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カフェ·シリウス
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「先輩、カフェ·シリウスというお店、知ってる?」
『ああ、知ってるよ。その近くなんだね。すぐ行くから動かないで』
「あ、うん」
そんなに時間もかからずに、先輩はやって来た。
凄く急いでくれたようで、息を切らしている。
「先輩、ごめんなさい」
「いや、そもそも俺が途中で抜けたからこんなことになったんだ。すぐに会えたから良かった」
先輩は息を整えている。ああ、また私、迷惑をかけてしまった。
あ、そうだ。
せっかくだから、お礼がてらに先輩をこのカフェに誘ってみよう。
私は目印のカフェを見ながら言った。
「先輩、コーヒーは好きですか?」
「俺、コーヒーに目がないんだ。毎日飲むほど好きかな」
うわ、それは良かった!
「ちょうどお昼だし、ここに入りませんか?」
「あ、いいね」
このお店は素敵だなって思ってたので、つい先輩を誘ってしまったんだけど、いい返事がもらえて良かった。
カフェ·シリウスは本格的なコーヒーのお店だけど、食事も提供しているそうだ。
それがとても美味しいらしくて、なかなか繁盛している。
店内はそんなランチ目当ての人達で混雑していた。
「あそこ、空いてる」
先輩の後について空席に座ったんだけど、目の前に大好きな先輩がいて、一緒に外食なんて、なんだかそわそわしてしまう。
席につくとすぐにお店のウェイターさんが注文を取りに来た。
せっかくコーヒー専門店に来たんだから、コーヒーを頼みたいよね。
だけど私はコーヒーは甘くしないと飲めない。
苦いのは苦手なんだ。
だから、ミルクたっぷりのカフェ・ラテにした。砂糖もたくさん入れないとね。
それと、ランチタイムのシェフのオススメプレートというのを注文してみた。
チキンの香草グリルにポテトサラダ、魚介のマリネとほうれん草のクリームパスタ、オニオンスープが付いている。
ボリューム満点だ。
先輩のコーヒーはマンデリン。
あんな苦い飲み物をよく飲めるよね。大人だなぁ。
ランチはポークカツレツのトマトソースがけ、エビフライ、ベーコンとブロッコリーのキッシュ、シーザーサラダ、ミネストローネが付いたプレートにプラスして、クラブハウスサンドを頼んだ。
私の注文したものの二倍はあるだろう。
今朝も思ったんだけど、見かけからは想像できないが、先輩はよく食べる。
高校生男子の胃袋は底無しなのかもしれない。
それにしても、このお店は店内全体に光が行き届き、明るくていい雰囲気だね。
そして、漂ってくるコーヒーの香りが鼻をくすぐる。
苦いのは苦手なのに、この香りはとても心地良く感じる。
「先輩はこのお店よく来るの?」
「ああ、たまにね」
今日注文したのも、先輩のお勧めだったりする。
「ところで美結、学校までの道のりはわかる?」
あ、私が頼もうと思っていたこと、先に先輩が気遣って聞いてくれた。
「全然分からないの。それも付き合ってもらっていいかな?」
「いいけど、行きと帰り両方だよね」
「あ、帰りはバイトがあるからなあ。バイト先に迎えに来てもらうなんて、お願いしても大丈夫?」
「それは全然構わないよ」
「わあ、良かった。ありがとう」
先輩はホント親切だなあ。
一時は追い出されるかと悩んでいたのに、今じゃ嫌な顔ひとつせずに、私の頼みを聞いてくれる。
バイト先の情報をあれこれ先輩に伝えていたら、注文のお料理が運ばれてきた。
予想通り、ボリューム満点の上、色合いも綺麗で食欲をそそる。
それでは早速ランチをいただきましょう。
「いただきます」
んー、美味しい。
チキンは周りがカリカリで中は柔らかくジューシー、香草の風味が最高である。
私は料理が好きなので、外食をして美味しかったら、味を覚えて家でも作るようにしている。
ハーブはバジルとローズマリーだ。
これなら作れる!
