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 リオネルに遅れてわたしは大広間に戻った。 中央階段にはお父様と二人の姿。 アインツマン様はその場には行かず、周りの祝福に応えている。 

 ……そうだ、コリーン様が来てない、息子の婚約発表なのに。

「わたしのせい……か」

 常識のある人達だから、わたしの家族と違って。 まだ自分がまともに成長出来たのは、ダラビット家の人達とロベルトのおかげかな。

「悪魔……」

 そう、それはしっかりと受け止めなくてはいけない。 大き過ぎる加護の力は、使い方を間違えば悪魔の力になりうるんだ。


「それでは例の物をここへ!」

「――っ!」


 ぼ、ぼうっとしてる場合じゃない、宴は進んでいるんだから!

「おお、これは……」

 わたしが提案した余興、妹へのプレゼントを使用人達が運んできた。

 台座に乗った大きな石。 神殿の柱にも使われそうな程立派な物だ。 これを街の石材屋で買って、この日の為に用意した。

「まさかこれを……」

 ざわめく来客達にステラリアは両手を広げ、

「お集まりいただいた皆様の為、祝福のお返しにお見せ致します、『加護の力』をっ!」

 まるで自分が神の代行者のように言い放つ。

「見ててね、リオネルっ」

 あざとく微笑み首を傾げる妹に、リオネルは「ああ」と応えた。

 一段、二段と階段を下りるステラリア。 お父様はその姿ではなく、これから錬金される石をもう金のように、浅ましい目付きで凝視している。

「こんなに大きな……」

 お母様に至っては、自分が声を漏らしている事さえ気づいていない。


 目を覚ましてあげる、本当の加護持ちが。


 ―――神はわたし、ダリア・ノームホルンに加護を授けた、錬金の加護を。


「それでは皆様、よくご覧くださいっ」


 でもそれは、双子という神すら気づかなかった偶然により、一つの力に、二つの出口を作ってしまった。

 それを今夜……


 ――――塞いでやるッ!


 わたしは初めて、うるさく戸を叩く借金取りを追い払った。

 自分で払え。

 妹に、ステラリアから取ってこいと――――


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