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4章:二つの運命が交わる時
心にともる灯り、陰る月【side:アーサー】
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デイジーの家がある旧市街地区までの道中、アーサーは馬車の中で談笑をしていた。
最初は書記官の仕事について話していたが、話題は次第に彼女の上司について移り変わっていく。
「デイジーは凄いね。あのロイドに物怖じせず話しているのを見て少し驚いたよ。あいつは見た目が少し……いや、かなり厳ついだろう? 怖くないのかい?」
「最初は怖かったんですけど、話してみると優しくて。ロイドさんは確かに顔は怖いですが、穏やかで誠実で、あと凄く部下思いなんです! ミスやトラブルがあっても頭ごなしに怒ったりしないで、一緒に考えて解決しようとしてくれるんです」
「ロイドを尊敬しているんだね」
「はい!……でも、昔の気弱な私だったら、きっとロイドさんの素敵さに気付けませんでした」
アーサーから見たデイジー書記官は、さんさんと降り注ぐ太陽の下で花開くひまわりみたいに、明るく陽気な人だ。
気弱さとは真逆の印象を受ける。
彼女は「意外ですか?」と首をかしげて笑い、過去を懐かしむように目を細めた。
「わたし、学生の時はいじめられても言い返せないくらい弱気で、人と話すことが苦手でした。一人で勉強するのは得意でしたが、それ以外に何の取り柄もない。そんな自分に自信がなかったんです。両親にも『お前が書記官になるなんて無理だ』って言われて、夢も諦めていました」
夢は見るものであって、必ず叶うものじゃない。
いくら勉強を頑張ったって、努力したって、報われるとは限らない。
それでも、本当は夢を諦めたくなかった。
努力することを無駄だと言われたくなかった。
でも、あの時はもう、頑張り続けるのは限界だった――そう、デイジーは語った。
「そんな時出会ったのがソフィアでした。最初は、わたしとは正反対の上品で大人っぽいあの子が、少し苦手だったんです。でも、一緒にいるうちに気付きました。ソフィアは口数こそあまり多くないけど、相手の気持ちを思いやれる優しい人なんだって。ソフィア、わたしにこう言ってくれたんです――」
他の誰が何と言っても、私はデイジーの頑張りを応援してる!――と。
ソフィアの言葉は、『弱音なんか吐かずもっと頑張れ』という押しつけがましい台詞ではなく、かといって『お前には無理だ』という否定でもない。
デイジーの頑張りを認め、純粋に応援するひたむきな想いだった。
「あんなこと言われたの初めてでした。わたし、とても嬉しくて。『あぁ、私の頑張りに気付いて背中を押してくれる人が居るんだ。じゃあ、もっと頑張ろう。なりたい自分になれるように前を向こう!』って、不思議なくらい自然と思えたんです」
「そんな過去があったんだね。そうか……ソフィアは、僕から見ても少し不思議な子だな。彼女と一緒にいると何故だか落ち着く。どうしてだろうね?」
「そうですね……きっと、ソフィアには悪意がないんです。誰かを虐めて傷つけようとか、足を引っ張ってやろうとか、そういう事を考えないんだと思います。だから一緒にいて安心できるし、ソフィアの隣は居心地が良いです」
「居心地が良い、か。確かに、ソフィアは僕の周りには中々いないくらい真面目で、誠実な子だ」
「そうなんですか?でも、アーサー様の周りになら、素敵なご令嬢が沢山いるんじゃ……? ロイドさんも『アーサーが夜会に出る日は会場の交通整理が大変だ』ってぼやいていましたよ」
首をかしげたデイジーに言葉を返そうとした時、彼女が「ここで止めてください!」と御者に言った。
馬車はゆるやかに減速し、赤レンガ屋根の家の前で止まる。
路肩に長くは止まれないため彼女は急いで馬車を降りていった。
地面に両足をつけた彼女は振り返り、こちらを向かって深々と頭を下げる。
「ここまで送って下さりありがとうございます。これからも、どうか私の友人をよろしくお願いします」
「分かった。任せてくれ。こちらこそ、ロイドを頼んだよ。それではお休み」
「はい、お休みなさい。失礼いたします」
ペコペコと頭を下げ家の中に入っていった姿を見送って、アーサーは御者に自宅へ向かうよう命じた。
馬車のわずかな揺れに身を任せ、窓の外を見ながら先程までの会話を思い出す。
頭の中に思い浮かぶのは、春に似た温かな陽気をまとい、ふんわりと微笑む彼女の姿だ。
「ソフィア・クレーベル」
そっと名を呟くと心の中が温かくなった気がして、アーサーは思わず驚いて胸に手を当てた。
ソフィアと一緒にいると、ささくれだった心を優しく撫でられているような……そんな心地よさがあるのだ。
今まで老若男女様々な人に出会ったが、一緒に居てこんなに安らかな気持ちになったことは一度もなかった。
