2 / 8
第2話:再会
しおりを挟む
「士郎!!おい、士郎!!!」
誰か身体を揺さぶるのを感じて士郎は、薄っすらと目を開けた。
「うっ……うん?」
「おいおい。寝すぎだな。もう昼休み入ってんぜ!」
そんな親友の声に士郎は、ブルブルと顔を振った。どうやら、午前中の授業を全て居眠りしてたらしい。と、そう思い出した様に士郎は、教室の中を見渡した。机で寝てたおかげで、身体の節々が痛いと士郎の身体が訴えてくる。そんな士郎の姿を親友、岸田護が訝しげに見た。
「わかってるよ。寝すぎだって! 昼飯食いに行こうぜ」
士郎は、ゆっくりと席から立つとポンと護の右肩に手を置いた。
「おう、早く行かないとA定食が無くなる!」
護のその言葉を最後に士郎たちは、教室を出て食堂へ向かった。そうだ、俺は、17歳で……ここは、学校だ。士郎は、その事を確認するように心中で呟いてた。そう、あの夢が余りにもリアルだったので、今の自分が現実なんだと士郎は、確認したかったのだ。
「なあ、士郎!」
「ん?」
護が食堂に向かう途中で士郎に話しかけてきた。
「お前、午前中寝てたから知らないと思うから、言うけどさ」
「……」
「午後から転校生が来るらしいぜ! それも女!」
護は、嬉しそうに「美人だと良いな」っと呟いていた。
「ちっ、午前半休かよ! たいそうな御身分だよな」
士郎がつまらなそうにそう言うと護は、パンっと活きよいよく背を叩いた。
「俺たち、ピチピチの高校生だよ。そんな末期サラリーマンみたいな 台詞やめようぜ!」
「ピチピチ? 脂ぎってるの間違いだな」
「あはは、相変わらす士郎は、キツイねぇ」
護は、その言葉が可笑しかったらしく、大げさに笑ってみせた。
「おおっ、すげぇ」
午後授業が始まる前に転校生の紹介があった。それで、教室の中が騒がしく、しばらく落ち着く気配がなかった。それは、転校生としてやって来たのは、女性でそれも見たことのない程の美女だったからだ。長い黒髪は、腰まであって、和風美人といったところ。着物がとても似合いそうな感じだった。そんな美人が転校生としてやってきたものだから、男子生徒は、落ち着かず次々にその転校生に無謀とも言える質問を繰り返していた。クラスの女生徒達もそんな転校生に興味があるらしく、男子生徒と同じぐらい騒いでいた。
ドクン
士郎の心臓がひときわ大きく脈打った。士郎もその転校生を見てから、心臓の脈打ちが早くなっていた。
ドクン・ドクン
「おい、士郎! あの転校生の名前……朝比奈薫だってさ」
士郎の後ろの席から、護は呆けた顔を転校生向けて言った。
「くっ……やばいな」
士郎は、とっさに心を落ち着けようとした。さっきから、士郎の心臓は、破裂するような勢いで脈打っていた。これは、いつもの発作の前触れに似ている。士郎は、生まれつき心臓が弱かった。士郎の心臓は、未だに小学生ぐらいの子供の大きさしかない。心臓だけ成長に取り残された感じである。身体が成長するにしたがって、小さな士郎の心臓は、必要な分の血液を身体に送る事が負担になってきたらしい。時々、心臓の発作が起きるのだ。興奮した時など特によく発作を起こす。士郎は、ゆっくりと席から立ち上がった。それを見た担任の教師が
「辰巳! どうした? 顔色悪いぞ! また、いつもの発作か?」
っと言った。士郎は、声をだす気力もなくて頷くだけだった。
「くっ……拙いな……目も見えなくなってきやがった」
士郎は、そんな事を心なかで呟きながら何とか机にしがみ付いた。
「先生、私が彼を保健室に連れていきます。先生は、授業を行っていてください!」
「あっ、いいのか? 保健室の場所わかるのか?」
「ええ、任せてください!」
そんな聞きなれない女性の声。誰かがトコトコと士郎の横へ近づいてきた。そして、士郎の腕を掴んで士郎の身体を無理やり立たせた。士郎の腕が誰かの背に回されて、よたよたと歩きだす。その人物に方向を先導されて、士郎は、無理やり歩かせられた。教室を後にして、廊下に出た所でその人物は、話かけてきた。
「ねぇ、大丈夫?」
「……」
やはり、聞きなれない女生徒の声だった。士郎の腕を掴む彼女の手は、冷たく体温が感じられない。それは、まるで、爬虫類のような体温だった。
