私は平凡周りは非凡

由紀

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のんびり土曜日?

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明くる朝、隆一は部活の為早々に出て行ったが、双子はまだ眠りの中である。

…りゅうは部活かぁ。

ベッドから起き上がった由香里は、ぼうっとする頭をガシガシと掻くと着替え始めた。本来の由香里の性格上は家ではパジャマで居たい性格だが、黙っていても容姿の良い弟を持つと気になったりするのだ。

例えば自分も釣り合う容姿だったり、邪険に扱われるのなら良いのだが…。自他共に認めるシスコンらしいし?
更に、滅多に帰って来ない両親には太鼓判を押されている。

「「由香里ちゃんが居れば、隆君と慎ちゃんとしー君とみっくんはグレないから助かるよ(わ)!」」

…いや、お前ら親の仕事しろ!まあ…もう慣れたけど。というか、今さら親の言うこと聞かないだろうな。この前、父さんが四毅に話し掛けてたら普通に舌打ちしてたし。…うん。手遅れだね。

髪を整え部屋着に着替えリビングに降りると、鼻腔を擽る匂い。
…おお、流石慎ちゃん。
器用で料理上手な慎二を内心褒めると、ソファーに腰掛けた。この弟がモテない筈は無い。

「おはよー。」
「…あ、おはよ~姉さん!今日はパスタで良い?」
「うん、お願い~。」

まったりと返事を返し、テレビを点ける。

ほんと料理出来る男ってポイント高いよねぇ。あー、でも慎男子校か。残念だよね。

どうでも良い事を考えつつ、何とは無しにニュースを流して置く。

「姉さん~、で?何処行く?」
ん?
「何が?」

脈絡の無い慎二の言葉に、きょとんと首を傾げる。それを聞いた慎二の方は慌てて駆け寄って来た。

「昨日言ったじゃん?何処か行こうって!」

あー…うん。そんな気もする様な?何か面倒臭くなってきたな…。
と言っても、行きたいオーラ溢れる弟にそうは言えない。 

「じゃあ、レンタルショップでも行く?」

適当にDVDでも借りよっか…。
軽い口調でそう言えば、パアッと慎二の顔が嬉しさ満点で輝く。

「うん、行こ行こ!」

嬉しそうな弟に、思わず由香里の口元も綻ぶ。

やっぱり可愛いなぁ。
性格の為、普段家族内で弄られ役の慎二だが、根っから素直で明るい慎二に由香里も助けられてきたのだ。

「じゃ、二人が起きる前に行っちゃおっか?」

ニコッと頷く慎二に、由香里も頷き返し部屋に着替えに戻った。有る物で簡単に着替え、慎二と玄関を出る。

…あ~。もうノーコメントだね、うん。

隣を歩く軽くセットした髪に、普段着だと言うのに何処のモデルかと聞きたくなる弟をチラ見する。

別に良いさ。…DVD借りるだけ借りるだけ、よし自己暗示。

自然と繋がれる手を振り払うのも諦め、最後には笑って歩き続ける。その時、進行方向を塞ぐ人物に気付く。

ん?中学生くらいかな?凄い…紫メッシュに目付き悪。…四毅タイプだな。

呑気に考え事をしていると、その少年が此方に目を向け距離を縮めて来る。

「…おい、ここら辺に有川四毅って奴の家があるらしいが、何処だか知ってるか?」

……………うん。

今にも射殺さんばかりの怒気の籠る視線に、由香里は表情に出さないよう小さく嘆息した。

何したって言うの、あの子は…!

面倒臭い為、無言を貫き慎二に任せる事に決めた。空気を察した慎二は目で頷くと、見事な外向けの笑みを浮かべる。

「さあ、名前ぐらいは聞いた事あるけど家まではなぁ…何か用なの?」

…よしよし、上手い慎ちゃん。
それを聞いた少年は更に剣呑な雰囲気を出す。

「…あの野郎、一回締めとかねーと気が済まねぇ…。見つけ次第ぶち殺す…!」

わーい…こえええ。今どきの中学生って嫌ですね。アハハー。
相手の言葉にドン引きしつつ、目を合わせないよう無言を貫く。

「そっかあ、じゃあ俺達はこれで。」

爽やかに慎二が告げれば、少年は苛立たしそうに舌打ちをし離れて行く。
…あ~良かった。
慎二と顔を見合せホッとした時、耳に響く怒声が聞こえた。

「…見つけたぞ!金城ーーーーー!覚悟しろてめええええ!」

遠くから勢い良く聞こえる集団の足音に思考が止まる。あっという間に足音は目の前まで近付いている。
え?関係無いよね?関係ないはず。
と思っている間に、少年と一緒に囲まれた由香里と慎二。 

「ヤバい…。」

ポソッと呟く慎二に、由香里も身を固くしたのだった。



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