楽しみが一つ増えたなと微笑んでいると、目の前の柚希先輩が不思議な顔をしてこちらを見ている。
「先輩、私の顔になにか付いてる?」
「いや、なんだか楽しそうだなと思って」
『ああ、知ってるよ。その近くなんだね。すぐ行くから動かないで』
「あ、うん」
そんなに時間もかからずに、先輩はやって来た。
凄く急いでくれたようで、息を切らしている。
「先輩、ごめんなさい」
「いや、そもそも俺が途中で抜けたからこんなことになったんだ。すぐに会えたから良かった」
先輩は息を整えている。ああ、また私、迷惑をかけてしまった。
あ、そうだ。
せっかくだから、お礼がてらに先輩をこのカフェに誘ってみよう。
私は目印のカフェを見ながら言った。
「先輩、コーヒーは好きですか?」
「俺、コーヒーに目がないんだ。毎日飲むほど好きかな」
うわ、それは良かった!
「ちょうどお昼だし、ここに入りませんか?」
「あ、いいね」
このお店は素敵だなって思ってたので、つい先輩を誘ってしまったんだけど、いい返事がもらえて良かった。
カフェ·シリウスは本格的なコーヒーのお店だけど、食事も提供しているそうだ。
それがとても美味しいらしくて、なかなか繁盛している。
店内はそんなランチ目当ての人達で混雑していた。
「あそこ、空いてる」
先輩の後について空席に座ったんだけど、目の前に大好きな先輩がいて、一緒に外食なんて、なんだかそわそわしてしまう。
席につくとすぐにお店のウェイターさんが注文を取りに来た。
せっかくコーヒー専門店に来たんだから、コーヒーを頼みたいよね。
だけど私はコーヒーは甘くしないと飲めない。
苦いのは苦手なんだ。
だから、ミルクたっぷりのカフェ・ラテにした。砂糖もたくさん入れないとね。
それと、ランチタイムのシェフのオススメプレートというのを注文してみた。
チキンの香草グリルにポテトサラダ、魚介のマリネとほうれん草のクリームパスタ、オニオンスープが付いている。
ボリューム満点だ。
先輩のコーヒーはマンデリン。
あんな苦い飲み物をよく飲めるよね。大人だなぁ。
ランチはポークカツレツのトマトソースがけ、エビフライ、ベーコンとブロッコリーのキッシュ、シーザーサラダ、ミネストローネが付いたプレートにプラスして、クラブハウスサンドを頼んだ。
私の注文したものの二倍はあるだろう。
今朝も思ったんだけど、見かけからは想像できないが、先輩はよく食べる。
高校生男子の胃袋は底無しなのかもしれない。
それにしても、このお店は店内全体に光が行き届き、明るくていい雰囲気だね。
そして、漂ってくるコーヒーの香りが鼻をくすぐる。
苦いのは苦手なのに、この香りはとても心地良く感じる。
「先輩はこのお店よく来るの?」
「ああ、たまにね」
今日注文したのも、先輩のお勧めだったりする。
「ところで美結、学校までの道のりはわかる?」
あ、私が頼もうと思っていたこと、先に先輩が気遣って聞いてくれた。
「全然分からないの。それも付き合ってもらっていいかな?」
「いいけど、行きと帰り両方だよね」
「あ、帰りはバイトがあるからなあ。バイト先に迎えに来てもらうなんて、お願いしても大丈夫?」
「それは全然構わないよ」
「わあ、良かった。ありがとう」
先輩はホント親切だなあ。
一時は追い出されるかと悩んでいたのに、今じゃ嫌な顔ひとつせずに、私の頼みを聞いてくれる。
バイト先の情報をあれこれ先輩に伝えていたら、注文のお料理が運ばれてきた。
予想通り、ボリューム満点の上、色合いも綺麗で食欲をそそる。
それでは早速ランチをいただきましょう。
「いただきます」
んー、美味しい。
チキンは周りがカリカリで中は柔らかくジューシー、香草の風味が最高である。
私は料理が好きなので、外食をして美味しかったら、味を覚えて家でも作るようにしている。
ハーブはバジルとローズマリーだ。
これなら作れる!
楽しみが一つ増えたなと微笑んでいると、目の前の柚希先輩が不思議な顔をしてこちらを見ている。
「先輩、私の顔になにか付いてる?」
「いや、なんだか楽しそうだなと思って」
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