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3章.花園の茶会
10.誘い(いざない)①
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あの買い物の日以降、数日は何事もなく過ぎていき、その日は再び図書委員の会議があった日だった。
会議後に教室へ戻る途中、羽川さんが周りに誰もいなくなるのを待っていたように口を開いた。
「ユキ、今度の日曜日は空けておいて」
「え? うん、大丈夫だけど何かあるの?」
「ええ、ちょっとしたパーティーをしようと思うの」
「パーティー?」
羽川さんの家でのパーティーと聞くと、何か華やかな場を思い浮かべてしまう。
「それは、何を着ていったらいいのかな……」
「ん? ああ、そういうことは気にしなくていいわ。内輪のティーパーティーよ」
「そ、そう、ちょっと緊張しちゃった」
「それじゃ、午後1時にいつもの家の近くまで水本に迎えに行かせるから」
「うん」
ちょうどその時、廊下の向こうから他の生徒がやってくるが見えると羽川さんはスッと歩調を早めて先に行ってしまった。
……本当に「男の子」と仲良くしていると思われたくないんだな。
少し複雑な気分を抱えたまま、僕は素知らぬ顔で羽川さんの後を追った。
###
日曜の午後、僕は時間通り家の近所の公園へと向かった。
これまで何度か車で送ってもらってはきているけど、さすがに家の前まであんな大きな車で来たら家族に説明できないから、いつもこの公園の横で降ろしてもらっていた。
その公園横には、既に黒い大きなセダンが止まっていた。
僕は周囲に目を配って素早く乗り込む。
「待たせてしまってすみません」
運転席の水本さんに頭を下げると、水本さんは小さく会釈をしただけで車を発車した。
車はそのまま走り続け、二十分ほどで羽川さんの屋敷に着いた。
門を抜けて屋敷の玄関まで進むと、羽川さんと永田さんが迎えてくれた。
「ユキ、よく来てくれたわね。私はまだ少しやることがあるから後は永田に用意してもらっておいて」
それだけ言い残すと羽川さんは奥へ戻ってしまう。
「どうぞこちらへ」
永田さんに促され屋敷の廊下を進むと、着いたのは「洗い場」だった。
「あ、やっぱり今日も……」
「はい、清めさせていただきます」
羽川さんはティーパーティって言ってたけど、何か他にもあるのかな……。
あったとしても、羽川さんに逆らえるわけもなく僕はおとなしく衣服を脱いだ。
洗い場で永田さんと二人きりになったのはあの狂おしいような射精を体験した日以降は初めてだった。
そのことを思い出して少し落ちつかない僕に対して、永田さんは表面上は特に変わった様子はみられない。
やっぱりこれが大人の女の人というものなんだろうか。
「それでは、始めさせていただきます」
「……はい」
僕は壁に手をつき、お尻を突き出す姿勢をとる。
「あっ」
肉壁を押し広げ、暖かいものがゆっくりと中に注入し始めた。
###
「本日は、こちらをお召しになられるよう申しつかっております」
僕のメイクを終えた永田さんが取り出したのは、持つ手が透けて見えるような白い薄布だった。
これは……この間のお店で試着させられたベビードールという下着?
