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side 双子コスプレイヤーキャスト

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『おー。永久えいく久遠くおん来てくれたんかー』
目の前にいるゆるーい喋り方の男は俺らがバイトしている妄想くらぶのマネージャー
妄想くらぶってのは怪しい感じの店じゃないよ?
お客さんの要望でコスプレとかをして誕生日お祝いして欲しいだったり、漫画とかのネタに困ってるから相談したいとか色んなポーズ描きたいから手伝って欲しいだったりそんな要望をレンタルして叶えよう的な、ね?オタク向けに痒いところに手が届く商売をやってるバイト
俺ら2人は本物の双子なだけあって結構忙しい
普段からコスプレやってるだけあってその界隈とかでのレンタルとかもあったりするし、そこそこ収入もあって趣味の延長みたいに働けるのが助かってる
そんなマネージャーから昨日の夜に朝一で呼び出されてここまで来た
「今日はどうしたのー?」
「なんかまた面倒な依頼?」
面倒な依頼とか事前確認が必要だったりする依頼はこうやって事務所に呼び出されて打ち合わせをすることも多いため今回もそうだと思っていた

『それがなー、見たほうが早いか。ほら、これ』
そう言ってパソコン画面に映された画像を見て衝撃を受けた
「久遠」
「わかってる」
そう言って持っていた携帯でとあるサイトのアプリを起動する。少しの時間も惜しくて久遠が若干イラついてるのが感じられた
その間に俺はマネージャーに問いかけた
「マネージャー、これって新規客から?」
『ああそうだ。この絵を見た瞬間お前らが浮かんでなぁ どうしたらいいか「永久、更新されてない」』
「はぁ」
期待した分落胆も大きかった
もしかしたら俺らの推しかもしれなかったから。最近になって突如更新された推しからの供給
知ったのは8年前で双子の禁断の愛が描かれた未完の物語がきっかけだった
見つけた頃にはもう活動が停止して何年も経っていて絶望に近い感情を抱きせめてもの思いでコメントを綴った
俺らは双子だけど雑食だし地雷も少ない。なんなら俺らが絡めばかなり反応があるのも知ってるから結構際どいことも平気でできる
お互いそんな目で見たこともないしあり得ないけどこの漫画だけは何故か惹きこまれたんだ
活動停止から15年経った今その人が何のきっかけがあったのかはわからないが更新してくれたときには2人で大号泣した
ここ1ヶ月ほどの投稿頻度も高く期待も高まっていたところにこの絵は期待するじゃん
でもあの人の投稿がないってことはこれが全く赤の他人が描いた俺らを描いた絵ってことになる

『いつになくこっちの話を聞かんなー?どうした』
「だってぇせんせーじゃなかった」
『えー?あぁ、お前らがよく言ってる先生かー。なんだっけゆか?』
「ちかだよ、マネージャー」
『そう、それだ!』
「いつになったらおぼえてくれんのさぁ」
『ん?ちか?ハッお前らそのサイトってこれか?』
「なっ、んでマネージャーがこれ…?」
かちゃかちゃ操作をしたと思えばその画面にはせんせーのアカウントが記載されたサイトが映し出された
隣でもしかして…と呟く久遠の声が聞こえたと思えば久遠はマネージャーに抱きつき
「マネージャー愛してる」
と叫んでいた
『おーおー大袈裟だなー』
つまりはそういうことだ。依頼内容を聞く前にマネージャーに伝える
「マネージャー、この人の仕事なら全部俺ら2人だけにまわして。絶対他の人はダメ」
『分かったわかった!だからそんな2人して睨むなすごむな!』
「で本当に先生であってんだろうな?」
『こえぇよ久遠ー』
虚偽の可能性だってあるわけで過去にもそういった被害が結構起きている
だからそこそこ名のある人が新規客で紹介じゃない単体での予約の場合そういったことをなくすためにも綿密な打ち合わせという名の事実確認がされることになっている
けれど現時点でこの絵はどこにも出ていないし、ということで俺ら2人の目の前でせんせーに電話をかけてもらうことにした

『あ、もしもし~。こちら妄想くらぶのマネージャーです。今お時間よろしいですか?ええ、確認事項がありましてーーーーーー』
そう言って続く会話を盗み聞く。電話越しに聞こえる声は落ち着いた男の人の声でどんな人かなと想像する
そうしているうちに話は終わったらしくマネージャーが電話を切った
不満そうな顔をしているのは俺だけではないらしく隣を見ても明らかに眉間に皺がよった久遠がいた
『声が聞けただけでもよかったじゃねーかー。それにほら、きたぞ』
電話の後そんなに時間が経っていないにも関わらずこちらに送ってきた絵のうちの一つが投稿される
隣を見るとすぐさま反応して携帯で物凄い量の文章を打っているのが伺えた
それを見て俺も、”せんせー待ってました!ありがとうございます”もコメントを打つ
『よし、これで本人確認終了だなー。これから衣装とウィッグ制作入るとするかー』
「マネージャー要らないよぉ」
「衣装もオレらが作るし髪も染める。それなら先生に負担少なくなるでしょ」
『そうだが。贔屓、ウッまあお前らの勝手だもんなー。他の客にはバレないようにしろよ』
「マネージャーあんがと♡」
「さすが我らがマネージャーだね」
『お前らがおどs…そうだな。何日で仕上げれるー?』
「仕事入らないでいいなら3日。入らないといけなかったらそれ次第」
「妥当は2週間ってとこか」
『よし。ならその辺りで予定つけとくわー、また相手方の日程決まれば連絡すっからなー』
話の折り合いもつき、そのまま家に帰ることになった



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