逆転!? 大奥喪女びっち

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【京都・昇叙編】

076 腹ごしらえ

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「っ!? お部屋の名前をご存じで!?」
「いや、福が訊いたんじゃん? ってか合ってるんだ」
「はい。ここは二条城、二の丸御殿です。京都に着いたのですよ、家光様」

 春日局が家光を起こしながら告げる。

「ぃ」
「ぃ?」

「いやっっったぁああああ!!」

 家光は身体を起こして万歳した後で、“よっしゃー!”と拳を握りしめ、グッと肘を曲げて後ろに引く。

「…………何が“やつた”“よつしや”ですか(何ですかその掛け声)。ここに来るまでどれだけ大変だったことか、大体貴女は途中で寄り道が多……」

 春日局は家光とは対照的に拳を握りしめふるふると、震わせる。
 怒っているらしい。

「局様、局様、家光様は病み上がりですので」
「っ、あ、ああ……」

 風鳥がどうどうと、止めに入ると、春日局はそれ以上小言を言うのを止めたのだった。

「病み上がり……?」

 家光は首を傾げる。

「家光様、家光様は日永の追分で眠りに就いてから、五日間、眠っておられたんですよ」

 風鳥が衝撃的な事実を告げる。

「ぇぇええっ!? うっそー?」
「嘘ではございません。全く目を御覚ましにならないので、何か病に侵されたのかと身を按じておりました」

「……そ、そっか……、チートで瞬間移動したわけじゃあなかったんだ……」

 家光は顎に手を宛てて“うーん”と唸る。
 その姿を春日局はじーっと眺める。
 五日前より、彼女の手首は細く、明らかに痩せこけていた。
 眠ったままやせ細っていく家光に気付いてはいたが、どうすることも出来ずにいたのだった。
 幸い顔の肉は落ちないタイプらしく、少しほっそりしたかな? 程度であったのが不幸中の幸いなのかもしれない。

「…………何かお持ちしましょう」

 春日局は立ち上がり、家光を見下ろし告げる。

「え?」
「……お水は眠っている間も何とか差し上げておりましたが、五日も何も食べておりません。お腹が空いてはおりませんか?」

「あ…………、言われてみれば……空いたかも(夢の中で散々食べたけどね!)」

 ぐー、きゅるるるる、と応えるように家光の腹の虫が鳴る。

「あ。…………えへへっ」

 家光は気まずそうにはにかんだのだった。
 いつもの家光様だなと、安堵した春日局は優し気に見下ろし、“ふぅ”と小さく息を吐く。

「……少々お待ち下さい。風鳥、準備は家光様がお食事を終えられてからだ」
「承知しました。家光様がお食事に入られましたら、正勝様をお呼び致します」

「ああ、正勝に会ったら私からも言っておく、しばらく家光様を頼む」
「はい」

 風鳥に家光の事を頼んでから春日局が部屋から出て行った。


(家光様が目覚められて良かった……)


 春日局は台所のある本丸御殿へと向かうのだった(二の丸御殿には台所がない)。





「ね、風鳥」
「ん?」

 春日局が部屋を出て行くと、家光は風鳥に訊ねていた。

「私五日間も眠ってたの?」
「ああ。確かあの狐に舐められた直後、力が入らないって言ってたよな」

 風鳥は鉄瓶に入った湯冷ましを湯呑に入れると家光に渡す。

「……ぁ、ぁあー、そうだっけ?(憶えてないや)」

 家光はこくこくと、渡された水を飲むと、“ぷはー”と大きく息を吐いた。

「……あの狐が何かしたとしか思えないんだが……、何ともないか?」

 風鳥は家光の頬に触れ、顔色を窺いながら目に掛かり垂れ下がった前髪を耳に掛けてくれる。
 精悍な顔が直ぐ傍で自分を見つめるものだから、家光は息を呑んだ。

「っ、風鳥」
「ん?」
「近いんだけど……」

 少しだけ気恥ずかしく感じて、家光は風鳥の視線から逃れる。

「あ、ああ……、だな……悪い(こないだは膝枕してくれたくせに何で?)」
「べ、別にいいけど……、…………、ふふっ」

 風鳥が彼女の頬から手を離して後頭部を掻くと、家光は微笑んだのだった。
 その笑顔の可愛さたるや何と言い表そう。
 風鳥はつい、見蕩れてしまう。

「っ、あんた本当、可愛いな!(一体俺をどうしたいんだ!?)」
「えっ? かわ……何言って……、もー、またまたー!」

 家光の笑顔に僅かに頬を赤らめて風鳥が告げるも、彼女はまともに受け取らずにからからと笑うのだった。

(何で伝わんねぇのかね……このお人は……)

