2 / 15
プロローグ②
しおりを挟む
もう1時間くらい歩いたかな?
そう思うくらいには歩き続けていた。
バスの窓から見た時もそれなりに遠かったし、すぐにたどり着けるとは思はなかったけど、こんなに歩くとは思わなかった。
時計もないし、携帯電話は電池切れ、時間を確かめる方法はない。
もういっか、そう思って引き返そうとした時にそれが目に入った。
そこは学校だった。
校門をくぐった目の前が少し下り坂になっていて、そのまま校庭につながっている。
誰もいない校庭には遠目にも古びた遊具が並んでいた。
右手には校舎に続く並木道が校庭に沿って続いている。
ゆっくりと並木道を校舎に向かって歩き出す。
平日の昼間、本来なら授業中のはずなのにあたりはしんっと静まりかえっていた。
その理由は校舎に近づいてみればすぐに分かった。
校舎への入り口、玄関らしきところの横にある窓から覗き込むとそこは小さな部屋で、中にはほとんど何も無かった。続けて隣の部屋も覗き込めば、たぶん職員室だったんだろう。引き出しのついた机と、大きな戸棚が壁際に残っていた。それも変な場所の机や戸棚が抜けていて書類とか本とかが何にもない、埃もすごく積もってる。
たぶん、この学校は廃校になったところなんだろうな。
少し歩くと、国旗けいようの時に使う長いポールがあった。校舎と同じくらい高いそれは、真っ直ぐ天に向かって立っていた。
イベントの時にしか使ってなかった気がするけど、一度旗をあげる係りになってみたかったなぁ。
そして、左手に色のところどころはげた百葉箱がある。
そのままフラフラと歩を進めると、たくさんの靴箱が並んだ昇降口についた。
そこからふらりと中に入り込むと、当然靴箱に靴は無く、やっぱり廃校になったところか、と確信が深まった。
そのまま進んで廊下に立てば耳が痛くなるほどの静けさに包まれる。
まるで、別世界に迷い込んだみたい。
誰もいない校舎は、なにか出そうで怖いかと思ったけど、不思議と怖くはなかった。
まあ、まだ昼間だし、生活感っていうかなんというか、人が全くいない感じがそうさせているのかもしれないな。
廊下を歩いていると、階段に差し掛かったので登ってみる。
二階に登りきってすぐ左手には教室が一つ。
右側にはたくさんの教室が並んでいた。
一番手前の教室の前には3年生の札がかかっている。何組かはかすれて読めない。
そこから教室を覗きながら、ゆっくりと廊下を歩く。
教室には生徒用の机と椅子、教卓が乱雑に置いてある。教室の後ろの方には棚と掃除用具入れらしきロッカー。
学校なんてどこも変わらないかなって思ってたけどそんなことはないな。
私の中で学校っていうのはもっと無機質な感じだけど、どこか温かみを感じる気がする。
床が板張りってのもあるのかな?
