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※エドウィン・キャベンディッシュ視点
しおりを挟むーキャベンディッシュ様が羨ましいー
ーそうそう。あんなに素敵なタチのご正室だなんてー
ーきっと夜も深く愛されてるのでしょうー
ー当たり前だよ。デルヴォー様へのご寵愛を見ればー
一生涯タチのハレムに入れない者も珍しく無い。手付き人だとて、むしろ運の良い方で…正室になれば一生安泰。更に、タチが優しく美しい人ならば幸福な生涯は約束されたも同然だ。
それなのに…。
時折胸に刺さる小さな痛みに気付いていないつもりだった。デルヴォー伯爵へ向けられる心からの慈しみ、シャヒーンへの労り、ジレスへの気安い言葉、可愛いとチコを撫でる仕草…。自分には?僅かな距離を感じてしまう。勿論、有り余る愛を頂いているのは身に染みていた。それでも、足りない。
自分から縋った関係だからだ。他のハレムの者は、きっかけはどうあれ、アルフレッド様からハレムへの入室を勧められたという。私だけ、はしたなく自分から想いを曝け出したのだから。
ああ、だから私の身体を求めて下さらないのだろう。
風呂から出て、長い髪の手入れを行う。鏡の前に映る自分の姿を見つめて、嘆息してしまう。以前は誇りだったすらりと伸びた上背も、騎士科らしい筋肉質な肉体も、固い手の平、鋭い目元、大きい足も、今は煩わしい。産みの親に似た美貌を褒めそやされてきたが、本当に愛されたい相手からの寵に繋がらなければ意味は無い。
「あと少しでも背が低ければ、いや…もう少し可愛げのある見目だったら…。もっと触れて頂けたのかな。」
濡れた身体を軽く拭い、寝室の棚を漁る。取り出した潤滑油とタチの局部を模した性玩具を寝台に放り投げる。
体の大きいネコは、体の小さいネコに比べ性欲が強い者が多かった。何度吐精しても満足出来ない者も居る程で、それは良家出身が多い学園ケラフでも同じ事。
既に緩く勃ち上がった自身を見下ろし、寝台に胡座をかいて座ると、竿を緩々と擦り上げていく。中心部に集まる熱と、荒くなる呼吸。熱い息を吐き出して、片手で潤滑油の蓋を開けて人差し指と中指で掬い取る。
後孔に触れる冷たさに背筋を震わせるが、直ぐに慣れた手付きで孔を解していく。一定の年齢から受けたネコとしての性教育で、難なく2本の指が直腸を刺激する。
「…っアルフレッド様……ん…っ…」
指を増やしていき、程よい所で自身から精が放たれる。タチとは違い、ネコの精など子種の無い薄い物だが、溜め込むのは健康を損ねるという。
一度放っただけで薄れる欲では無く、続けて解す後孔は既に準備は整っていた。濡れ濡って開閉する蕾は、淫らにネコの匂いを撒き散らす。
早く…挿れたい。
性玩具を口に含み、上から下へと舌を這わせたっぷり湿らせる。お腹の奥は既に待ちきれず、物を受け入れたいと期待に疼いていた。入り口にあてがい、一息に腰を下ろそうと力を込めた。
ドンドン…扉を叩く音に邪魔されなければ。
「…………何だ。」
「申し訳ありません、少々ご相談が…」
無視を決め込もうとするが、このような時間に尋ねてくるのだから、よほどの事情なのだろう。簡単には冷めない身体の火照りと、反応したままの自身…。何より、期待に満ちた身体の疼きに奥歯を噛み締め、潤滑油と性玩具を寝台の下へと腹立ち紛れに放り込む。
下らない事ならば、許さない。
とりあえずバスローブを身に付け扉を開けると、申し訳無さそうな従者を見つける。
何だ?キャベンディッシュの者では無いな。
「夜分に申し訳ありません。フィッツ家の使用人をしている者ですが、不躾なお願いがございまして…」
ふと、リビングに目を向ければソファに横たわる人物に気付き、直ぐに体が動いていた。
「!アルフレッド様…」
眠っているのか、瞳を閉じており普段よりも赤みの差した頬に発熱かと背筋が凍るが、苦しむ様子は見られない。眠っているのか、呼吸は規則的だ。
「キャベンディッシュ様…。シュタルト様ですが、少々お酒を召されておりまして自室まで保たない様でしたので、距離の近い此方までご案内致しました。事前の連絡も無く、無礼は承知ですが…」
「…何を言っている。私の物は、全て夫であるアルフレッド様の物。部屋に入ることへの許しを得る必要は無い。…それよりも。」
素早く立ち上がると、近くに控えていた従者達に声を掛ける。まずはアルフレッド様を寝所にお運びして、起床後のお湯の準備、軽食と飲み物、着替え…と。
デルヴォー伯爵に連絡を入れようかとも過ったが、何か問題が起きた訳でも無いかと思い直す。
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