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戦闘30 置き去り

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 ゴブリン視点

 ようやく前線へと到着し、戦いは続く。

 ゴブ(やばいです!)
 ゴブゴブ(撤退しましょう、今すぐ。)

 しかし、それでも状況は最悪だった。
 実力に差がありすぎる、生まれつきの能力に差がありすぎて話にならない。

 奴らもどんどん突っ込んでくる。

 ゴブ(引きましょう、今すぐ。)

 配下のゴブリンたちも撤退をすごい勢いで進言してくる。
 
 ゴブ(落ち着け。)
 ゴブ(前線部隊的は突っ込んできた個体に集中して攻撃せよ。)

 突っ込んできたやつらは、はっきり言って突出している。
 勢いはあるが、数でごり押せば何とかなるはずだ。

 ゴブ(負けるわけにはいかないんだよ。)
 ゴブ(つま先を抉れ!)
 ゴブ(動きを止めれば勝てるぞ。)

 私も積極的に声を張り上げ、士気を何とか上げようとする。

 ぐもーーーーー
 
 ゴブ(何言ってんのかわかんないんだよ!)
 ゴブ(食らえ!)

 攻撃によって敵も多少は苦しんでいるようだ。
 身長的な問題で、頭などの大きな弱点には攻撃は届かない。

 しかし、どうとでも戦える。
 足を攻撃し動きを止めて、タコ殴りにすれば勝てる。

 ぐもーーーーー

 ゴブ(よし。)

 攻撃によって敵が倒れた。

 ゴブ(ぐはっ)

 しかし、それでも全体とはしては不利なのは変わらない。

 そもそも正面からあたろうとしたこと自体が間違いだったのか。
 とはいってもこの状況から何とかするには、少しずつでも状況をよくしていくしかない。

 ゴブ(もうだめだー。)

 しかし、それでも状況は厳しいようだ。
 突出していいた個体を狩っても、まだまだどんどんやってくる。

 ゴブ(どうしようもないのか。)

 私は悩んでいた。
 この状況では何体か倒すことはできるだろうが勝てはしない。

 ゴブ(総員撤退)

 私は苦渋の決断をした。
 この場所を放棄することは、私たちの階層に相手が流れ込むことを意味する。
 勢いに乗られた相手を止めることはできない。

 ゴブ(いやほーーーー)

 ゴブリンたちは我先にとワープゲートへと逃げていく。
 ワープゲートからすぐ先に出たところで戦っていたため、素早く逃げられた。

 ゴブ(ちょっと待て。)
 ゴブ(早すぎるだろ。)

 しかし、そこに乗り遅れた階層主が一人。
 撤退ということは、きちんと殿を立てて、確実に撤退するものだと思っていたのだが。
 ゴブリンたちにそんなことを教えていなかったし、当然のように置いて行かれた。 

 階層主になったときに与えられた知識に影響を与えられすぎたか。
 そう歯噛みするが、急ぐしかない。

 いつもなら構わないだろう。
 すぐに復活することができるし、むしろ自分から最後まで残っただろう。

 しかし、この条件ではまずい。
 私が置いて行かれることは非常にまずい。

 ゴブ(あ、)

 そうして、周りの仲間はすべて撤退してしまった。
 ・・・これは間違いないだろう。

 置いて行かれた。
 
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