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お絵かき①

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ふと気がつくと、周りが明るくなっていた。

一瞬どこにいるのか分からなくなったけど、すぐに思い出した。

ちょっとだけのつもりで、いつの間にか寝てしまってたのか。

横にいたはずのサクラちゃんはいなくて、無事に帰れたのだろうかと少し心配になる。
窓から外を見れば、太陽は随分と高いところにあった。

この部屋に来たときは夕方くらいだったから、随分と寝過ごしてしまったな。

ベッドからおりて、軽く伸びをする。
さすがに連絡もなしに一泊すれば、おじいちゃんたちも心配してるだろうな。

でも帰る気にはなれなくて、サクラちゃんを探さなきゃ、いなかったら帰れば良いし。
なんて言い訳じみたことを考えながら歩き出す。

部屋を出てすぐの階段を登れば、昨日サクラちゃんがいた教室についた。

「サクラちゃーん、いるー?」

声をかけながら覗き込めば、そこには雑然とした机と椅子があるだけで誰もいなかった。

まあ、いないか。

そこからぶらぶらと昨日と逆の順番に教室を覗いていく。

そして階段の手前の教室、3年生の札がかかっている教室に、彼女は、いた。

「・・・サクラちゃん?」

疑問形だったのは、サクラちゃんの様子が後ろから見ても変わっているのがわかったから。
洋服こそ変わらない様子だけど、ショートボブだった髪の毛が肩に着くくらいに伸びて、体格も成長していた。それこそ、3、4年生くらいに。

「・・・あ、よしのお姉ちゃん。」

振り返って、そう口に出したサクラちゃんの顔もどことなく成長しているようだった。
そんなサクラちゃんの顔には笑みが浮かんでいたけれど、昨日よりも控えめなものだった。

「おはよう、何してるの?」

そう言いながら、整然と並んだ机の間を縫って近づいていく。

「あ、おはよう。絵、かいてるの。」

そう言うサクラちゃんの手元のには、確かに色鉛筆と絵の描かれた画用紙があった。
サクラちゃんの前の席の椅子に座り、その絵を手に取る。絵のうまさは、まあ、年相応くらい。

「ねえ、いっしょにお絵かきしない?」

サクラちゃんは少し遠慮がちにそう言った。

「お絵かき?全然いいよ。」

昨日の校庭を走り回るよりも断然いい。
私は何も描かれていない、真っ白な画用紙を手にとった。

「でも、うーん、何を描こう?サクラちゃんは何を描いているの?」

サクラちゃんの描いている絵を見ようとしたら、パッと隠されてしまった。

「えっとね、まだとちゅうだから、見てほしくないな。」

少し気まずげに、サクラちゃんが言った。

「あ、ごめんね。そうだよね、描いてる途中の絵は見られたくないよね。」

慌てて謝った。

「あ、気にしないで。かいてるのはね、家族の絵なんだ。」

「・・・あ、そうなんだ。」

「うん、そうだ!よしのお姉ちゃんの家族の絵も見たいなぁ。」

「え、・・・家族の絵、見たい?」

「あっ、ダメならいいんだよ、別の絵にしよう。」

とっさのことで躊躇してしまった私に気がついたのだろう、サクラちゃんは慌てて言い直した。

「ううん、大丈夫だよ。家族の絵にしよう!私も書くから、そのかわりサクラちゃんの描いた家族の絵も見せてね。」

ニコッと笑ってそう言えば、サクラちゃんはほっとしたような顔を浮かべた。

そこからは静かにお絵かきタイムが始まった。

お絵かき自体すごく久しぶりなのに、家族の絵、かぁ。

お絵かきタイム、書き出す前に手が止まってしまった。
家族の絵で何を書けばいいのか分からなかった。

とにかく、何かを描かなければ、と取り敢えず自分の絵に取り掛かる。

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