貴族社会では男も女も、誰もが何らかの思惑を持っている。
地位や権力への渇望、羨望、嫉妬、虚栄、欺瞞、愛憎、悪意――。
表向きは笑顔で相手を褒めつつ、裏では常に罠を張り巡らせ互いの弱みを探り、自分にとって有利に物事が動くように根回しをする。
アーサーが生きてきた貴族社会は、それが普通だった。
だがその点、ソフィアは真逆の人物だった。
何か目的を達成しようと言葉や仕草を取り繕うのではなく、胸に抱いた優しい気持ちをそのまま口にする。
そこには、何の悪意も打算も感じられない。
彼女の若葉色の瞳から向けられるのは、純粋な尊敬の念。
言葉や仕草の端々に込められているのは、自然な思いやりの気持ち。
きっと彼女は、自分が今まで出会った誰よりも、真面目で純粋で温かな心の持ち主なのだろう。
アーサーは、やたら真剣な顔で食について熱く語るソフィアの意外な一面を思い出し、口元をゆるめた。
白い頬を染め、大きな目をまん丸に見開いて料理の素晴らしさを語る彼女は、とても活き活きとしていて愛らしい。
思い出すだけで、また笑みが勝手にこぼれてしまう。
――この一件が終わったら、一緒に色々な店に行きたいな。もっと美味しい料理を食べたら、ソフィアはどんな顔をして、どんな反応をするんだろう? またあの面白い感想を聞かせてくれるかな。楽しみだ。
そこまで考えて、アーサーは自分自身の思考に驚き、息を呑んだ。
自分が未来のことを想像して、楽しみだと思うなんて……。
――こんなに心躍るのは何年ぶりだろう。
母が亡くなってから今日まで自責の念を原動力にして生きてきた。
幼い妹を、兄として、そして時には母代わりとして支えられるよう強く、しっかりしなければ。
オルランド伯爵家の長男として、いかなる困難にも弱音を吐かず凜と立ち続けなければ。
それが、生き残った自分に与えられた使命であり、唯一の生きる理由。
自分は家と家族を守る砦であり、幸せにするためだけの道具だ。
そう思って生きてきたのに……。
ソフィアと一緒に居ると、何故か、いとも簡単に人間に戻ってしまう。
声を上げて笑い、心のままに振る舞い、癒やされる。
明日を楽しみだと思い、明るい未来を想像してしまう。
――いいのだろうか。
アーサーは自分の胸に手を当て、もう一度夜空を見上げながら今は亡き人に問う。
――何も守れなかった僕が、幸せを感じてもいいのだろうか。許されるのだろうか。
答えはない。ただ空には物言わぬ月が冷たく輝くだけだった。
数日後、アーサーはハイデ伯爵が無理矢理セッティングした見合いへ、渋々行くことになる。
3章:『春の令嬢と冬の貴公子』 完
次章:『月に叢雲、花に風 』
~良いことは続きにくく、物事が上手くいきそうな時ほど邪魔が入りやすい~
最初は書記官の仕事について話していたが、話題は次第に彼女の上司について移り変わっていく。
「デイジーは凄いね。あのロイドに物怖じせず話しているのを見て少し驚いたよ。あいつは見た目が少し……いや、かなり厳ついだろう? 怖くないのかい?」
「最初は怖かったんですけど、話してみると優しくて。ロイドさんは確かに顔は怖いですが、穏やかで誠実で、あと凄く部下思いなんです! ミスやトラブルがあっても頭ごなしに怒ったりしないで、一緒に考えて解決しようとしてくれるんです」
「ロイドを尊敬しているんだね」
「はい!……でも、昔の気弱な私だったら、きっとロイドさんの素敵さに気付けませんでした」
アーサーから見たデイジー書記官は、さんさんと降り注ぐ太陽の下で花開くひまわりみたいに、明るく陽気な人だ。
気弱さとは真逆の印象を受ける。
彼女は「意外ですか?」と首をかしげて笑い、過去を懐かしむように目を細めた。
「わたし、学生の時はいじめられても言い返せないくらい弱気で、人と話すことが苦手でした。一人で勉強するのは得意でしたが、それ以外に何の取り柄もない。そんな自分に自信がなかったんです。両親にも『お前が書記官になるなんて無理だ』って言われて、夢も諦めていました」
夢は見るものであって、必ず叶うものじゃない。
いくら勉強を頑張ったって、努力したって、報われるとは限らない。
それでも、本当は夢を諦めたくなかった。
努力することを無駄だと言われたくなかった。
でも、あの時はもう、頑張り続けるのは限界だった――そう、デイジーは語った。
「そんな時出会ったのがソフィアでした。最初は、わたしとは正反対の上品で大人っぽいあの子が、少し苦手だったんです。でも、一緒にいるうちに気付きました。ソフィアは口数こそあまり多くないけど、相手の気持ちを思いやれる優しい人なんだって。ソフィア、わたしにこう言ってくれたんです――」
他の誰が何と言っても、私はデイジーの頑張りを応援してる!――と。
ソフィアの言葉は、『弱音なんか吐かずもっと頑張れ』という押しつけがましい台詞ではなく、かといって『お前には無理だ』という否定でもない。
デイジーの頑張りを認め、純粋に応援するひたむきな想いだった。
