うん。分かってるけどさ…」
「樹ってば、ほーんと!かわいーの」
「うるせ…」

さゆりちゃんと別れて教室に向かいながら歩いてるんだが、雅樹のベタベタっぷりに周りの目が痛い。痛すぎる。「え?あれ、篠田先輩?あの隣のちっこい人なに?」「は?腰に手を回してるんだけど。どういう事?」「さっきこめかみにキスしてなかった?」とかヒソヒソ聞こえていて非常に居たたまれない。
教室では当たり前の光景すぎてクラスメイトは慣れてて気にしてなかったのかと今更ながらに痛感した。もうちょっと周りを見るようにしないと。

「ちょ、雅樹。近すぎ」
「え?いつもの事でしょ。今更なに?」
「だ、だってみんな見てる…」
「人は関係ないでしょ」
「そうだけど…オリハルコンの心臓持ちのイケメンめ…ちくしょう。もげろ」
「もげたら樹を悦ばせてあげられないよ?」
「うぐぅ」
「樹の、奥にいっぱいキスして、樹の好きなところたくさん擦って、奥にたっっくさん出してあげられないけど」
「や、やめ…」
「昨日もたくさん出してあげたけど、どう?お腹痛くない?」
「だ、大丈夫…んんっ」
「考えてたら樹の中に入りたくなってきたな。きっと、樹のおまんこもまだ柔らかいと思うし…」
「ひゃん!」

雅樹の手が俺の腰をさらりと撫でて、思わず変な声が出てしまう。
どうしよう。雅樹のエロエロスイッチが入ってしまって容赦ない。やめてくれ。俺はベタな言葉攻めに弱いんだ。

「なぁに?そんな可愛い声だして。襲って欲しいの?」
「ち、ちが…」
「んふふ。エロ顔になってる。奥、いっぱい突いてあげよっか?」
「はぅぅ…」
「帰ってたっぷり愛してあげるのもいいけど、気分を変えて学校っていうシチュもいいな」
「は…気分変えてって…学校でも大概してる…ん、じゃん」
「まぁねー。どこがいい?あ。トイレってのもいいね。しよっか」
「だ、だめ…♡」
「ふふっ。声は全然ダメじゃないって言ってるけど?後は帰るだけだし、人もかなり減ってるし、第3校舎の3階ならほとんど人こないし、行こ♡」
「ふぁ?ま、待ってよ」

雅樹はご機嫌で俺の腕を引っ張ってズンズン歩いていく。俺は既に下半身に力が入りにくくなっていて思わず足をもつれさせてしまった。

「あ。ごめん。ちょっと気がせいちゃった」
「エロエロ魔人め…」
「否定しなーい。早く樹を食べちゃいたい♡」
「はぅ♡」
「かーわい♡」

「篠田ー」

雅樹の名前が呼ばれてそっちを向くと、社会の町田先生がいた。

「なんですか?」
「お前、放課後準備室に来いって言ってあったろ?なーにすっぽかそうとしてんだ。ほら、こい」
「えぇ~…先生、30分…いや、1時間待ってくれない?」
「ふざけんな。これでも既に1時間は待ってるぞ。行くぞ」
「えぇぇぇ…うぅぅ。。樹、ごめんね?あぁ。そんな発情した顔の樹を放っておけないっ!」

発情した顔だと?失礼な……ちょっと、情けない顔している自覚はあるけど。。

「だ、大丈夫だから。雅樹、行って?」
「ふぐぅぅ…すげぇキスしてぇ!めっちゃ可愛い顔っっ!!」
「雅樹さん、雅樹さん、口調が荒れてまっせ?」
「だって、樹が可愛いっ!!エロトロ顔!!」
「うるせぇわ」

「篠田ぁぁぁああ!!はよ来いやぁぁああ!」

「ほら、町田先生怒ってる。行って?」
「樹、注意して歩くんだよ?勝は…部活か。志木に迎えに来てもらいなさい。
それか俺が終わるまで教室で待ってて。性欲が治まるまでまでは間違っても1人で帰らないで。いい?」
「そこまでする必要ねぇって。大げさ。過保護!」
「いいから!いう通りにして。そうじゃないとお仕置きするからね!?」
「分かった…」