「これを制服の下にですか?」
「いえ、本日はこちらのみでございます」
「え? 下着だけ?」
「はい、そのような趣向とのことです」
はぁ、やっぱり普通には終わらないんだな。
「まず、下をお手伝いしますので立っていただけますか」
「は、はい」
立ち上がった僕のガウンを解くと、永田さんが背後にまわる。
足元に広げられたら小さな布と紐のようなものの間に足を置くと、永田さんがそれを引き上げる。
「んんっ」
布の部分はとても小さく、しかも深く切れ込んだような形になっていた。
そこに肉棒と嚢が収まるとかなり窮屈に感じられた。
さらに、腰からお尻にかけては紐のようなものが交差して布の密着を増すようになっているようだった。
「いかがでしょう」
「正直、ちょっと締め付けが強いです。それに後ろががら空きみたいで……」
「はい、そのような造りになっています」
どうやら、布が覆っているのは恥骨から嚢のあたりだけでその後ろ側は紐だけのようだ。お尻どころか、お尻の穴も隠れていない。
「では、上はこれを着ていただいて、後はストッキングになります」
こうして、僕はベビードールを纏い太ももまで覆うストッキングを身に付けた姿になった。
「なんだか制服より恥ずかしいです……」
「よくお似合いでございますよ」
永田さんがスマホを取り出して何かを確認する。
「沙耶様のほうも用意が整ったとのことです。それでは参りましょうか」
「は、はい」
ドレッシングルームを出ると、僕は永田さんに先導されて「赤い部屋」へと向かった。
###
「赤い部屋」の中は鮮やかな色彩で彩られていた。
真ん中の丸いベッドの回りにはいくつもの花台が置かれ、色とりどりの花々が活けられている。
ベッドの横には、普段は見かけない小さくて優雅なデザインのテーブルと椅子が数脚置かれ、テーブルにはティーカップや可愛らしいお菓子の載った皿が並べられていた。
「どう? 素敵でしょ」
背後で羽川さんの声がする。
「沙耶、ちゃん……」
振り返った僕の目に、僕の身に付けているものと同じ形の赤いベビードールをまとった羽川さんの姿が飛び込んできた。
「どうかしら?」
「う、うん。すごく素敵よ」
「ユキも可愛いわ、やっぱりお揃いにしてよかった。さぁ、早速お茶にしましょう」
羽川さんは僕の手を取ると、テーブルへと進んでいく。
目の前には、薄いレースの下に緩やかに膨らんだ羽川さんの胸があった。
きつく密着した下着のおかげで股間は簡単に大きくなったりはしなそうだったが、それでも目のやり場には困ってしまう。
僕達が席に着くと、永田さんが紅茶をカップに注いでくれた。
「それじゃ、パーティーを始めるわね」
カップを手にした羽川さんが永田さんに目配せをする。
永田さんは小さくうなづくとそのまま部屋から退出していった。
「あれ、今日は永田さんは?」
「ふふ、永田はまた別の用意があるのよ。しばらくは二人で楽しみましよう」
「う、うん」
しばらくの間、僕と羽川さんは学校やクラスメートのことでとりとめのないおしゃべりを続けた。
今日の羽川さんは機嫌がいいようで、僕をからかったりしてよく笑った。
30分くらいが過ぎたころだろうか。
部屋の扉をノックする音がした。
「ん、用意ができたみたいね」
「用意?」
「ええ、特別なゲストの登場よ。このパーティーはこれからが本番なの。入って--」
羽川さんの声に、扉が静かに開かれる。
そこに姿を現したのは意外な姿の人だった。
「永田……さん!?」
永田さんは黒いレースの下着とガーターベルトを身に付けていた。
長身で背筋をピンと伸ばしたその姿は、まるでカタログのモデルのようだった。
「ああ、イメージ通りだったわ。永田、もっと近くで見せて」
「はい、沙耶様」
永田さんがテーブルの前まで歩み寄る。
永田さんが身につけているのはブラジャーとショーツがつながったような黒のレースの下着だったが、その大部分は中がはっきりとわかるほど透ける素材でできていた。