「あんなこと言われたの初めてでした。わたし、とても嬉しくて。『あぁ、私の頑張りに気付いて背中を押してくれる人が居るんだ。じゃあ、もっと頑張ろう。なりたい自分になれるように前を向こう!』って、不思議なくらい自然と思えたんです」
「そんな過去があったんだね。そうか……ソフィアは、僕から見ても少し不思議な子だな。彼女と一緒にいると何故だか落ち着く。どうしてだろうね?」
「そうですね……きっと、ソフィアには悪意がないんです。誰かを虐めて傷つけようとか、足を引っ張ってやろうとか、そういう事を考えないんだと思います。だから一緒にいて安心できるし、ソフィアの隣は居心地が良いです」
「居心地が良い、か。確かに、ソフィアは僕の周りには中々いないくらい真面目で、誠実な子だ」
「そうなんですか?でも、アーサー様の周りになら、素敵なご令嬢が沢山いるんじゃ……? ロイドさんも『アーサーが夜会に出る日は会場の交通整理が大変だ』ってぼやいていましたよ」
首をかしげたデイジーに言葉を返そうとした時、彼女が「ここで止めてください!」と御者に言った。
馬車はゆるやかに減速し、赤レンガ屋根の家の前で止まる。
路肩に長くは止まれないため彼女は急いで馬車を降りていった。
地面に両足をつけた彼女は振り返り、こちらを向かって深々と頭を下げる。
「ここまで送って下さりありがとうございます。これからも、どうか私の友人をよろしくお願いします」
「分かった。任せてくれ。こちらこそ、ロイドを頼んだよ。それではお休み」
「はい、お休みなさい。失礼いたします」
ペコペコと頭を下げ家の中に入っていった姿を見送って、アーサーは御者に自宅へ向かうよう命じた。
馬車のわずかな揺れに身を任せ、窓の外を見ながら先程までの会話を思い出す。
頭の中に思い浮かぶのは、春に似た温かな陽気をまとい、ふんわりと微笑む彼女の姿だ。
「ソフィア・クレーベル」
そっと名を呟くと心の中が温かくなった気がして、アーサーは思わず驚いて胸に手を当てた。
ソフィアと一緒にいると、ささくれだった心を優しく撫でられているような……そんな心地よさがあるのだ。
今まで老若男女様々な人に出会ったが、一緒に居てこんなに安らかな気持ちになったことは一度もなかった。
貴族社会では男も女も、誰もが何らかの思惑を持っている。
地位や権力への渇望、羨望、嫉妬、虚栄、欺瞞、愛憎、悪意――。
表向きは笑顔で相手を褒めつつ、裏では常に罠を張り巡らせ互いの弱みを探り、自分にとって有利に物事が動くように根回しをする。
アーサーが生きてきた貴族社会は、それが普通だった。
だがその点、ソフィアは真逆の人物だった。
何か目的を達成しようと言葉や仕草を取り繕うのではなく、胸に抱いた優しい気持ちをそのまま口にする。
そこには、何の悪意も打算も感じられない。
彼女の若葉色の瞳から向けられるのは、純粋な尊敬の念。
言葉や仕草の端々に込められているのは、自然な思いやりの気持ち。
きっと彼女は、自分が今まで出会った誰よりも、真面目で純粋で温かな心の持ち主なのだろう。
アーサーは、やたら真剣な顔で食について熱く語るソフィアの意外な一面を思い出し、口元をゆるめた。
白い頬を染め、大きな目をまん丸に見開いて料理の素晴らしさを語る彼女は、とても活き活きとしていて愛らしい。
思い出すだけで、また笑みが勝手にこぼれてしまう。
――この一件が終わったら、一緒に色々な店に行きたいな。もっと美味しい料理を食べたら、ソフィアはどんな顔をして、どんな反応をするんだろう? またあの面白い感想を聞かせてくれるかな。楽しみだ。
そこまで考えて、アーサーは自分自身の思考に驚き、息を呑んだ。
自分が未来のことを想像して、楽しみだと思うなんて……。
――こんなに心躍るのは何年ぶりだろう。
母が亡くなってから今日まで自責の念を原動力にして生きてきた。
幼い妹を、兄として、そして時には母代わりとして支えられるよう強く、しっかりしなければ。
オルランド伯爵家の長男として、いかなる困難にも弱音を吐かず凜と立ち続けなければ。
それが、生き残った自分に与えられた使命であり、唯一の生きる理由。
自分は家と家族を守る砦であり、幸せにするためだけの道具だ。
そう思って生きてきたのに……。
ソフィアと一緒に居ると、何故か、いとも簡単に人間に戻ってしまう。
声を上げて笑い、心のままに振る舞い、癒やされる。
明日を楽しみだと思い、明るい未来を想像してしまう。
――いいのだろうか。
アーサーは自分の胸に手を当て、もう一度夜空を見上げながら今は亡き人に問う。
――何も守れなかった僕が、幸せを感じてもいいのだろうか。許されるのだろうか。
答えはない。ただ空には物言わぬ月が冷たく輝くだけだった。
数日後、アーサーはハイデ伯爵が無理矢理セッティングした見合いへ、渋々行くことになる。
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