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プロローグ②

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もう1時間くらい歩いたかな?
そう思うくらいには歩き続けていた。
バスの窓から見た時もそれなりに遠かったし、すぐにたどり着けるとは思はなかったけど、こんなに歩くとは思わなかった。

時計もないし、携帯電話は電池切れ、時間を確かめる方法はない。
もういっか、そう思って引き返そうとした時にそれが目に入った。

そこは学校だった。

校門をくぐった目の前が少し下り坂になっていて、そのまま校庭につながっている。
誰もいない校庭には遠目にも古びた遊具が並んでいた。

右手には校舎に続く並木道が校庭に沿って続いている。

ゆっくりと並木道を校舎に向かって歩き出す。

平日の昼間、本来なら授業中のはずなのにあたりはしんっと静まりかえっていた。

その理由は校舎に近づいてみればすぐに分かった。
校舎への入り口、玄関らしきところの横にある窓から覗き込むとそこは小さな部屋で、中にはほとんど何も無かった。続けて隣の部屋も覗き込めば、たぶん職員室だったんだろう。引き出しのついた机と、大きな戸棚が壁際に残っていた。それも変な場所の机や戸棚が抜けていて書類とか本とかが何にもない、埃もすごく積もってる。

たぶん、この学校は廃校になったところなんだろうな。

少し歩くと、国旗けいようの時に使う長いポールがあった。校舎と同じくらい高いそれは、真っ直ぐ天に向かって立っていた。
イベントの時にしか使ってなかった気がするけど、一度旗をあげる係りになってみたかったなぁ。

そして、左手に色のところどころはげた百葉箱がある。

そのままフラフラと歩を進めると、たくさんの靴箱が並んだ昇降口についた。

そこからふらりと中に入り込むと、当然靴箱に靴は無く、やっぱり廃校になったところか、と確信が深まった。

そのまま進んで廊下に立てば耳が痛くなるほどの静けさに包まれる。
まるで、別世界に迷い込んだみたい。

誰もいない校舎は、なにか出そうで怖いかと思ったけど、不思議と怖くはなかった。
まあ、まだ昼間だし、生活感っていうかなんというか、人が全くいない感じがそうさせているのかもしれないな。

廊下を歩いていると、階段に差し掛かったので登ってみる。

二階に登りきってすぐ左手には教室が一つ。

右側にはたくさんの教室が並んでいた。
一番手前の教室の前には3年生の札がかかっている。何組かはかすれて読めない。

そこから教室を覗きながら、ゆっくりと廊下を歩く。
教室には生徒用の机と椅子、教卓が乱雑に置いてある。教室の後ろの方には棚と掃除用具入れらしきロッカー。

学校なんてどこも変わらないかなって思ってたけどそんなことはないな。
私の中で学校っていうのはもっと無機質な感じだけど、どこか温かみを感じる気がする。

床が板張りってのもあるのかな?
使い古されて深みの出たって言うとかっこいいけど、たぶん古いだけの黒っぽくて艶の出てる床。
でもどこか落ち着く深い色合いが目に優しかった。

そうやって歩いているうちに、また階段があった。
階段の先には教室が一つ。

何の気なしに覗いてみると、そこには整然と並べられた机と椅子、そして一人の女の子がいた。



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