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3章.花園の茶会

13.羽化②

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北岡は私の股間にそそり立つ人工の肉棒を肉厚の唇をめくり上げながら懸命に舐めあげていた。
「んぐ、んん」
「ほら、もっと根元まで飲み込むのよ。どうなの? 自分の子供でもおかしくないような年の子に命令されて奉仕する気分は」
私は北岡を貶めるように言葉で嬲る。
北岡は声を発せられないが、荒い鼻息からさらに昂ぶっているのがわかる。

「聞いたわ。『男の娘』が好きなんでしょう?」
北岡が人工の肉棒を口に含みながら懸命に頷いた。
「ふふ、それじゃ大好きな『男の娘』に奉仕させてあげようかしら」
私は北岡の口から肉棒を引き抜くと、手足の枷を外して尊大な口調で命令した。
「這いなさい。這って大きく脚を開くのよ」
「は、はいっ。ただいま」
北岡は膝と肘を床につくと、高く尻を掲げて愛液の滴る女陰を私に向ける。
「さぁ、お望み通り存分に『男の娘』に犯されて鳴いてみなさい」
私は北岡の尻に手を置いて股間の人工の肉棒の狙いを定めた。
「挿れるわよ、初めてだから間違ってたらごめんなさいね」
侵入する肉棒に北岡がヒッと声を上げる。
「ユキ様、そこは後ろ、北岡の後ろの穴でございますっ」
「あら、似たような場所にあるから間違えちゃった」
私は開きかけた肉襞の中心に狙いを変えると、人工の肉棒を押し入れた。
「ああっ」
いとも簡単にそれを受け入れた北岡は女陰を戦慄かせながら呻く。
私はゆっくりと腰を前後させ始めた。
「あっ、はぁ、ああ!」
北岡は私の動きに合わせるように腰を振り、より深く肉棒を得ようとする。
私が腰を突く度に肉と肉が当たってパン、パン、と乾いた音が響いた。
「あっ」
思わず私も声を洩らしていた。
北岡に腰を突き入れる動きをすると、同時に私の後ろの穴の肉棒にも衝撃が伝わる。
それは私の内側からゾクリとする快楽を引き出した。
「さあっ、どうなの? いいんでしょ」
「ああ、いいっ、いいです! あっ、あっ、ユキ様」
「ああ、ほら、もっと鳴きなさい! あっ」
「ひっ、はぁ、あんっ、ああ、ああっ」
北岡の嬌声を聞きながら私はさらに激しく腰を突き上げる。
犯しているはずなのに犯されている不可思議な愉悦に、私は夢中で腰を振るい続けた。

頬が熱い。
北岡の声がどこか遠いところで聞こえる。
あれ? どうしてかな、辺りが、急に、暗くなって、きた……。

「ユキ!」

羽川さんの声では我に返った。
僕の身体は床に尻をついたまま永田さんに背中から抱きかかえられている。
「ユキ様、ゆっくり、大きく息をしてください」
耳元で永田さんが語りかける。
僕は言われた通りに口を開けると何度も大きく深呼吸をした。
「ユキ、呼吸が出来たらこれを飲んで」
心配そうに覗き込む羽川さんが僕の手に冷えた水の入ったグラスを握らせた。
「ありがとう、沙耶ちゃん」
グラスの水をゆっくり飲み干すと、冷たさが身体に染み入って徐々に感覚が戻ってくるのを感じた。
「僕……私、どうしたの?」
「今は普通に話してもいいのよ」
「でも……」
「ユキ様はおそらく呼吸を忘れるほど興奮して身体を動かされたことで、酸素欠乏に陥ったのだと思います」
「酸欠、ですか」
そういえば、途中からボーッとして記憶があやふやになった気がする。
「永田が異変に気づいて寸前で抱き留めたから、頭とかは打ってないわ」
「そうだったんだ……迷惑をかけてしまってごめんなさい」
「いいえ、ユキに無理をさせすぎた私が悪かったわ」
羽川さんが永田さんに目で合図すると、二人は両側から僕を支えてベッドまで連れて行ってくれた。
横たわる僕の腰から、永田さんが肉棒の付いた黒革のTバックを外す。
「身体を楽にして。少し休みましょう」
「うん」