 家光の態度にやきもきするも、元気そうな彼女を眺めながらほっと胸を撫で下ろす。

「どこか痛いとか、苦しいとかないか?」
「うん、どこもなんともないよ。寝過ぎて眠いってこともないし。すっごいすっきりしてる。お腹が空いた以外はね」

 風鳥が訊ねると、家光は朗らかに答えて、お腹を擦った。

「すっきり……? あー……、もしかしたらさっき、陰陽師の方が真言を唱えて行ったから……かな?」
「陰陽師? 真言? なんじゃそら」

 風鳥の説明に家光は首を傾げる。

「陰陽師はあんたを起こしに来てくれた御人だ。名前は……何だったかな……俺は聞いてないな。真言はまじないみたいなもんかな。あんたを起こすのに唱えてたんだぜ?」
「へー……陰陽師かぁ、会ってみたいなぁー」
「そういや“後程”って言って出てったからまた会えるんじゃないか?」
「え……そうなんだ。あ、そういや……」

 家光は目覚める寸前のことを思い出す。
 “後程”と告げたあの、声。

(夢の中の声に似てた気がしたな……)

「はは……まさかねー……夢の中の声が陰陽師さんとか……」
「ん?」

 ぶつぶつと独り言を呟いていると、風鳥が空になった湯呑を家光から取り上げ片付けてくれる。

「あ、いや……、どんな人だったのかなーって。イケボだったからさぞイケメンなんじゃないかなって(ちょっとしか聞こえなかったけどね)」
「いけぼ? いけめん? 何だ? 食い物か何かか?」

 風鳥は湯呑を鉄瓶の隣に置いて戻って来ると、再び褥の傍に背筋を伸ばし正座して首だけ傾げる。みっちり教え込まれているのだろう、一連の所作は美しく流れるようだった。
 高い背に衣服の上からでもわかる厚い胸板に喉仏が雄々しい。
 そこらの女性が見たならば一目で惚れてしまいそうな容貌の持ち主である。
 さすがは天下人に仕える者といった所か。

 風鳥だけでなく、春日局も正勝も父親の江も、あの正室候補の孝ですらも、家光の周りの者は揃いも揃って美麗な男ばかり。

 ……だが、家光にはそんな男の色気が通じないのである。
 多少は心惹かれることも時にはあったかもしれないが、あの恋多き前世からしたらこんなことはおかしいのである。妄想だけで彼氏を作れてしまう特殊能力(?)持ちが、だ。

『皆イケメン、格好いいね!』

 ただ眺めているだけで、大したときめきはない。
 幼い頃から見慣れてしまったと言えばそうなのかもしれないが、イケメン探知機だけはちゃんと作動しているのである。

「え、あ、あはは……風鳥は知らないか……家光語」

 春日局に家光語とされている現代語を理解できるのは今の所正勝だけであった。

「ん? ああー、家光語ってやつか」
「うん、そんなとこ」
「じゃあ……」

 風鳥に再び訊ねられ、家光は身振り手振りを加えて説明する。
 春日局なら呆れ顔で適当にあしらわれるものの、風鳥は時折優しく笑って相槌を打ってくれるのだった。

「はははっ、あんたやっぱ面白れぇわ」
「ふふっ、そう? だからね、さっきの人はどんな人だったのかなーってさ」

「んー……そうだな、背は俺より高かったな」
「そんなに!?(風鳥って結構背、高いよね……180以上はあるよね……?)」

 風鳥から陰陽師の特徴を聞いて、想像する。

「……ほうほう……、背が高くて、銀の髪に赤い瞳……(本当、この世界の人達って多種多様だな……)」

 もんもんと家光の頭の中でイケメン像が形作られていく。

「会うの楽しみだなぁー」

 家光は瞳をキラキラと輝かせたのだった。

「……色男で良かったな」

 対照的に風鳥は自分以外の男に関心を寄せている家光が面白くなくて、足を崩して胡坐を掻くと、膝に肘を乗せ頬を手で支え置いた。

「……ん?」
「……なんだよ?」
「あ、ううん、……何か怒ってる?」
「怒ってねーよ。俺があんたに怒ることなんか何もないからな」

 家光に見抜かれて風鳥は無理矢理白い歯を見せた。

 嫉妬をするつもりはない。
 家光はこれから正室を迎えるし、側室も複数迎える身。
 自分はただの護衛。だから嫉妬などしたところで、何の意味も成さないのだから。
 頭ではわかってはいるが、まだ心のコントロールが上手くいかない様子だった。