使い古されて深みの出たって言うとかっこいいけど、たぶん古いだけの黒っぽくて艶の出てる床。
でもどこか落ち着く深い色合いが目に優しかった。
そうやって歩いているうちに、また階段があった。
階段の先には教室が一つ。
何の気なしに覗いてみると、そこには整然と並べられた机と椅子、そして一人の女の子がいた。
そう思うくらいには歩き続けていた。
バスの窓から見た時もそれなりに遠かったし、すぐにたどり着けるとは思はなかったけど、こんなに歩くとは思わなかった。
時計もないし、携帯電話は電池切れ、時間を確かめる方法はない。
もういっか、そう思って引き返そうとした時にそれが目に入った。
そこは学校だった。
校門をくぐった目の前が少し下り坂になっていて、そのまま校庭につながっている。
誰もいない校庭には遠目にも古びた遊具が並んでいた。
右手には校舎に続く並木道が校庭に沿って続いている。
ゆっくりと並木道を校舎に向かって歩き出す。
平日の昼間、本来なら授業中のはずなのにあたりはしんっと静まりかえっていた。
その理由は校舎に近づいてみればすぐに分かった。
校舎への入り口、玄関らしきところの横にある窓から覗き込むとそこは小さな部屋で、中にはほとんど何も無かった。続けて隣の部屋も覗き込めば、たぶん職員室だったんだろう。引き出しのついた机と、大きな戸棚が壁際に残っていた。それも変な場所の机や戸棚が抜けていて書類とか本とかが何にもない、埃もすごく積もってる。
たぶん、この学校は廃校になったところなんだろうな。
少し歩くと、国旗けいようの時に使う長いポールがあった。校舎と同じくらい高いそれは、真っ直ぐ天に向かって立っていた。
イベントの時にしか使ってなかった気がするけど、一度旗をあげる係りになってみたかったなぁ。
そして、左手に色のところどころはげた百葉箱がある。
そのままフラフラと歩を進めると、たくさんの靴箱が並んだ昇降口についた。
そこからふらりと中に入り込むと、当然靴箱に靴は無く、やっぱり廃校になったところか、と確信が深まった。
そのまま進んで廊下に立てば耳が痛くなるほどの静けさに包まれる。
まるで、別世界に迷い込んだみたい。
誰もいない校舎は、なにか出そうで怖いかと思ったけど、不思議と怖くはなかった。
まあ、まだ昼間だし、生活感っていうかなんというか、人が全くいない感じがそうさせているのかもしれないな。
廊下を歩いていると、階段に差し掛かったので登ってみる。
二階に登りきってすぐ左手には教室が一つ。
右側にはたくさんの教室が並んでいた。
一番手前の教室の前には3年生の札がかかっている。何組かはかすれて読めない。
そこから教室を覗きながら、ゆっくりと廊下を歩く。
教室には生徒用の机と椅子、教卓が乱雑に置いてある。教室の後ろの方には棚と掃除用具入れらしきロッカー。
学校なんてどこも変わらないかなって思ってたけどそんなことはないな。
私の中で学校っていうのはもっと無機質な感じだけど、どこか温かみを感じる気がする。
床が板張りってのもあるのかな?
使い古されて深みの出たって言うとかっこいいけど、たぶん古いだけの黒っぽくて艶の出てる床。
でもどこか落ち着く深い色合いが目に優しかった。
そうやって歩いているうちに、また階段があった。
階段の先には教室が一つ。
何の気なしに覗いてみると、そこには整然と並べられた机と椅子、そして一人の女の子がいた。
10
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
古屋さんバイト辞めるって
四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。
読んでくださりありがとうございました。
「古屋さんバイト辞めるって」
おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。
学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。
バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……
こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか?
表紙の画像はフリー素材サイトの
https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。
灰かぶり姫の落とした靴は
佐竹りふれ
ライト文芸
中谷茉里は、あまりにも優柔不断すぎて自分では物事を決められず、アプリに頼ってばかりいた。
親友の彩可から新しい恋を見つけるようにと焚きつけられても、過去の恋愛からその気にはなれずにいた。
職場の先輩社員である菊地玄也に惹かれつつも、その先には進めない。
そんな矢先、先輩に頼まれて仕方なく参加した合コンの店先で、末田皓人と運命的な出会いを果たす。
茉里の優柔不断さをすぐに受け入れてくれた彼と、茉里の関係はすぐに縮まっていく。すべてが順調に思えていたが、彼の本心を分かりきれず、茉里はモヤモヤを抱える。悩む茉里を菊地は気にかけてくれていて、だんだんと二人の距離も縮まっていき……。
茉里と末田、そして菊地の関係は、彼女が予想していなかった展開を迎える。
第1回ピッコマノベルズ大賞の落選作品に加筆修正を加えた作品となります。
本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。
四季
恋愛
本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる