チャラ男

yumemidori

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今俺は何故だかれんれんのお姉様の家にいる
それもれんれんを除くお姉様と俺の2人で、だ。
大切なことだからもう一度言う
お姉様と俺だけだ
れんれんは眠たかったらしく寝に行った
本当自由人なんだから

キスをした後、まだ呆けている可愛いれんれんを誰にも見せないように抱えて空き教室に連れ込んで愛でようと意気込んでいたはずだった
微かに赤い耳にキュンとして下半身はとんでもなく滾ってやっと夢が叶いそうだったのに。
「俺の家…」
『ん?』
「俺の家来ねぇー?」
は?なるほど、幻聴か。そりゃいつかはと思っていたが俺浮かれすぎだろ。
「来てくんねぇと俺…」
一度顔を上げたかと思うと段々と声が小さくなっていく
まじでなんなの。俺今日命日だったわけ?軽率に×ねるんですけど
「椿、頼む」
力なく縋るような目で見られ、多分初めて呼ばれたであろう俺の名前
逆にいいのか、れんれん
今まで拒んできたのに急に積極的じゃん
『わかった、どこな訳?』
「良かったぁ、この近く~」
みるからに上機嫌になり可愛い顔をするれんれん

まじで周りに誰もいなくて助かった
すぐ人を誑かすんだから参ったよ
それも今日で終わりかと思うと感慨深い気持ちになる
明日からは堂々と俺のもん宣言を触れてまわってもいいわけだろ?滾ってきた
そこからは秒で学校を抜け出しれんれんについていく
ルンルンな顔をしたれんれんが可愛すぎて何枚か盗撮したのは見逃してほしい
着いたのは別荘みたいな家で今からここでれんれんと♡♡♡なんて思っていたらインターホンを鳴らしていた
疑問に思ったけれど浮かれていた俺は気にならなかったのだから思考が下半身に奪われていたんだろう
家の中から音がして扉が開いたと思ったら美人な女性が出てきた
だれ?
浮かれていた思考が一気に冷めて思わずれんれんを睨んでしまう
その視線気づかないところもその女性に対して可愛い笑顔を見せているのも気に食わない
こいつは俺のだ

「最高!さすがうちの子だわ!」
戸惑いもなく抱きつかれてるれんれんを視界に入れるともう止まらなかった
女性を大切にしないといけないのは理解してはいるがれんれんが絡むとまた別だ
すぐさま引き剥がしれんれんを奪い返す
倒れないようには配慮したけど多少乱暴なのは許してほしい
それにうちの子発言も気に入らない
れんれんを抱き込んで女性に取られないように睨む
それに俺は浮気を許すつもりはない
これからは俺だけがれんれんを愛して生きていくんだ
だかられんれんこの女性ヒトとはお別れしよう?
こっちが睨んでいるにも関わらず一瞬驚いた顔をしたが次に見せた顔は恐怖ではなく微笑みだった
その表情に虚を突かれたのはこちらの方だった

「ふふっ、素敵ね!椿くんと言ったかしら?」
!?何故名前を
「初めまして、蓮の姉の凛です」
れんれんのお姉様?!思わずれんれんを見つめると、きょとんとしている。シンプルに可愛い
「突然ごめんなさいね、あたしが無理を言って連れてくるように頼んだのよ~。その様子だと蓮が何も言わずに連れてきた感じよね、期待させて悪かったわ」
美人のウインクは破壊力がある
れんれんに顔立ちが似てるから余計にクるものがあるがあくまでれんれんに置き換えたからだ
しかも多分このお姉様、俺がれんれんを好きだと勘付いているし勘違いでノコノコついて来た俺のことも見透かされているようだった
その上で呼び出してどうするつもりだ?
「そんな身構えないで?とりあえず中に入って、ね?」
『おじゃまします』
警戒心を抱きながら中に入れてもらいお姉様が紅茶を用意している間にれんれんは眠いと言ってのんきに寝室へと行ってしまった
正直心細い、それに俺の第一印象は最悪なはずだ
女性を、それもれんれんのお姉様を突き飛ばすようにしてれんれんを奪ったんだから
ソワソワと落ち着かない気持ちでいるとお姉様がもどってきた