「……そう? 何かあったら遠慮なく言ってよね」

 家光は風鳥の様子を気にしながら、柔和に微笑む。

「…………、……ああ」

 風鳥は柔らかい笑顔の家光を眺めてから返事して口角を上げるのだった。

 ふと、

 とんとん。と、襖を叩かれる。

『家光様、お食事の用意が出来ましたよ』

 襖の向こう側で、春日局の声がした。
 風鳥はサッと立ち上がって襖へと向かう。

「あ、はーい、どうぞー」

 家光が元気な声で返すと風鳥が襖を開いて、御膳を持った春日局が部屋に入って来る。
 風鳥が再び襖の傍に立つと、春日局は流れるような所作で、音もなく褥の傍で膳を下ろした。
 膳の上には蓋の付いたお椀型の陶器の器が一つと、木製の匙が一つ。
 春日局が蓋を開けると、湯気が立つ。中には白い液体が入っていた。

「……え、何コレ……聞いてないんだけど……。鱚は? 御御御付おみおつけは? 漬物すらないとかどういうことなのさ!」
「五日間何も召し上がっておりませんからね。重湯ですよ」

 春日局がにっこりと笑って、匙で重湯を掬うと“ふぅふぅ”と息を吹き掛け、家光の目の前に持って来る。

「お・も・ゆー!」

 んぐっ! と春日局は家光の口に匙を突っ込んだ。

(いや、期待はしてなかったよ!? でも、まさか、こんなシャバシャバダバダなんてさ!?)

「生姜も入っておりますから、温まりますよ」

 二口目の重湯を掬ってまた“ふぅふぅ”と息を吹き掛け冷ます。

「いや、味は悪くはないけどもっ……んむっ!」
「いつもは冷たいお料理ばかりですからね、これは私が作りましたので、ご安心を。たんとお食べ下さい」

 春日局はまた重湯を掬って冷ましてから家光の口に入れていく。
 今度は少し量が多い気がする。

「っ、食べるっていうよりこれっ、飲ん……」

 ずずずっ、と家光は啜って飲み下していくが、量が多かったためか口の端から零してしまうのだった。

「んっ……、熱っ……垂れちゃった……」

 久しぶりの食物が身体中を駆け巡り、体温が一気に上昇したのか、家光の頬に赤みが差したかと思うと、タラ―っと、とろみのある白い液体が赤い唇の端から零れ落ちた。

 彼女のその姿に部屋に居た春日局と風鳥が息を呑む。


(……何だよ、その顔……、色っぽいな……。あ、正勝様呼びに行かないと)


 襖の傍に立つ風鳥がぼぅっと見惚れてしまうが、そういえば正勝を呼びに行かねばと思い出し、告げたのだった。

「家光様、局様、正勝様を呼んで参ります」

 二人から特に返事は無かったが、風鳥は部屋を出て行った。

「……っ、申し訳ございません。時間に追われております故、焦って掬い過ぎてしまったようです。火傷はされていませんか?」


(なんという顔を……重湯が“あれ”に見えてしまったではないか)


 春日局は“こほん”と小さな咳払いをして、袖から手拭を取り出すと家光の唇を拭いたのだった。

「火傷はしてないよ。てか、自分で食べれるし」
「あ、ああ……そうでございますね。では……どうぞ」

 家光が頂戴とばかりに両手を出すので、春日局は家光に器を渡す。

「っ、熱っ! あっつい! 無理っ! やっぱ食べさせて!」

 家光は思ったよりも熱かったのか、渡された器を直ぐに春日局に押し返したのだった。

「……家光様……あなたという御方は……」

 はぁ、しかたがないですね。と、春日局は溜息を吐くが、残りを家光に食べさせている間中、その表情は穏やかだった。
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