なんか、すげぇ納得いかねぇけど、言わないとぐずぐずと立ち去りそうになさそうだし威圧がすげぇから頷いておく。雅樹たちと別れて教室に向かって歩く。正直なところ、ちんこは半勃ちだし腰がふわふわして力が入らないし、そのせいで足もちょっとぷるぷるしてる。
吐く息はちょっと熱いし我ながらすげぇ状態だ。去年の今頃はまさか自分がこんな体に作り替えられるとは夢にも思わなかった。

「あの、大丈夫?」
「へ?」

ふわふわした頭で声をかけた男子を見たけど見覚えがない。タイを見る限り、1年だ。

「ん。ダイジョブ。心配してくれてありがとう」
「そうですか?だって、顔赤いし…」
「ヘーキヘーキ。少ししたら治まるし」
「保健室行きましょ?ふらふらしてますよ」

そう言いながら俺の腰に腕を回してきた。

「んっ……!」
「?!」

やっば。変な声出た。今、腰とか首とかに触れられるのはヤバい。少し強引に保健室へ誘導されて、ふわふわな俺は振りほどけなかった。心配そうな顔に絆されたって事もある。

「せんせー」

保健室には誰もいなかった。先生の机の上に札が立ててあって、職員会議で席を外していると書いてあった。

「も、大丈夫だから…しばらく寝てる」
「え。でも…」
「ホント、だいじょぶ。ありがとな…」
「あ。横になるのまでは手伝います」

何故かベッドに寝るのを甲斐甲斐しくお世話される。もう、放っておいて欲しい。全然熱が引かない。

「苦しそうですね…」

そう言って、俺のタイを外してシャツのボタンをひとつ、ふたつと開けていくその腕を掴んで止めた。

「マジで、もう、いいって」
「…分かりました」

不服そうに言った彼と目が合ってしばし見つめあうようなかっこうになった。
「な、に…?」
「先輩…」

え?なんで?なんでこいつの顔が近づいてきてんの?
状況が理解できなくて呆然とゆっくり顔が近づいてくるのを見ていたら、荒々しく扉が開いて俺たちの肩がびくりと跳ねた。

「樹ちゃん!」
「志木?」
「あー。良かった。篠田から連絡入ったのに全然教室に戻ってこないからさ。探した…って誰?」
「あ、俺が具合悪そうにしてたのを保健室まで連れてきてくれたんだ」
「ふぅん?に、してはなんでそんなに距離が近いんだ?」
「あ!いえ!これは!!!で、では、先輩、お大事に!!!!」
「ふぇ?あ、あのちょっと!」

脱兎のごとく駆けだした背に声をかけるも彼は後ろを振り向かずに保健室を飛び出していった。

「樹ちゃん、俺の見間違いじゃなきゃ今、のしかかられてたよね?」
「み、見間違いだと思う」
「へぇ?そんな美味しそうな顔して…誤解させちゃうよ?」
「俺、男だし、そんな皆がみんな…」
「樹ちゃん。十代男子の性欲を舐めちゃダメ。特に、こんなにエロい顔しちゃう子はね」
「んなバカ…んっ ちゅっ はぁ ちゅる…志木、キスきもち…」
「俺も」

キスが深くなるにつれて、志木の手が俺のシャツのボタンを外して体をまさぐる。感度が上がりまくっていた体にその刺激は強すぎて声が止まらない。

「しー…樹ちゃんの可愛いエロ声、聞こえちゃうよ?いいの?」
「らめぇ…やら」
「こんなにここ濡らして。ぐっしょぐしょじゃん」

いつの間にか下着まで下されていて、志木の指にちんこの鈴口をぐりっとされて強い刺激に眩暈がした。

「や!あぁ…!!」
「はー。マジで無理。こんなエロい樹ちゃん見せられたら止まらないでしょ」

そう言うと、俺から離れた。

「やだぁ!志木ぃ!行かないで」
「すぐ来るから待ってて?そんな可愛い事いって俺をこれ以上煽らないでよ」

扉のところでなにかやって戻ってきた志木が、乱暴に自分のタイを外しなが俺を見る。その、肉食獣のような目に射すくめられてぞくぞくと背筋に甘い痺れが走った。ぺろりと唇を舐めた志木が超絶に色っぽくてドキドキする。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生皇太子は、虐待され生命力を奪われた聖女を救い溺愛する。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