誰か身体を揺さぶるのを感じて士郎は、薄っすらと目を開けた。
「うっ……うん?」
「おいおい。寝すぎだな。もう昼休み入ってんぜ!」
そんな親友の声に士郎は、ブルブルと顔を振った。どうやら、午前中の授業を全て居眠りしてたらしい。と、そう思い出した様に士郎は、教室の中を見渡した。机で寝てたおかげで、身体の節々が痛いと士郎の身体が訴えてくる。そんな士郎の姿を親友、岸田護が訝しげに見た。
「わかってるよ。寝すぎだって! 昼飯食いに行こうぜ」
士郎は、ゆっくりと席から立つとポンと護の右肩に手を置いた。
「おう、早く行かないとA定食が無くなる!」
護のその言葉を最後に士郎たちは、教室を出て食堂へ向かった。そうだ、俺は、17歳で……ここは、学校だ。士郎は、その事を確認するように心中で呟いてた。そう、あの夢が余りにもリアルだったので、今の自分が現実なんだと士郎は、確認したかったのだ。
「なあ、士郎!」
「ん?」
護が食堂に向かう途中で士郎に話しかけてきた。
「お前、午前中寝てたから知らないと思うから、言うけどさ」
「……」
「午後から転校生が来るらしいぜ! それも女!」
護は、嬉しそうに「美人だと良いな」っと呟いていた。
「ちっ、午前半休かよ! たいそうな御身分だよな」
士郎がつまらなそうにそう言うと護は、パンっと活きよいよく背を叩いた。
「俺たち、ピチピチの高校生だよ。そんな末期サラリーマンみたいな 台詞やめようぜ!」
「ピチピチ? 脂ぎってるの間違いだな」
「あはは、相変わらす士郎は、キツイねぇ」
護は、その言葉が可笑しかったらしく、大げさに笑ってみせた。
「おおっ、すげぇ」
午後授業が始まる前に転校生の紹介があった。それで、教室の中が騒がしく、しばらく落ち着く気配がなかった。それは、転校生としてやって来たのは、女性でそれも見たことのない程の美女だったからだ。長い黒髪は、腰まであって、和風美人といったところ。着物がとても似合いそうな感じだった。そんな美人が転校生としてやってきたものだから、男子生徒は、落ち着かず次々にその転校生に無謀とも言える質問を繰り返していた。クラスの女生徒達もそんな転校生に興味があるらしく、男子生徒と同じぐらい騒いでいた。
ドクン
士郎の心臓がひときわ大きく脈打った。士郎もその転校生を見てから、心臓の脈打ちが早くなっていた。
ドクン・ドクン
「おい、士郎! あの転校生の名前……朝比奈薫だってさ」
士郎の後ろの席から、護は呆けた顔を転校生向けて言った。
「くっ……やばいな」
士郎は、とっさに心を落ち着けようとした。さっきから、士郎の心臓は、破裂するような勢いで脈打っていた。これは、いつもの発作の前触れに似ている。士郎は、生まれつき心臓が弱かった。士郎の心臓は、未だに小学生ぐらいの子供の大きさしかない。心臓だけ成長に取り残された感じである。身体が成長するにしたがって、小さな士郎の心臓は、必要な分の血液を身体に送る事が負担になってきたらしい。時々、心臓の発作が起きるのだ。興奮した時など特によく発作を起こす。士郎は、ゆっくりと席から立ち上がった。それを見た担任の教師が
「辰巳! どうした? 顔色悪いぞ! また、いつもの発作か?」
っと言った。士郎は、声をだす気力もなくて頷くだけだった。
「くっ……拙いな……目も見えなくなってきやがった」
士郎は、そんな事を心なかで呟きながら何とか机にしがみ付いた。
「先生、私が彼を保健室に連れていきます。先生は、授業を行っていてください!」
「あっ、いいのか? 保健室の場所わかるのか?」
「ええ、任せてください!」
そんな聞きなれない女性の声。誰かがトコトコと士郎の横へ近づいてきた。そして、士郎の腕を掴んで士郎の身体を無理やり立たせた。士郎の腕が誰かの背に回されて、よたよたと歩きだす。その人物に方向を先導されて、士郎は、無理やり歩かせられた。教室を後にして、廊下に出た所でその人物は、話かけてきた。
「ねぇ、大丈夫?」
「……」
やはり、聞きなれない女生徒の声だった。士郎の腕を掴む彼女の手は、冷たく体温が感じられない。それは、まるで、爬虫類のような体温だった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる