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フェザークラウス
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「フェザークラウス家。その歴史は古く、この王国建国の頃から存在すると言われている」
「······」
私はフィンさんの話を静かに聞くことにした。
アレクの実家のことはほとんど耳に入らなかったから、初めて聞くことばかり。
王国建国というと、今から五百年位前のことになるね。
その頃からあるということは、かなりの旧家だ。
「当時は国も荒れていて、隣国との諍いも絶えなかった。それが大きな戦争に発展し、侵略され、王国の危機に瀕した時、フェザークラウス家の当主が国を救った。フェザークラウスは、類稀な魔法を持ってして敵を退けた」
そうなんだ。
アレクのご先祖様は救国の英雄なのね。
「そのことを喜んだ当時の国王は、フェザークラウスを重臣に取り立て、広大な領地と褒賞を与えた。その褒賞が後継者のリングだ」
うわ、やっと出てきた!後継者のリング。
あら、王国の重臣ってことは、アレクの家は貴族?だよね、きっと。
「この後継者のリングは魔法の品で、その所持者は富と繁栄を約束される。所持することにより、フェザークラウス家を繁栄させるんだ。ただし、そのリングに所持者と認められなければいけない」
あれは魔法のリングなの!
確かにあの輝きは普通じゃないよね。魔法の品は通常一般には出回らない貴重なものだ。
それにしてもリングが所持者と認めるって?
一体どういうことなんだろう?
「そのリングに力を示すこと、それが所持者と認められるための条件だ。力とは魔法の攻撃力のことを言う。フェザークラウスの血と魔法の力。その力を示し認められない限り、所持者にはなれない。逆に言えば少しの血の繋がりがあり、力を示すことができれば、所持者になりうるわけだ」
今の話から、フィンさんにもフェザークラウスの血の繋がりがあるってことね。
アレクからリングを奪い、フェザークラウスの当主になるのが目的なのか。
もしくは単に富と繁栄を手に入れたいが為の行動なのかはわからない。
「俺のほうが力があるってことを証明してやる。アレクの神聖魔法じゃ、どう足掻いても力を示すことは不可能だからな。初めからアイツには後継者の資格は無かったんだよ」
得意気に話を続けるフィンさんを見ながら、これからどうやってこの場を切り抜けるべきか、私は頭を悩ませていた。
「フェザークラウスに必要なのは力なんだよ。俺ならば······」
まだまだ話は続きそうで、私はふうっと息を吐いた。
『······ア』
·····ん?
誰かの声が聞こえた気がしたんだけど。気のせいかな?
『ティア、ティア』
『!!』
小声で名前を呼ばれギョッとして声のした方を見ると、先程まで完全に停止していたアレクが、まるで何事も無かったかのように、にこやかに微笑んでいた。
「······」
私はフィンさんの話を静かに聞くことにした。
アレクの実家のことはほとんど耳に入らなかったから、初めて聞くことばかり。
王国建国というと、今から五百年位前のことになるね。
その頃からあるということは、かなりの旧家だ。
「当時は国も荒れていて、隣国との諍いも絶えなかった。それが大きな戦争に発展し、侵略され、王国の危機に瀕した時、フェザークラウス家の当主が国を救った。フェザークラウスは、類稀な魔法を持ってして敵を退けた」
そうなんだ。
アレクのご先祖様は救国の英雄なのね。
「そのことを喜んだ当時の国王は、フェザークラウスを重臣に取り立て、広大な領地と褒賞を与えた。その褒賞が後継者のリングだ」
うわ、やっと出てきた!後継者のリング。
あら、王国の重臣ってことは、アレクの家は貴族?だよね、きっと。
「この後継者のリングは魔法の品で、その所持者は富と繁栄を約束される。所持することにより、フェザークラウス家を繁栄させるんだ。ただし、そのリングに所持者と認められなければいけない」
あれは魔法のリングなの!
確かにあの輝きは普通じゃないよね。魔法の品は通常一般には出回らない貴重なものだ。
それにしてもリングが所持者と認めるって?
一体どういうことなんだろう?
「そのリングに力を示すこと、それが所持者と認められるための条件だ。力とは魔法の攻撃力のことを言う。フェザークラウスの血と魔法の力。その力を示し認められない限り、所持者にはなれない。逆に言えば少しの血の繋がりがあり、力を示すことができれば、所持者になりうるわけだ」
今の話から、フィンさんにもフェザークラウスの血の繋がりがあるってことね。
アレクからリングを奪い、フェザークラウスの当主になるのが目的なのか。
もしくは単に富と繁栄を手に入れたいが為の行動なのかはわからない。
「俺のほうが力があるってことを証明してやる。アレクの神聖魔法じゃ、どう足掻いても力を示すことは不可能だからな。初めからアイツには後継者の資格は無かったんだよ」
得意気に話を続けるフィンさんを見ながら、これからどうやってこの場を切り抜けるべきか、私は頭を悩ませていた。
「フェザークラウスに必要なのは力なんだよ。俺ならば······」
まだまだ話は続きそうで、私はふうっと息を吐いた。
『······ア』
·····ん?
誰かの声が聞こえた気がしたんだけど。気のせいかな?
『ティア、ティア』
『!!』
小声で名前を呼ばれギョッとして声のした方を見ると、先程まで完全に停止していたアレクが、まるで何事も無かったかのように、にこやかに微笑んでいた。
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