樹くんの甘い受難の日々

生梅

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第一章

1.10回目の失恋(破局)にさすがに心が折れかけてます

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「樹くん…ごめんね?
樹くんの事は大好きなんだけど、
どうしても友達以上に感じれなくて…女の子の」

うん。
分かってた。
そして、最後の言葉は余計だよ。

「分かった。それじゃあ仕方ないよね」
「こんな結果になっちゃったけど、樹くんさえ良ければ
これからも仲良くして欲しいな…」
「うん。いいよ。お別れしちゃうけど、これからもよろしくね」
「うん!ありがとう!!嬉しい!また明日、学校でね!」
「うん。ばいばーい」
「ばいばい!」

「はぁ…あ~ぁ」

足取り軽く走り去るゆかちゃんを見送りながらため息が出た。
友達期間1年。交際期間1ヶ月。
これでも長く持った方ではないだろうか。
なんとなく分かってはいたんだ。
ゆかちゃんが俺を男として好きなんじゃないって。
そして、こういう事は初めてじゃない。俺の恋はいつもこうやって終わる。

「もう、やだな。こんなの…」

初めてキスをした子だった。
天にも昇る気持ちって、こういう事をいうんだろうなって思った。
もしかしたら、ここから俺の事を男として好きになってくれるかもって期待した。

小鳥遊 樹(たかなし たつき)17歳。
10回目の失恋(破局)にさすがに心が折れかけてます。
小柄な方で色白な上に成長期遅れてます?
っていうような発育具合で、声も高めなせいか未だによく女の子に間違われる。
親友の勝には「男の娘してみたらモテまくるんじゃね?男に」て言われる。
どちらかといえば女子寄りってなだけで、美少女っていう顔ではない。
愛くるしい顔立ちとかでもない。
パッと見、女子っぽいってだけだ。

女子が警戒心を持たず話が盛り上がるせいか、女子の友達は多い。
ほんでもって、中性的な雰囲気のせいで一部の女子には「付き合えるかも?」と
思ってもらえて付き合う事はあっても、結局は「女の子の友達みたい」という
結論を下されてフラれる。なんか色々と中途半端なのだ。
…俺には雄々しさが足りなさすぎる。

「男くさくなりてぇな」

クンクンと自分の腕とかを嗅いでいると、後ろから首に腕が巻き付いてきた。

「自分のニオイ嗅いでなーにしてんだよ。くせぇの?」

そう言ってクンクン俺のニオイを勝が嗅いだ。
頭皮を嗅ぐのはやめてください。

「相変わらず、無臭…いや、ちょっと甘め?」
「やめろよ。気にしてんだから」
「あ。でもここのニオイ好き」

そう言ってスンスンと耳の裏から首筋を嗅ぎだした。

「ひゃん!やめろって!くすぐってぇ!!」
「ひゃん、ってなんだよ。ひゃんって。どこぞのエロゲだよ」
「うるせぇ!しばくぞ!」
「ふぅ~ん。やれるもんならやってみろよ。もっと嗅いでやる!」
「や、やめろって…ばぁ。ふぅ…ん」

首筋を鼻で上下にゆるくこすられると弱いんだよ。
なんだよ!この状況!そしてこの体!感じやすいってのがまた腹立たしい。

「てめぇら何ホモってんだよ」
「いって!」

ゴツッと鈍い音がして勝が悲鳴をあげて拘束をといた。
振り返ると頭を押さえてうずくまる勝と、その横に立っている雅樹。

「お前!角は止めなさい!角はっ!しかも思いっきりやったろ?」
「道の真ん中でいちゃついてっからだ」
「いちゃついてないよ!」

思わずつっこむ。

「あまぁい声だしてた張本人がそれ言ってもなぁ」
「うぐ…それは、不可抗力というものだ」
「んで?彼女は?」

雅樹に頭ぶった叩かれて涙目の勝が俺を見上げて聞いてきた。

「フラれた…」
「「ぶっ!」」
「お前ら笑うなよ!今度こそはって思ったんだよ!」
「あれだろ?友達としてしか見れない“カッコ女の子として”だろ?」
「うん…俺、そんなに男っぽくない?女子っぽい?」
「なんつーか…可愛らしい生き物って感じ?」
「ひどい…」
「まぁ、ズルズルいくより良かったんじゃね?カラオケ行こうぜー。
失恋ソングをお前に捧げてやるよ」
「鬼…でも奢りなら行く」
「バイト代入ったばかりだから奢ってやるよ。行こうぜ」
「わーい!」

気分が上昇して思わず万歳した。嬉しい。持つべきものは友だよ。

「「そういう所だっつの…」」

2人がボソッと言ってたけど無視した。




…現在、部屋の中がえらいこっちゃになってます。

「やだぁ…もう、勘弁してよぉ」
「すまん。おもろくて。お前、ホント敏感な?」
「やっ…あぁ!んんっ」
「やっべ。俺、勃ってきた」
「俺も…」

2人に羽交い絞めされてあちこちスリスリくんくんされてます。

事の始まりは、勝の初体験の話からだった。
当然、雅樹も経験がある。腹が立つことに2人はイケメンなのだ。
性感帯うんぬんの話から、俺の敏感な所の話になった。
これまで勝にいたずらで首筋をくすぐられたりする事があって、
俺の弱点はバレていて他にもあるのか?という話に飛んだのがまずかった。
ケンショーだ!とか言ってすぐに悪ノリしたのは勝。
俺を弄るのが好きなドSである。

最初は首筋とか耳とかを弄って悶える俺を見て楽しんでたけど、
何かに煽られたかのようにどんどん酷くなっていった。
最初は半笑いだった雅樹も今は熱に浮かされた顔して俺を見ている。
俺の中の警笛が鳴り響き、赤ランプが点滅しまくっている。
やばい。なんか、マジでやばい。

「うた…うたえって…ばぁ」
「うん。そーなんだけどさぁ。もうちょっと弄りたい」
「やめてよぉ」
「それ!時々、可愛いんだよ。お前の抵抗の言葉がっ!それがやばいんだって!」

確かに、ちょっと呂律があやしくなっているのが分かる。
でも頭に靄がかかったようになって体に力が入らない。

「ごめん!もうちょっとだけっ!!!ゆるせ!樹!!」

勝はそう言って俺のシャツを捲り上げた。
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