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side会計 (玉木羽紅tamaki haku)
しおりを挟む意識が浮上し久しぶりによく寝れたなと思えば近くで感じる体温
あれ?今日って誰か連れ込んでたんだっけ?なんてぼんやりとした頭で考えつつ頭に乗っている何かに疑問が浮かぶ
二度寝はしたいけれど誰かがそばにいるのにこんなにもぐっすりと寝れたのは久しぶりだ
ゆっくりと開けた目に映ったのは誰かのシャツだった
そのままたどるように見上げると目を閉じて眠っているりょっくんがいた
りょっくんこと石金緑ishikane ryoku
生徒会の親衛隊総隊長兼、会長の親衛隊長だ
そういえば、と寝る前の状況を思い出す
そう俺は疲れきっていた
転入生が入ってきて副会長が妙に機嫌がいいから聞いてみたらとんだマリモ野郎ででも単純に面白くなるだろうなと思って近くに居たわけ
周りはピタリとそこから仕事をしなくなったけれど俺はやると決めたことはやらないと気が済まないから生徒会の仕事をほったらかすわけにはいかない
だけれど性格的にそれを知られるのはあれだからと二重生活を続けていたら睡眠時間を削らないといけないし可愛い親衛隊の子達との時間もなくなったわけ
あのこを面白いと思ったのは最初だけで今そばにいるのはもう惰性でもあったりする
最初に言われた身体だけの関係なんて寂しいだろの言葉で俺の可愛い親衛隊の子達との関係を持たなくなったと思ってるようだけどそれは違う
性欲は溜まる一方だが寝てないせいで俺の可愛い子達を傷つけてしまいそうだからだ
そんなの俺を想ってくれてる子に対して失礼じゃんか
誠心誠意とは言えないけれどその時だけでも大切にしてあげたいと思うのはやっぱり自分勝手だとしても俺のポリシーだ
そんなわけで最近は特に寝れてなくてクマを必死に隠して今日はとうとう限界がきたから誰も来ないであろう場所を選んだのに足音が遠くから聞こえてくるもんだから警戒した
最初は俺の親衛隊の誰かかと思ったがその足音は俺のベンチが見える少し離れたあたりでテンポのズレが生じた
俺が居て驚いただけかと思ったがどうやらそうではなさそうで戸惑ったような空気が伝わってきた
眠いから対応はおろそかになるだろうけどその誰かが気になって振り向こうとすれば足音は少し近づいて来た
「お会いできて光栄ですぅ」
振り向くと同時に声をかけてきたのはりょっくんだ
相変わらず嘘の音色だ
『ん~?あ、りょっくんだ~相変わらずだね~』
「会計様はぁどうしてこちらにぃ?」
ほんの一瞬表情が固まったように見えたけど気のせいじゃなさそう
うまく隠せてるとは思うけれどやっぱりりょっくんって嘘つきだねぇ
『りょっくんに会えるかな~って、ね?会えたでしょ』
ま、俺も礼儀として嘘には嘘で返さなきゃなんないじゃん
「わぁ嬉しいですぅ!もう少しお話していたかったんですが僕用事を思い出しちゃったのでいきますねぇ」
そう言って早々に話を切り上げようとすることとかも俺たち生徒会を好きじゃない証拠でしょ?
不意に寒さを感じて踵を返そうとするりょっくんを呼び止める
いいこと思いついた!
空気感だけは不審そうにしながらも笑顔で近寄ってくるりょっくんは器用だなって思う
眠くて仕方なかったけれど寒さには抗えない
この嘘つきには嫌がらせとして人間カイロになってもらおう
勢いのまま倒れ込み座ったところへ頭を乗せて腰に抱きつく
思ってた以上に腰が細かったけれどいつか抱いてみたいな~っても思う
この腰を後ろから掴んで、って想像するだけでエロいよね
すぐに目を閉じて寝れないだろうけど寝たフリをする
それを見てかどうかはわからないけどこわばっていた身体から力が抜けていくのがわかった
それにしてもどうにも寒くてモゾモゾと動いていたらため息が聞こえた後俺の上に少しだけ重みが加わった
多分上着をかけてくれたんだろう
文句も言わずみじろぎしただけで寒いことも察してくれてよく気がつくなって感心する
徐々にあったかくなってそこで俺の意識はプッツンと途切れていた
ずっと頭に感じる手の温もりにもっと撫でて欲しいなと思うけれどこんだけ無防備な姿を見るのは今だけだと思うと起こしたくないという気持ちがせめぎ合う
やっぱりもう一度寝ようとした時に上からんっと声が聞こえる
ぼやぁっとした目で俺を捉えると何故か微笑んで頭に置いていた手を動かし始めた
こんな笑い方するとか聞いてない
頭を撫でられながらパニックに陥りそうになる
何故か恥ずかしくなってきて顔を腹に埋めようとするとグイッと上を向かされるようにして目元の下あたりを撫で始めた
「まだ取れてはいないけどさっきよりかはマシになったのなら良かった」
と小さな声で先ほどの微笑みのまま呟くりょっくん
いつもの嘘で固められた音色とは程遠くそこで初めてりょっくんの本当の声色を聞いた気がした
体が硬直してだけれどじわじわと湧き上がってくるこの気持ちはなんだ?
じっと目が合った後ハッとしたような顔をして離れていく手はやはり名残惜しい
「んン"、会計様はぁお疲れだったんですねぇ
よく眠れたようで安心しましたぁ」
『ねぇりょっくん』
「なんでs..ン...ふッぅ.. ア」
嘘と本音が混じった声色と笑顔は本当を知ってしまった今としては聞きたくも見たくもないものだった
それなら塞いでしまえば聞こえないし顔が近くておまけに表情は隠せる
呆然としている間に首筋へとキスを落とす
もっと堪能して本当の声を聞きたいけれどなんだかだるくなってきてポスっと膝の上へと頭を預けた
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