樹くんの甘い受難の日々

生梅

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第一章

34.踏んだり蹴ったり、泣きっ面にハチ

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やっぱり、俺1人じゃどうしていいか分かんねぇ。
かといって、勝に言うわけにもいかねぇし…雅樹に相談してみっか。
授業の課題を集めて職員室に持っていった帰り、そうしようと決めてさっそく雅樹に連絡をとスマホを取り出した時、裏庭を歩く雅樹の後ろ姿を見つけた。

「おっ。雅樹!ちょうど良かった」

窓をガラッと開けて呼び止めようとしたけど、ちょうど向かい側の校舎に入ってしまった。今なら追いつける。ダッシュで向かった。
階段を登って角を曲がる雅樹の背中が見えた。
ちょっと驚かせてやれ。うひひ。
忍び足で階段を上がり、雅樹が入った教室を見て気が付いた。

「ここって…」

今は移動授業以外ではほとんど使われておらず、近々立て直しの計画がある校舎のその一室は、生徒の間では通称「ヤリ部屋」と呼ばれている。まんま、あはんうふんの部屋だ。
雅樹がよくそこを使っている事は知ってた。
行ってくるわつって向かった時、童貞の怨嗟で送りだした事もある。

でも、でも…今は…

「胸が痛い。苦しい…」

なんだ、これ。胸がぎゅうって引き攣れるように痛くて思わず服の胸元を握りしめた。

(誰と?)

ふと浮かんでしまったら、気になって仕方がなくなって…
雅樹のプライベートの事なのに、その領域に踏み込んで―――覗いてしまった。

「さゆりちゃん…」

さゆりちゃんと、雅樹がキスしてた。もう既に制服の前をはだけててブラをつけたたわわな胸が見えた。うわー…めちゃくちゃ気持ちよさそう。揉み心地良さそう。
だよな。女の子って、どこもかしこも柔らかいよな。
眉間にしわが寄って、目頭が熱くなった。なんだよこれ。なんで俺いま泣きたいんだ?

雅樹がヤリチンなんて今さらじゃん。なのに、なんで裏切られた気持ちになるんだ?

扉のガラス越しに、雅樹と目があった。雅樹の目が見開かれる。
次の瞬間、さゆりちゃんを押しのけて慌ててこっちに来た雅樹を見て、咄嗟に逃げ出した。

「たつ―――」
「ヤリチン野郎!!!リア充爆発しろーーーっ!!!ばーーか!」
「罵りが可愛いよ!樹っ!」
「うるせぇぇぇええ!!うわぁーん!」
「えっ!?泣いてんの?ちょ、たつきぃぃいい!!!」


ひぐひぐ泣きながら帰った。放課後で良かった。
今はなんでだか雅樹の顔も勝の顔も見たくない。

ピロン♪

スマホを取り出すと、雅樹から鬼着信が入ってて引く。

「ぐすっ。志木だ」

ーよう。いま何してる?

ー泣いてる

ーはっ?!

ー俺、もうどうしていいかわかんない


電話がなって、相手を見ると志木だった。

「あい。ズッ…」
『マジで泣いてるのかよ。お前、いまどこ?』
「じ、じも…ひっ うぐっ」
『すぐ行くから、駅まできて』
「あ?なんっ…うぐっ ひっ でだよ」
『ほっとけないだろ』
「うっ…うわーん!!!」
『急に受話器越しで爆音で泣くな!!』
「ごぇーん!うぅぅ ひっふぅぅぅ」

志木の地元とうちは同じ沿線の3つ隣だ。駅で待ってると、20分くらいして志木が来た。

「ありっ…ありがっ うぐっ と」
「うわぁ。すげぇな、顔」
「うるっせっ…ひっく」
「あぁもう…」

志木にぎゅううと抱きしめられて余計に泣けてきた。

「移動すっか。どこかいい場所あるか?」
「ふんぐっ。うっ。公園…あ。やっぱやだ。雅樹に会っちゃう」
「あ?篠田か?あいつが原因か?」
「…わかっんなっ…ひっ」
「ぶっ。くくくくっ。ぶっさいくな顔」
「ひでぇ」
「でも、可愛い」
「目ぇ…ひっ…悪いな」

