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第1章 始まり

第1話 チュートリアル

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ここを押せばいいのか?」
「はいっす!」
 フルダイブ型V R MMORPG『Recreation World』をプレイするためにフルダイブ型機器に入り込んだ真一は起動ボタンを押しゲームの世界へと意識を落としていった。

 真一の意識が戻るとだだっ広い何もない空間に一人のメイド服を着た背中に天使のような羽が生えた女性が立っていた。
「ようこそ。『Recreation World』の世界へ。チュートリアルの説明をさせていただきます人工AIのアスフィ=ロードメアスと申します。よろしくお願いいたします。」
 無機質な声色でどこか値踏みするような眼で言ってきた。
「まずは、『Recreation World』の世界について説明させていただきたいと思いますが、お聞きになりますか?」
「ああ」
 真一はこのゲームについて勧めてくれた子の熱心なプレゼンテーションでしか知らなかったので、戦いにおいて情報は大事であると思い説明を聞くことにした。
「かしこまりました。このゲームは『もう一人の自分になれる』をコンセプトに作られたVRMMORPGとなっております。
 冒険者となり自由に冒険することも、商人となり商会を立てることも、鍛冶師となり武器を作ることも自由です。また、一般人として暮らし結婚することも、功績を挙げ貴族となることも可能です。現実世界とほぼ限りなく同じことができ、そこにファンタジー要素を付け加えた世界となりますので貴方のなりたい自分、やりたいことをご自由になさってください。また現実世界と同じでNPCを殺害した場合、2度とそのNPCが蘇ることはございません。また、正当な理由なく罪を犯した場合には指名手配され裁判にかけられ有罪となった場合には相応のペナルティが課されますのでご注意ください。
 またこの世界ではプレイヤーとNPCの区別を外見では判断することができません。
 この世界にはレベルという概念は存在しませんが、ステータスパラメーターを上げることによってキャラクターを強化することが出来ます。
 ステータスパラメーターを上げる方法は、手に入れたステータスポイントを使って手動で上げる方法、貴方様の行動によって自動的に上がる、という2つで上げることができます。
 また、現実世界では出来ないことをすることもできます。例えばこの世界にはマナと呼ばれる魔力があり魔法を使うことができます。
 そういった現実世界では出来ないことをして楽しんでいただくことも可能です。
 現在この世界はアメリカ合衆国と同じくらいの約10000000㎢の広さをもっており今後も拡張していく予定となっております。
 初めに選べる種族は3つで、ヒューマン、エルフ、ドワーフとなっております。
 ヒューマンの国は王国、帝国、聖国、エルフの国が一つ、ドワーフの国が一つございます。
 エルフやドワーフには特徴があり、エルフは魔力が多く魔法が得意な種族ですが手先が不器用で筋力が他の種族に比べて劣ります、ドワーフは手先が器用で物作りに対するアドバンテージがあり筋力が強いのが特徴ですが魔力が少なくスキルを扱うのが少々大変になるといった特徴があります。またヒューマンは全てにおいて平均的であるので様々なことをやりたい方などはヒューマンを選ぶことがオススメとなっております。
 ステータスパラメータを上げることによって時間はかかりますがエルフ、ドワーフに関係なくあらゆることができるようになりますし、運にはなりますがクエストをクリアすることによってそれらのデメリットを素早く無くすこともできますので、1番やりたいことにあった種族をお選びいただくことをお勧めします。
 またこの世界ではオリジナルスキルを創ることができ、それがこの世界の醍醐味でもあります。しかし強力なスキルになればなるほど発動条件やデメリットも厳しくなるためご注意ください。
 またこの世界では攻撃をされたときの痛みを実際感じるであろう痛みの0%~80%に調整でき、その代わり残りはステータスダウンのデメリット処置が施されます。
 仮に痛みのパラメーターを20%とするとステータスダウン処置が50%となり、逆に痛みのパラメーターが80%ならステータスダウン処置は20%となります。
 また、著しく精神を害すると判断された場合は強制的にログアウト処置を取られることがございますのでご了承ください。
 ここまでで何かご質問はありますでしょうか?」
 そう言ってアスフィはコテンと首を傾げた。
「んじゃ、そのステータスパラメーターってのを上げるためには何をすればいいんだ?」
「まずステータスポイントを獲得する方法は数多ありますが一例を挙げると、クエストをこなす、称号や勲章を手に入れる、一部の敵を倒すなどが挙げられます。そして自動的に上がることに関しては、現実世界と同じで筋肉トレーニングなどや素振り、普通に戦闘を繰り返して頂くことでステータスが自動的に上がっていくことになります。他に何かご質問はございますでしょうか?」

(わざわざ、この世界で筋肉トレーニングするくらいなら現実世界でやるな。まぁ戦闘で上がるならばそこまでする必要もないだろう)
 真一は顎に手を当てながら唸っていた。
 それをアスフィは値踏みするような眼でまた見ていたが真一は気づかなかった。
「オリジナルスキルってのは無制限に作れるのか?」
「いいえ、ゲーム開始と同時にスキルオーブが一つ支給され、それ以降の入手方法は特定の称号の獲得、大会入賞などによって獲得することが出来ます。また1年に1度だけ配布もされますので全く手に入らないといったことはございません。他に何か質問はございますか?」
 オリジナルスキルはこのゲームで強くなるにはいいだろうが、現実世界の戦闘訓練としてはどのように活用していくのかしっかり考えんといかんな・・・
 まぁこれは後で考えるか
「オリジナルスキルの内容は全て自分で考えることができるのか?」
「はい、しかしスキルの強さに合致していないとみなされた場合にはスキル作成を却下させていただくこともございます。その場合にはこちらが提案する修正案になさるかもう一度自分で考えるか選んでいただきます。他に何か質問はございますでしょうか?」
「現実でできる動きや技をどれくらい反映できる?」
「原則全て反映されると思っていただいて構いません。キャラクター作成時のステータスパラメーターは現実世界の能力値を反映したものに種族値などを加算、減算したものとなりますので現実でできる動きはこのゲーム内でも基本的にできると思っていただいて構いません。」
 リュウジンはゲーム内で出来るはずがないと思いながら挑発するように
「ほぅ、それは威圧などの眼に見えない概念的なものでもか?」
 ニヤッとしながら真一は聞いた。
「はい、出来ます」
「っな!なんだと!?」
 真一は出来るはずがないと思っていただけに本気で驚いた。
(だがそれならあれらも使えるということだな!クックックック・・・)
 真一は自由度の高さとこれからの戦闘へのワクワク感が抑えられず笑い出した。
「威圧や殺気といったスキルを作ることが出来ますのでそれを応用し、現実世界で出来るであろうことを再現することが可能となっております。他に何か質問はございますでしょうか?」
「いや、大丈夫だ。さっさと戦闘したくなったから手早く済ませよう」

「かしこまりました。それではキャラメイキングに入らせていただきます。」
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