視線を移すと、北岡さんは途中で失った肉棒を探し求めるように女陰がむき出しのお尻を捩らせながら、ユキ様、ユキ様と譫言のように呟いていた。
「永田、うるさいから悪いけどの上と下とも塞いでおいてくれる?」
「かしこまりました」
永田さんは北岡さんの口をさっきまで塞いでいたボール状のものを、再び口に装着した。
そして女陰にはワゴンから選んだ大きめの張り型ディルドを差し込み、スイッチを入れる。
モーターの振動音が流れると、北岡さんは腰をひくつかせながらボールで塞がれた口からシュー、シューと呼気を漏らした。
「しばらく放っておくといいわ」
そう笑うと、羽川さんは仰向けに横たわる僕に添い寝をするように寝そべった。
「大丈夫?」
「うん、もう平気」
冷静になってくると、さっきまで羽川さんの前で痴態を繰り広げていたことが急に気恥ずかしくなってくる。
「僕、すごく乱れてた?」
「……そうね、ユキのあんな姿、初めて見たわ」
「なんだか本当に女の子になったような気がして、すごく感じちゃった……」
「可愛かったわよ」
羽川さんが少し意地悪な目をして口角を上げる。
「僕、どうなっちゃうんだろう」
「怖いの?」
「少し怖いけど……でも、もっと知ってみたい気もして」
僕は自分の胸に手を這わせてみる。
「どうしたの?」
「もし胸が膨らんだら、気持ちいいのかな?」
「今よりはずっと良くなると思うわ」
「そう……」
それは甘美な誘惑に思えた。
「ユキ」
羽川さんが目を細めて囁いた。
「私、人でなしの娘でしょう? 父親のことは嫌っていたけど、それはたぶん同族嫌悪というものなのよ。やっぱり私の中にも人でなしの血が流れていて、私はまともに人を好きになれない。服従させて支配する、結局はそんな風になってしまうの」
「羽川さん……」
「私が男を拒絶するのは、支配されるかもしれない事をどこかで恐れているのかもね。でも……」
羽川さんが僕の頬に触れた。
「なぜかは分からないけど、ユキなら私にずっと付いてきてくれるような気がしたの」
羽川さんの大きな黒い瞳が僕を見つめる。
他人に畏怖と憧憬を抱かせる奈落のような不思議な瞳だ。
でも、そんな事は関係なく確信したことがあった。

わたし羽川さんさやちゃんのことが好きだ。

「僕が女の子になれば羽川さんの側に居られるなら、女の子になるよ」
「ユキの事を壊して、別のものにしてしまうかもしれないわよ?」
僕は目を閉じた。
さっきまでそこあった存在を、なぞるように思い返す。
それはすぐに見つかった。
は沙耶ちゃんの望む通りになるわ、ううん、なりたい」
「ユキ……」
沙耶ちゃんが再び口角を上げる。
その笑顔はまるで慈愛に満ちた専制君主のようで気高く美しかった。
沙耶ちゃんが身体を起こし私を跨ぐように立つと、ベビードールの裾をへその辺りまでたぐり寄せる。
沙耶ちゃんはその下に何も身に着けていなかった。
内腿から鼠径部にかけての白くなだらかな曲線の真ん中に、萌える若草のような恥毛と永田さんが「白い肌に秘められた、花びらのようなその場所」と例えた沙耶ちゃんの秘部が露わになる。
「沙耶……ちゃん」
「ユキ。私のここ、舐めて」
「え? 私が……いいの?」
「ええ、いいわ」
沙耶ちゃんは私の頭を挟むように膝をつくと、ゆっくりと腰を落とす。
私の目の前に下りてきた秘裂の間から覗く赤い蕾と肉襞に、私はそっと口づけた。
「んっ」
沙耶ちゃんの口から声が漏れる。
私は沙耶ちゃんの蕾に舌を絡ませ、磨き上げるように舌先を上下させる。
「あ、ああっ、いいわ、ユキ、いい!」
私の舌に、唾液とは違うトロリとした液体が絡みついてきた。

ああ、これが沙耶ちゃんの中から溢れた雫。

私は蕾からさらに舌を進めて、肉襞で幾重にも隠された花弁のような場所に舌を這わせる。
「あっ、ああ、ユキ、そこっ、そこ! でも、あまり奥まで入れてはだめよ。今はまだだめなの。あっ」
沙耶ちゃんは身体を震わせながら切なげな声を上げた。
「永田っ、永田も来て。私の胸、吸って」
「かしこまりました、沙耶様」
永田さんが這い寄り、沙耶ちゃんの乳房の先端を口に含むのが見えた。
ジュッ、ジュッ、と音を立てながら、永田さんは沙耶ちゃんの乳首を強く吸い込む。
「ああっ、あっ、ユキ、永田! 私、だめ! ああ、イクっ」

私を深淵へと導く女王は、一際高い声を放って絶頂を迎えた。

【花園の茶会】 終
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