こぼれそうなほどのボリュームの胸を包むブラの先端には、赤く色づいた突起がツンと突き出て、下腹部を最小限に覆うショーツの下には黒い茂みの形がはっきりとわかった。
「うん、いい感じよ。ねえ、ユキもそう思うでしょ。ユキ……ユキ?」
「……え!? ああ、そう、そうね」
まずい、思わず釘付けになっていた。
羽川さんが怒り出すかと思ったが、意外にも笑っていた。
「まぁ、見ちゃうわよね。すごいもの、永田の身体」
「え、あの……うん」
「見た目だけじゃなく、感度もいいのよ」
「え? 感度……?」
「ふふ、なんでもないわ。さぁ、永田も席について。今からは永田も一緒よ」
羽川さんが自ら永田さんの前のカップに紅茶を注ぐ。
「おそれいります」
「そういうのは今からはなしよ、いいわね?」
「……はい」
こうして、艶やかな花に囲まれた長い茶会が始まった。
会議後に教室へ戻る途中、羽川さんが周りに誰もいなくなるのを待っていたように口を開いた。
「ユキ、今度の日曜日は空けておいて」
「え? うん、大丈夫だけど何かあるの?」
「ええ、ちょっとしたパーティーをしようと思うの」
「パーティー?」
羽川さんの家でのパーティーと聞くと、何か華やかな場を思い浮かべてしまう。
「それは、何を着ていったらいいのかな……」
「ん? ああ、そういうことは気にしなくていいわ。内輪のティーパーティーよ」
「そ、そう、ちょっと緊張しちゃった」
「それじゃ、午後1時にいつもの家の近くまで水本に迎えに行かせるから」
「うん」
ちょうどその時、廊下の向こうから他の生徒がやってくるが見えると羽川さんはスッと歩調を早めて先に行ってしまった。
……本当に「男の子」と仲良くしていると思われたくないんだな。
少し複雑な気分を抱えたまま、僕は素知らぬ顔で羽川さんの後を追った。
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日曜の午後、僕は時間通り家の近所の公園へと向かった。
これまで何度か車で送ってもらってはきているけど、さすがに家の前まであんな大きな車で来たら家族に説明できないから、いつもこの公園の横で降ろしてもらっていた。
その公園横には、既に黒い大きなセダンが止まっていた。
僕は周囲に目を配って素早く乗り込む。
「待たせてしまってすみません」
運転席の水本さんに頭を下げると、水本さんは小さく会釈をしただけで車を発車した。
車はそのまま走り続け、二十分ほどで羽川さんの屋敷に着いた。
門を抜けて屋敷の玄関まで進むと、羽川さんと永田さんが迎えてくれた。
「ユキ、よく来てくれたわね。私はまだ少しやることがあるから後は永田に用意してもらっておいて」
それだけ言い残すと羽川さんは奥へ戻ってしまう。
「どうぞこちらへ」
永田さんに促され屋敷の廊下を進むと、着いたのは「洗い場」だった。
「あ、やっぱり今日も……」
「はい、清めさせていただきます」
羽川さんはティーパーティって言ってたけど、何か他にもあるのかな……。
あったとしても、羽川さんに逆らえるわけもなく僕はおとなしく衣服を脱いだ。
洗い場で永田さんと二人きりになったのはあの狂おしいような射精を体験した日以降は初めてだった。
そのことを思い出して少し落ちつかない僕に対して、永田さんは表面上は特に変わった様子はみられない。
やっぱりこれが大人の女の人というものなんだろうか。
「それでは、始めさせていただきます」
「……はい」
僕は壁に手をつき、お尻を突き出す姿勢をとる。
「あっ」
肉壁を押し広げ、暖かいものがゆっくりと中に注入し始めた。
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「本日は、こちらをお召しになられるよう申しつかっております」
僕のメイクを終えた永田さんが取り出したのは、持つ手が透けて見えるような白い薄布だった。
これは……この間のお店で試着させられたベビードールという下着?