ぐりぐりと志木の胸に顔をこすりつけたら、みょーんと鼻水が伸びた。

「ごべ…」
「おぉぉぉおい!はぁ。まぁいいか」


ピロン♪


「か、かぁ…さっんっ…出掛けるっって…ひっ。うち、きて」
「お、おぉ」

志木が一瞬真顔になった。何でだ。自然と、志木と手を繋ぎながら道を歩く。
ニギニギされたからニギニギし返したら「ふぐぅ」とか変な声が聞こえた。

「で?お前なんでそんな泣いてんの?」

俺は朝からの出来事を話した。

「そうか。なるほど。でもなんで泣いてるのか分からなくて混乱してんのか」
「うん…勝の事で凹んでて、リア充見せつけられたからだろうか」
「お前、思った以上にバカなんだな」
「そんなしみじみ言われたら、本音に聞こえて意外と傷つくだろう!」
「いや、本音だっつの」
「やはり、俺には経験値が足りないのだろうか」
「いや聞けよ、バカ」
「童貞ってのは男の根本の自信に関わるのだな」
「いやだから、ほんとバカだな」
「さっきは凹んでた所に塩を塗られて動揺してしまった」
「まぁ、確かにそうだな。でも童貞関係ないぞ」
「あいつのうまさは、経験値からきているのをまざまざと見せつけられた気分だ」
「そ、そうか」
「うん。びっくりするくらいうまい」
「へぇ…すげぇいいの?」
「うん。頭がぶっ飛ぶ。あれされたら女子も離れがたいだろうな。勝も、すごいうまく…って…うえぇぇぇ」
「また泣き始めた!ぶさいくだな!」
「うるせぇぇえ。うえぇぇん」


ちゅっ


「うぇ…?」
「ぶはっ。すげぇ顔」

ちゅっちゅっ

「なんで、きす」
「なんでだろうな?」

ちゅっちゅっと顔中にキスされて、時々唇にもキスされる。

「泣き止んだな」
「びっ…くりして」
「もっとしていい?」
「ほぇ?」
「キス」
「う、うん」

唇が重なって、甘噛みしたあとツツと舐められてくすぐったいけどゾクンと腰に痺れが走った。
気が付いたら、志木の膝の上に乗せられていて夢中でキスをする。

「ふっふぅぅ~…鼻が詰まってるからくるじぃ」
「はははっ。だろうな。樹ちゃんさぁ、ちんこ勃ってるよ?」
「い、いうなよ!」
「ちなみに俺もガッチガチ。ほら」

志木のちんこを服の上から触ると、本当にガッチガチに勃っていた。

「な、なんで?」
「そりゃあ、樹ちゃんとエロいキスしてっからだろ」
「そ、そうか」
「もうちょっと、していい?エロいこと」
「みゃっ?!」
「そーいうあざといのも樹ちゃんなら可愛いんだよな」

プツ、プツと俺のシャツのボタンを外していく。
中に着ていたTシャツを捲り上げられて俺のつるぺたパイパイがさらされた。

「すっげ。乳首まで可愛いのかよ。薄いぴんく色でぷっくりしてんな。えっろ」
「んっ」

クリクリと指で捏ねられてビクンとする。今や俺の乳首は立派な性感帯だ。

「舐めていいか?」
「うん…あぁん!」

舌先でチロチロとくすぐってから、軽く甘噛みされて強い刺激が走った。
楽しそうに舐めたり吸ったり噛んだりされているうちに、俺のちんこから先走りがどんどん出てきてズボンに染みだしてきた。

「濡れてきたな」

耳元で低く囁かれて体が痺れた。

「志木、ずるい」
「あん?なにが」
「かっこよすぎる。ずるい。エロい」
「エロいのは樹ちゃんでしょ。触るぜ」
「やっ」

素早くズボンの前を寛がされて、慌ててる間にちんこを握られて軽く扱かれる。
下着の上からでもニチョニチョという水音がして耳が赤くなった。

「すげぇ濡れてんな。気持ちいい?」
「うん。もっとして?」
「…」



志木が真顔になった。
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