結婚10年目で今更旦那に惚れたので国出したら何故か他国の王太子に求婚された件。~星の夢2~

愛早さくら
BL
結婚して10年……初めは好きではなかったはずの旦那に今さら惚れてしまっていたたまれなくなってきたので、子供たちも大きくなってきたことだしと、俺は留学する長女(養子)に護衛として着いていって……――つまり国出することにした。もちろん、旦那には内緒で! 主人公のティアリィが、今更な恋心耐えきれなくなってきた頃、養子にした長女のピオラが嫁ぐ予定の国へと留学することになった。 心配でもあるしちょうどいいと旦那に内緒で護衛に扮して着いていくことにして……――何故か年甲斐もなく学生生活を送る羽目に! その上、他国人でありながら国を揺るがす陰謀に巻き込まれていって?! 果たしてティアリィは無事に旦那の元へ帰れるのか? また、ピオラの婚姻は? ・過去作「婚約破棄された婚約者を妹に譲ったら何故か幼なじみの皇太子に溺愛されることになったのだが。」及び「悪役令息?だったらしい初恋の幼なじみをせっかく絡めとったのに何故か殺しかけてしまった僕の話。」の10年後の話です。※この2本は視点が違うだけで同じお話。 ・上記2本と違い、今回は視点がころころ変わる予定です。 ・本文も一人称と三人称が混在するかも。 ・他国に嫁ぐ前提で嫁ぎ先の国へ留学するピオラに黙って無許可に着いていったティアリィが他国で無双する話。になる予定。 ・もちろん殿下に了承なんて得てない。 ・何故かピオラの婚約者予定の留学先の王太子に惚れられる。 ・男性妊娠も可能な魔力とか魔術とか魔法とかがある世界です。 ・主人公のティアリィは養子含めて5人の子持ち。 ・相変わらずのありがちな異世界学園悪役令嬢婚約破棄モノ(?)になります。 ・微ざまぁ的な展開も無くはないですが、そこまで心底悪い悪人なんて出てこない平和な世界で固定CP、モブレ等の痛い展開もほとんどない、頭の中お花畑、ご都合主義万歳☆なハッピーハッピー☆☆☆で、ハピエン確定のお話なので安心してお楽しみください。 ・プロポーズしてくる王太子は当て馬で旦那とは別れません、固定CPです。 ・R18描写があるお話にはタイトルの頭に*を付けます。

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。

アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。 捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!! 承諾してしまった真名に 「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。

ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)

三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。 各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。 第?章は前知識不要。 基本的にエロエロ。 本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。 一旦中断!詳細は近況を!

夢だと思ってたよ・・・・・

ぴよ
BL
夢だと思っていたら、実は転生していたアーシェ 超絶美形の家族に溺愛され成長していく。 ・・・溺愛っぷり、何かおかしくないですかね? この世界も何でしょうか? ってか自分、養子の上、どー見てもモブだよね。 実は乙女ゲームの世界で、スチルの片隅の通行人モブ?そんなの気付かないよ!

乙女ゲームの攻略対象者から悪役令息堕ちポジの俺は、魂の番と幸せになります

生梅
BL
前世ヤリチンの俺が転生したのはハマっていた乙女ゲームの世界だった。 記憶を取り戻す前の俺は1周目で最推しにサックリ斬られて殺された。 2周目で魂の番と出会って、乙女ゲームのシナリオから外れて番と共に幸せになる事をモットーに 日々精進するも、幼き頃に生き別れた番はヒロインの傍に侍っていた……! しかも互いに「初恋の君」として。 遠くから幸せを願う———なんてそんなの無理! 「ねぇ、俺だよ!俺!君の運命は俺だってばーー!」 つれない番を相手に日々奮闘する悪役令息の運命やいかに。 ※濡れ場はガッツリめですが、中盤以降になる予定

処理中です...