「これを制服の下にですか?」
「いえ、本日はこちらのみでございます」
「え? 下着だけ?」
「はい、そのような趣向とのことです」
はぁ、やっぱり普通には終わらないんだな。
「まず、下をお手伝いしますので立っていただけますか」
「は、はい」
立ち上がった僕のガウンを解くと、永田さんが背後にまわる。
足元に広げられたら小さな布と紐のようなものの間に足を置くと、永田さんがそれを引き上げる。
「んんっ」
布の部分はとても小さく、しかも深く切れ込んだような形になっていた。
そこに肉棒と嚢が収まるとかなり窮屈に感じられた。
さらに、腰からお尻にかけては紐のようなものが交差して布の密着を増すようになっているようだった。
「いかがでしょう」
「正直、ちょっと締め付けが強いです。それに後ろががら空きみたいで……」
「はい、そのような造りになっています」
どうやら、布が覆っているのは恥骨から嚢のあたりだけでその後ろ側は紐だけのようだ。お尻どころか、お尻の穴も隠れていない。
「では、上はこれを着ていただいて、後はストッキングになります」
こうして、僕はベビードールを纏い太ももまで覆うストッキングを身に付けた姿になった。
「なんだか制服より恥ずかしいです……」
「よくお似合いでございますよ」
永田さんがスマホを取り出して何かを確認する。
「沙耶様のほうも用意が整ったとのことです。それでは参りましょうか」
「は、はい」
ドレッシングルームを出ると、僕は永田さんに先導されて「赤い部屋」へと向かった。
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「赤い部屋」の中は鮮やかな色彩で彩られていた。
真ん中の丸いベッドの回りにはいくつもの花台が置かれ、色とりどりの花々が活けられている。
ベッドの横には、普段は見かけない小さくて優雅なデザインのテーブルと椅子が数脚置かれ、テーブルにはティーカップや可愛らしいお菓子の載った皿が並べられていた。
「どう? 素敵でしょ」
背後で羽川さんの声がする。
「沙耶、ちゃん……」
振り返った僕の目に、僕の身に付けているものと同じ形の赤いベビードールをまとった羽川さんの姿が飛び込んできた。
「どうかしら?」
「う、うん。すごく素敵よ」
「ユキも可愛いわ、やっぱりお揃いにしてよかった。さぁ、早速お茶にしましょう」
羽川さんは僕の手を取ると、テーブルへと進んでいく。
目の前には、薄いレースの下に緩やかに膨らんだ羽川さんの胸があった。
きつく密着した下着のおかげで股間は簡単に大きくなったりはしなそうだったが、それでも目のやり場には困ってしまう。
僕達が席に着くと、永田さんが紅茶をカップに注いでくれた。
「それじゃ、パーティーを始めるわね」
カップを手にした羽川さんが永田さんに目配せをする。
永田さんは小さくうなづくとそのまま部屋から退出していった。
「あれ、今日は永田さんは?」
「ふふ、永田はまた別の用意があるのよ。しばらくは二人で楽しみましよう」
「う、うん」
しばらくの間、僕と羽川さんは学校やクラスメートのことでとりとめのないおしゃべりを続けた。
今日の羽川さんは機嫌がいいようで、僕をからかったりしてよく笑った。
30分くらいが過ぎたころだろうか。
部屋の扉をノックする音がした。
「ん、用意ができたみたいね」
「用意?」
「ええ、特別なゲストの登場よ。このパーティーはこれからが本番なの。入って--」
羽川さんの声に、扉が静かに開かれる。
そこに姿を現したのは意外な姿の人だった。
「永田……さん!?」
永田さんは黒いレースの下着とガーターベルトを身に付けていた。
長身で背筋をピンと伸ばしたその姿は、まるでカタログのモデルのようだった。
「ああ、イメージ通りだったわ。永田、もっと近くで見せて」
「はい、沙耶様」
永田さんがテーブルの前まで歩み寄る。
永田さんが身につけているのはブラジャーとショーツがつながったような黒のレースの下着だったが、その大部分は中がはっきりとわかるほど透ける素材でできていた。
こぼれそうなほどのボリュームの胸を包むブラの先端には、赤く色づいた突起がツンと突き出て、下腹部を最小限に覆うショーツの下には黒い茂みの形がはっきりとわかった。
「うん、いい感じよ。ねえ、ユキもそう思うでしょ。ユキ……ユキ?」
「……え!? ああ、そう、そうね」
まずい、思わず釘付けになっていた。
羽川さんが怒り出すかと思ったが、意外にも笑っていた。
「まぁ、見ちゃうわよね。すごいもの、永田の身体」
「え、あの……うん」
「見た目だけじゃなく、感度もいいのよ」
「え? 感度……?」
「ふふ、なんでもないわ。さぁ、永田も席について。今からは永田も一緒よ」
羽川さんが自ら永田さんの前のカップに紅茶を注ぐ。
「おそれいります」
「そういうのは今からはなしよ、いいわね?」
「……はい」
こうして、艶やかな花に囲まれた長い茶会が始まった。
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