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研究35 野生化

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 ゴブリン視点

 ゴブ(まずい。)

 さっぱり動けなかった。
 この状態では死に一直線である。

 「どしたの。」

 そんな危機的な状況の中、まったく気にしていない声が伝わってきた。

 「ちょっと時間空いたからまた見に来たけど、どうしてそんな状況に。」
 「でも、ちょっと手間だしなー」

 ゴブ(お助けを。)

 どうしようもないときに、降ってきた一筋の希望だ絶対に逃すわけにはいかない。

 「まあ、助けるか。」

 毒が急激になくなってきた。
 体が自由に動く。

 これはお礼を言わないといけないだろう。 
 たとえ途中で見放されそうになっていたとしても。

 ゴブ(ダンジョンマスター様お助けくださりありがとうございます。)

 「いいってことよ。」
 「そこまでの手間じゃないし。」

 それからダンジョンマスターはこちらへと近況を聞いてきた。
 しかし、どうしようもない現状だったためそういうしかなかった。

 「じゃ、すぐに戻らないといけないから。」

 忙しいのかすぐに気配が消えていった。

 そうして、しばらくの時が流れた。
 まだ見つからない。
 どこにもない。
 
 そうして、だんだんと意識が混濁してきた。
 だんだんと理性が消えていくのを感じる。

 ゴブ(飯)

 だんだんと考えるのが難しくなってきた。
 こうなったらどうしようもできないだろう。

 ゴブ(寝る。)

 困ったときは眠るに限る。
 いまさらじたばたしたところで何とかなるわけでもない。

 寝て目が覚めたら、何か変わるのかと思っていたわけではない。
 この状況が改善するわけでもないし。

 ゴブ(ゴブ)

 とうとう言葉に意味がなくなってきた。
 ただの唸り声となってしまっている。

 しかし、ふとした瞬間に思い出す。
 何しなければらないことがあったと。

 しかし、考えは一瞬で押し流される。
 考えを保っていることは不可能だった。

 だが、足が勝手に動いているときがあった。
 どこかへ向かっているような。
 向かっていないような。 

 ゴブ(ゴブゴブ)
 ゴブ(ゴブ)

 どんどん悪化していく

 意味のない言葉を垂れ流してく。
 そんな無意味な日々を過ごした。
 
 そうして、ほぼ完全に野生に戻っていたところ。
 声が聞こえた。

 「なんか大変なことになってるね。」
 「どうにかなるかなこれ。」
  
 「まあ、力技で何とかするか。」

 その言葉と共に私の意識は薄れていった。
 もはやこの声にも聞き覚えはなく、恐ろしい感じしかしなかった。

 ゴブ(ゴブ)

 そう一鳴きし、意識は完全に途絶えた。
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