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第一章 出会い〜旅の始まり
初戦闘!
しおりを挟むしばらく森の中を進んでいると急にリッキーさんが右前方の方を見て警戒しだした。
「右前方から魔物が接近!多分…3匹かな!」
リッキーさんがそう告げるとみんは武器を構えて戦闘準備をする。
それからあまり間を置かずにオークが3匹ほど来た。
「オーク3匹か。じゃあ2匹は俺たちが引き受けるから、シエルは残り1匹を引き受けてくれ。リッキーはシエルのサポートをよろしくな!」
「了~解っ!」
そう言うとリッキーさんは俺を連れて少し離れた場所にいるオークの方へ向かっていった。
「俺は万が一の時に助けに入るが、それまではシエルが魔法でも剣でも良いから戦ってみてくれ。」
「…っ!わかりました!…ウインドカッター!」
リッキーさんにそう言われたので、狙いを定めてウインドカッターを使ってみた。
だがやはり初戦闘なので動く対象物に当てるのは難しく、胸を狙ったつもりが肩の付け根に当たり、そのまま切断して後ろに流れた。
「おぉ~、初期魔法なのに結構威力あるんだな。」
そうリッキーさんに言われたけど、普通はここまで威力はないのかな?
とりあえず倒さなければともう一度ウインドカッターを使ってみる。
今度はあまり狙いを外さず、うまくオークを倒せた。
「よ~し、うまく倒せたな!じゃあこのオークはシエルのカバンに入れておきな!街に行ったら冒険者ギルドで買い取ってもらったり解体をしてもらうと良いよ。」
リッキーさんがウインクをしてそう言ってくれたので、倒したオークを鞄に入れた。
あんなにでかいのに普通のサイズの肩掛けカバンに腕を突っ込ませただけでスルスルと入っていくのは何度見ても驚きだ。
オークを入れてから周りを見ると、もうすでに他のメンバーはオークを倒して収納し終わっていたようで、こちらへ歩いてきていた。
「そちらも無事に討伐し終わったようだな。リッキー、どうだった、シエルの戦闘は?」
「かなり魔法の威力が高いみたいだな。初期魔法のウインドカッターでもオークの腕や体を切断してのけたし。」
スコットさんに聞かれたリッキーさんはそう答えた。
するとエミリーさんは笑顔で頷きながら「そうなのよね、シエルくんって普通よりも数倍威力が高いのよね!」と言って、リッキーさんに賛同していた。
それから俺たちは街へ向かいながら何度か戦闘をしたが、危なげなく倒せた。
そろそろ街に着きそうな頃にはみんなから戦闘に関してはお墨付きをもらい、あとは冒険者ギルドに着いたら冒険者登録と倒した魔物の買い取りなんかを手伝ってもらうことになった。
「ホント、何から何までお世話になってしまってすみません!とても助かります!」
「いやいや、俺達がやってやりたいだけだから気にするなよ。」
「そうよ、後輩の面倒をみている先輩冒険者ならこれくらい当たり前よ~?ホントは依頼表の受け方なんかも教えたいところだけど、街に着くのは夕方前になりそうだしね。」
「だからそれに関しては明日かな~。」
「なにはともあれ、まずは無事に街につかなくちゃね!」
それからあまり時間をかけずに街に到着。
やはり予想通りに夕方前には街に着けた。
入口の門番さんはスコットさんたちを見ると近づいてきて親しげに話しだした。
「よう、スコット達じゃないか!しばらく前に街を出て森の方に行っていたようだが、何か依頼でもあったのか?」
「あぁ、実は森の方でグレートウルフの群れが頻繁に目撃されててな。あの森は比較的低ランクの冒険者が行くんだが、さすがにグレートウルフの群れは低ランクには厳しいとギルドからお達しがあって、俺たちが向かって討伐することになったんだよ。」
「そうそう、グレートウルフの群れと戦闘中にこの子が出てきたから保護したのよ。」
スコットさんとエミリーさんがそう門番の人に答えると、俺の方を振り返り頭を撫でてきた。
…俺、そこまで小さな子に見えるのかな?
そんな疑問が顔に出ていたのか、リッキーさんとリリーさんがフォローを入れてくれた。
「シエルはそこまで年齢が低くないだろうからスコットとエミリーはその態度を改めたほうがいいんじゃないか?」
「そうですよ、シエルくんはかなり受け答えもしっかりしていますし、物覚えもすごく良いですからそんな頭を撫でられるような年齢じゃない気がしますよ?」
するとエミリーさんがすまなそうな態度で謝りつつ聞いてきた。
「ごめんなさいね、可愛い顔しているからついね。でもシエルくんって実際、何歳なの?」
みんな興味津々な顔でこちらを見てきていたので、実際の年齢ではなくステータスにある年齢の「14歳」として答えた。
するとスコットさんとエミリーさんは驚き、リッキーさんとリリーさんはやっぱりね!って顔をしていた。
「やっぱり成人直前の年齢じゃん!エミリーお姉ちゃんとスコットおじちゃんがごめんなぁ~、シエル!(笑)」
「なんだとぉ~!?おじちゃんはないだろ、おじちゃんは!俺はまだ30前だ!」
「いや、30前って言ったって来月には30じゃん!同じだよ、同じ!(笑)」
するとリッキーさんがスコットさんとエミリーさんをからかうように言った。
どうやらスコットさんはもうすぐ30歳なんだそうな。
地球での年齢とほぼ変わらないので妙な親近感がある。
30歳でもおじちゃんはないよな!
そんなやり取りを眺めていた門番さんは会話が一段落したところで街に入るための手続きをするように言ってきた。
みんなはギルドカードを出すだけで良かったが、俺は身分証明書になるものを持ってない。
どうしたらいいかと思っていると門番さんが「この玉に手を乗せてね。」と言ってきたので素直に乗せた。
すると触れてすぐに玉が光だし、すぐに消えた。
「うん、白く光ったから犯罪歴や危険人物ではないな。入って良し!街の中に入ったらスコットたちに冒険者ギルドに連れて行ってもらって登録しておきな!それが一番手っ取り早い身分証明書になるからな。」
それから俺たちは門をくぐり、街の中へと入った。
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