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暴風
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俺は、信じられなかった。少女が掴んだ手を力任せに振り切って、行ってしまおうと思ったが……。
少女の腕は、ピクリとも動かなかった。なんて言うのか、常識離れした力だって言うのは、解った。
「オイ!! 放せ!」
「お前に聞きたい事があると、言っただろう?」
そう言った少女の目は、真剣に俺の顔を捉えていた。
「うっ……」
「この街の名前を教えて欲しい」
「はぁ?」
俺は、ここまで強引に引き止めるものだから、とんでもない事を言い出すのではと思ってた。しかし、少女の口からでた言葉は、予想だにしない事だった。
この街の名前……。
この街に住んでいる者なら誰だって知っている。この街に来た者なら、知っているはずだ。なのに、この少女は、どうしてそんな事を聞くのだろうと不思議だった。
「どうした? もしかして、知らないのか? 」
「あっ……いや、知っているよ。この街の名前は、麻生市南栄町……」
「麻生市南栄町……」
俺が街の名前を教えてやると少女は、少し考えこむように首を傾げた。
「すまない。おかげで、正確な位置が割り出せた」
「あっ、いや」
俺は、少女が素直にお礼を言ったものだから、ちょっと戸惑った。態度のでかい言葉から、少女がそんな事を言うような感じに見えなかったからだ。
「ところで……ものは、相談なのだが……」
少女がそう言い終わる間もなく、誰かが俺達の間に割って入って来た。
「おや? 燐ちゃんじゃないか? どうしたんだ? 朝っぱらから、こんな美人をナンパかよ?」
そう声を掛けてきたのは、俺の同級生で顔見知りの奴だった。名前は、葉月翔太。 俺は、こいつが大嫌いだった。何処の学校にも居る札付きのワルだが……こいつの場合……根本が腐っている。良く俺は、こいつに絡まれるせいもあって、いつも嫌悪していた。
「オイ!! こっち来てみろよ!」
葉月翔太がそう叫ぶと俺達3人が居る路地へと5人ばかりの不良がゾロゾロと入りこんできた。
そいつらの顔も知っている。よく葉月翔太の後ろを金魚の糞にようにくっついているクズどもだ。
「こいつらは、お前の何だ?」
少女は、おかしな雰囲気を察したのか俺だけに聞こえる声でそう聞いてきた。
「やばい奴らだ。今の内に逃げろ……」
「敵か? 仲間か?」
「どちらかというと……敵だね」
「そうか、お前の敵だと言うなら、私が排除しよう」
少女がそう言ってゆらりと動いた。
「え?」
俺は、驚いて声を上げた。だが、その声さえ遅かった。俺の動きは、とても緩慢で身体の動作の遅さに苛立ちを覚えるほどだった。
少女の腕は、ピクリとも動かなかった。なんて言うのか、常識離れした力だって言うのは、解った。
「オイ!! 放せ!」
「お前に聞きたい事があると、言っただろう?」
そう言った少女の目は、真剣に俺の顔を捉えていた。
「うっ……」
「この街の名前を教えて欲しい」
「はぁ?」
俺は、ここまで強引に引き止めるものだから、とんでもない事を言い出すのではと思ってた。しかし、少女の口からでた言葉は、予想だにしない事だった。
この街の名前……。
この街に住んでいる者なら誰だって知っている。この街に来た者なら、知っているはずだ。なのに、この少女は、どうしてそんな事を聞くのだろうと不思議だった。
「どうした? もしかして、知らないのか? 」
「あっ……いや、知っているよ。この街の名前は、麻生市南栄町……」
「麻生市南栄町……」
俺が街の名前を教えてやると少女は、少し考えこむように首を傾げた。
「すまない。おかげで、正確な位置が割り出せた」
「あっ、いや」
俺は、少女が素直にお礼を言ったものだから、ちょっと戸惑った。態度のでかい言葉から、少女がそんな事を言うような感じに見えなかったからだ。
「ところで……ものは、相談なのだが……」
少女がそう言い終わる間もなく、誰かが俺達の間に割って入って来た。
「おや? 燐ちゃんじゃないか? どうしたんだ? 朝っぱらから、こんな美人をナンパかよ?」
そう声を掛けてきたのは、俺の同級生で顔見知りの奴だった。名前は、葉月翔太。 俺は、こいつが大嫌いだった。何処の学校にも居る札付きのワルだが……こいつの場合……根本が腐っている。良く俺は、こいつに絡まれるせいもあって、いつも嫌悪していた。
「オイ!! こっち来てみろよ!」
葉月翔太がそう叫ぶと俺達3人が居る路地へと5人ばかりの不良がゾロゾロと入りこんできた。
そいつらの顔も知っている。よく葉月翔太の後ろを金魚の糞にようにくっついているクズどもだ。
「こいつらは、お前の何だ?」
少女は、おかしな雰囲気を察したのか俺だけに聞こえる声でそう聞いてきた。
「やばい奴らだ。今の内に逃げろ……」
「敵か? 仲間か?」
「どちらかというと……敵だね」
「そうか、お前の敵だと言うなら、私が排除しよう」
少女がそう言ってゆらりと動いた。
「え?」
俺は、驚いて声を上げた。だが、その声さえ遅かった。俺の動きは、とても緩慢で身体の動作の遅さに苛立ちを覚えるほどだった。
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