上 下
59 / 77

戦闘27 引きこもり階層主

しおりを挟む
 ゴブリン視点

 「始め!」

 ダンジョンマスターの声が聞こえると同時に階層同士が接続され、階層戦が始まった。
 状況が分からない以上後手に回るのは危険である。

 ゴブ(第1部隊突撃!)

 ワープの先へとどんどん戦力を投入していく。
 こちらの種族等分からないのは相手も同じだが、探り合いをするにしても限界がある。
 少なくとももともとの力は階層が低い分確実に我々よりも強者である。

 相手が分からないのはどちらも同じ、ならば一気に最大戦力を投入して、攻撃を仕掛けこちらが少しでも有利な状態にしなければ。

 この中には進化をしたホブゴブリンなどの個体も所属させており一番の戦力だろう。
 もちろん、守備のためにある程度のゴブリンの数は残しておく。

 どんなに押していても、階層主である私が打ち取られたら負けなのである。
 守りももちろんおろそかにするつもりはない。

 しかし、その作戦にはこんな異様な反対意見も出た。

 ゴブ(全軍突撃をするべき。)
 ゴブ(突っ込もう。)
 ゴブ(ゴブリン最強。)

 ・・・こいつらは酒でも飲んでいるのか?
 何とか言葉を尽くして説得して、とりあえず納得させることができた。

 本当は私自身が前線で指揮をするのが一番なのだろうが、前述した理由で不可能である。
 前哨戦で勝利することを願って階層の奥深くで待機する。

 そのころ前線では。

 ゴブ(突撃ー)
 ゴブーーーーーーーーーー

 ゴブリンの鳴き声が響き渡っていた。
 勇猛果敢なゴブリンたちは恐れを知らない。

 などというわけではない。

 ゴブ(肉、強さ、魔力)

 自らの欲望に従って、全力で突撃をしていただけなのである。
 ゴブリンたちは己の武器を振りかざし突撃していった。
 
 しかし、それだけで勝てる相手ではなかったようだ。

 ゴブーーー(ぐわーーーー)

 攻撃を仕掛けたゴブリンたちがあっという間に吹き飛ばされていった。
 ゴブリンたちも肝を冷やしたのか突撃するのをやめてしまった。

 ゴブ(あれは、なんだ。)
 ゴブ(なんなんだよ。)

 その相手は分厚い脂肪を持ち、強力な武器を振りかざしてゴブリンたちを圧倒していた。
 その姿はゴブリンたちとの差をありありと感じさせていた。

 威圧のためか、でかい声でこちらに鳴き声を発してきた。

 ブモーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 複数体の声が重なり合い混ざり合い、大音量でこちらに響いてきた。

 ゴブ(急げ、階層主に伝えろ。)
 ゴブッ(了解ぃぃぃ。)

 ゴブリンは慌てて階層主へ連絡をした。
 
 戦いは始まったばかりだ。

 こちらからもどんどん戦力を投入して可能な限り前線を押し上げる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

迷宮の主

大秦頼太
ファンタジー
 王を王とも思わない不遜な態度を見せる若者ナサインは、大柄の従者シビトを伴い王に要求をする。王は要求をはねつけ二人を捕らえるように命ずるが、ナサインの赤く光った目に怯え誰も身動きすることが出来なかった。  城を出て町で食事をしている最中にナサインの体調は急変するそれは迷宮の主が交代したまさにその瞬間であった。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

解体の勇者の成り上がり冒険譚

無謀突撃娘
ファンタジー
旧題:異世界から呼ばれた勇者はパーティから追放される とあるところに勇者6人のパーティがいました 剛剣の勇者 静寂の勇者 城砦の勇者 火炎の勇者 御門の勇者 解体の勇者 最後の解体の勇者は訳の分からない神様に呼ばれてこの世界へと来た者であり取り立てて特徴らしき特徴などありません。ただひたすら倒したモンスターを解体するだけしかしません。料理などをするのも彼だけです。 ある日パーティ全員からパーティへの永久追放を受けてしまい勇者の称号も失い一人ギルドに戻り最初からの出直しをします 本人はまったく気づいていませんでしたが他の勇者などちょっとばかり煽てられている頭馬鹿なだけの非常に残念な類なだけでした そして彼を追い出したことがいかに愚かであるのかを後になって気が付くことになります そしてユウキと呼ばれるこの人物はまったく自覚がありませんが様々な方面の超重要人物が自らが頭を下げてまでも、いくら大金を支払っても、いくらでも高待遇を約束してまでも傍におきたいと断言するほどの人物なのです。 そうして彼は自分の力で前を歩きだす。 祝!書籍化! 感無量です。今後とも応援よろしくお願いします。

亡国の系譜と神の婚約者

仁藤欣太郎
ファンタジー
二十年前に起こった世界戦争の傷跡も癒え、世界はかつてない平和を享受していた。 最果ての島イールに暮らす漁師の息子ジャンは、外の世界への好奇心から幼馴染のニコラ、シェリーを巻き込んで自分探しの旅に出る。 ジャンは旅の中で多くの出会いを経て大人へと成長していく。そして渦巻く陰謀、社会の暗部、知られざる両親の過去……。彼は自らの意思と無関係に大きな運命に巻き込まれていく。 ☆本作は小説家になろう、マグネットでも公開しています。 ☆挿絵はみずきさん(ツイッター: @Mizuki_hana93)にお願いしています。 ☆ノベルアッププラスで最新の改稿版の投稿をはじめました。間違いの修正なども多かったので、気になる方はノベプラ版をご覧ください。こちらもプロの挿絵付き。

処理中です...