『ありがとうございます。…あの』
「ふふっ、怖がらせたみたいね ゆっくりくつろいでほしいのだけど、ね?」
『いえ、あの先程は失礼しました。お怪我はありませんでしたか?』
「ん?あぁ、大丈夫よ 手加減してくれたでしょ?それにあれを見て弟はあなたに任せてもいいかなと思えたのよ」
『ぇ?』
「んーあの子って抜けてるでしょう?それにあの顔立ちでモテるから大変で。蓮に危害を加えるとかはなかったけど何回か相手同士で揉めて大事になったのよ、それに本人があんまり他人に興味がないから余計に相手を加速させちゃって、ふふっ心当たりがある感じの顔してる」
確かに蓮は人たらしで抜けてる、他人の名前なんて知らないだろうと思っていた。あんだけ絡みに行ってたのに一度も名前を呼ばれたことがなかったからてっきり俺のことも知らないんだろうなと思っていたくらいだ
だからさっき呼ばれた時はちゃんと認知されていたんだと嬉しくなったのを覚えてる
それに相手が加速するのはわかるかもしれない
俺もそれで何回かトラブったし、上手く立ち回らないと自分に被害があると学んできた

「それでね1週間ほど前に連絡がきたの。髪を染めたいって、なんか心境の変化でもあったのかと思って聞いて見たら椿くんの名前が出てきたからびっくり。理由は面白かったけどその1人のために変えるなんてと思ったから。理由はあの子に聞いてみてね?その方があの子が何を考えてるかわかるでしょ?」
俺がれんれんを変えた?髪色を変える原因??
なんだか頭がパンクしそうだった
れんれんも少しは俺のこと好いてくれてる?
「蓮をお願いねって言いたくて連れて来てもらったのよ、来てくれてありがとね!来た理由は違ったかもしれないけれどこれからもよろしくお願いします、望んでる関係に行き詰まったらおいでね?アドバイスくらいはあげられると思うから!椿くんを応援してるからね」
『ありがとうございます』
びっくりした、れんれんをお願いかぁ
そんなことを言われると思ってなかった
あんなに失礼なことをしたのに応援までされてしまった
「あ、それとね知ってると思うけどあの子のチャラ男は演技よ?あたしが吹き込んだから。口調はあの子の素だけどスタイリングは入れ知恵、囲い込めたら戻してくれて構わないけど変な虫がたくさん沸くかもしれないから程々にね?」
なるほど、薄々思ってはいたがそうか。確かに変な虫を蹴散らせるほどにならないとれんれんが素のままだと色々危険だ
ありがたい助言とともにれんれんのいろんな話に花を咲かせているとあっという間に時間が過ぎた

れんれんが起きて来て昼食も頂いてそろそろ帰ることにした
去り際にお姉様から’抱き潰さないようにね?’と告げられ驚いたのは無理もない
「蓮、椿くんと仲良くね?」
『んー?うん、じゃあね~』
仲良くに込められた意味が分かってるのか曖昧な返事をしている
『おじゃましました』
「うんまたいつでも来てね?1人でもいいからねー?」
『はい、また是非!』
こうして仲良くなった茶目っ気のあるお姉様にこれからも翻弄されるんだろうか

隣で歩くれんれんの歩みが微妙に遅くなり顔を覗き込むと少し不貞腐れているように見える
俺の勘違いじゃなかったら嬉しい
『れーんれん』
「なにぃ」
ちょっと甘えたような音色がした
期待してもいいかもしれない。そんなことを思いながらチュッと音をたててキスをする
『いいのー?素がみえてるよー?』
「だって知ってんじゃん、聞いたんじゃねーの」
『かわいーなぁれんれんは』
「……凛ねぇより?」
ポツリと小さな声で呟いたその言葉
「ッ、ちげぇ!こっちみるなぁ~」
貴重すぎるデレをこれから何回見れるだろうか
『れんれん付き合って?』

「ッいーやーだ!お前なんかと付き合わねぇ!」
そう言って突然走り出したれんれんを追いかけて抱きしめる
そのままキスで落として抱き上げると簡単に持ち上がった。抵抗することもなさそうなのでそのまま俺の寮部屋行きに決定した
その後部屋で念願が叶ったのか、果たして恋人になれるかどうかは未来の俺に託された

願わくばハッピーエンドのその先で2人一緒にいたい





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