私はモブ嬢

愛莉

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夕食と就寝支度を終え、再び私は部屋のベットへ潜り込んだ。

今日は色んなことがあったからか身体が重い。
6歳の身体には応えますね。

そういえば、私には前世がある。どうやって亡くなったのだろう。友達や家族は?私が住んでたあの家は?
思い出そうとしても白くモヤのかかった映像が浮かぶだけだった。
でも何故かこの舞台となっているゲームの事だけは覚えている。

私が前世でハマっていたゲーム「煌めく世界であなたと」はザ・王道のゲーム。

ヒロインのマリアは捨て子で教会育ち。年頃になると教会維持の為にと攻略者達が何故か通う街の食堂で働き始める。
ピンクのゆるふわパーマは腰上まであり、澄んだ瞳はアクアマリンを嵌め込んだ様だ。薔薇色の頬に甘い顔立ち。
天真爛漫で少しおっちょこちょい。何処か憎めないヒロインに攻略者達は救われていく。

攻略者は第一王子のエリック・エインズワース、第一王子の側近のフレデリック・スヴェール、騎士であり第一王子の幼馴染みのライナス・アトラス、王宮務めで魔導師のレイド・マルグリット、ヒロインの幼馴染みで同じ教会育ちのレオン、お忍びでこの国に来る隣国の王子のカルロ・カルデリア。
そして隠れキャラであり、第一王子とは腹違いの第二王子のランス・エインズワース。

バットエンドもあるが出来ればこの世界ではハッピーエンドを迎えて欲しいな。
ヒロインは誰を選ぶのだろう。

第一王子には婚約者がいる。悪役令嬢のレベッカ・ワグナーだ。
ゲームの彼女は第一王子に近づくヒロインを虐める。
最初は子供の様な虐めだがそれがエスカレートし、最終的にはお金で雇った粗暴者にヒロインをレイプする様拐かす。ヒロインは第一王子に助けられ、粗暴者は処刑。悪役令嬢は国外追放となるが道中に姿を消し、彼女の行方は誰も知らないという不気味なラストを迎える。
第一王子はヒロインが庶民にも関わらず妻にし、ハッピーエンドを迎える。めでたしめでたし。

悪役令嬢は第一王子ルートのみヒロインにちょっかいを出して来るが、他の攻略者ルートには出てこず無事に第一王子の妻となる。
私はこの世界ですでに悪役令嬢のレベッカ・ワグナーと出会っている。
ゲームでは意地悪な印象だが、私は彼女に対して好感を持っている。
燃えるような紅いストレートな髪にエメラルドグリーンの瞳。ツンとした鼻にキュッと引き締まった唇は冷たい印象だが、彼女が笑うと紅い薔薇が咲き誇った様に美しい。思わずお姉様と呼んでしまいそうになる。

私はこの世界ではモブだ。
メインメンバーでもなければ関わりもない。
有難いのは貴族に転生したことだろうか。
チャンスがあればメインメンバーを傍で見たい。
もはや芸能人を近くで見たい一般人の感覚だ。
悪役令嬢に虐められる事もなければ、ヒロインを虐める必要もない。
安心なポジション。出来ればヒロインが誰と結ばれ、悪役令嬢が迎える結末を見たいものだ。

家族や使用人達は優しくて美形で目の保養になる。それだけでも満足なのに、大好きだったゲームを体感出来るなんて!!最高かよ!
神様ありがとう!

神様に心の中でお礼しつつ目を瞑った私は3秒で夢の中へと旅だった。
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