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一家団欒

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アルク様の腕の中を堪能していると、いつの間に家に着いてしまったみたい。
残念に思ったのは私だけの秘密。

「もう着いてしまったのか。名残惜しいな。」

アルク様も名残惜しく思ってくれたのが嬉しい。
アルク様は私の頭をひと撫でしてゆっくりと距離を置いた。

馬車を降りると、家の玄関までエスコートしてくれた。恋人繋ぎではなく、ちゃんと腕組みで。

「あの繋ぎ方はまた学園でね。」

耳元で甘く囁かれた言葉に「ひゃい」としか返事が出来なかったのは、私のせいではないはず。

玄関を開けると執事のセバスと侍女のミリヤがいた。

「「おかえりなさいませ。お嬢様。」」

「ただいま。」

「セバス、ダン宰相はまだ城だろうか?」

「はい。旦那様はまだお戻りになっておりませんので、恐らくまだお城にいるかと。」

「そうか。わかった。それではレイラ、また明日。」

「はい。アルク殿下。お気を付けて。」

「あぁ。ありがとう。」

アルク様は踵を返し、また馬車へと乗り込むと手を振ってくれた。
私は馬車が見えなくなるまで手を振り続けました。

「さぁ、お嬢様。お着替えいたしましょう。奥様もお待ちですよ。」

「そうね。」

部屋に入り着替えを済ませ、夕食まで母とミリヤが用意してくれた紅茶を飲んで休むことにした。

「学園はどうでした?」

「いつも通りでしたわ。今日はね、女子会で恋人繋ぎについてお話しましたの。」

「恋人繋ぎ?」

「はい。元々は平民の間での繋ぎ方らしいのだけど、今は学園の恋人同士で流行っている繋ぎ方ですの。こう、相手の指と自分の指を絡めて繋ぐのですわ。」

「まぁ!そんな繋ぎ方があるのね!」

「そうなんですの!私達は普段、殿方の腕に手を添えるものだけど、手を絡めると相手の温もりを感じられて、恥ずかしいけど、嬉しいものですね。」

母に恋人繋ぎの説明しなが、今日アルク様とずっと手を繋いでいたことを思い出した。
恋人繋ぎは前世で知っていたけど、前世では恋人はいた事なかった。
推しメンと繋げた事が前世と今世の私へのご褒美だ。
アルク様の手、優しくて大きくて暖かかったな…

「体験談と言うことは、その恋人繋ぎをアルク殿下とお繋になったのですね。」

は!私ってば余計な事まで!

「お、お母様!内緒よ?はしたないってお父様や兄様達に怒られてしまうわ!お願い!」

「えぇ、もちろんよ。」

「ミリヤも約束ですわよ!」

「クスクス。えぇ、もちろん。お約束です。」

母とミリヤと談笑をしていると、父と兄達の帰りを告げるセバスの声がかかった。

「お出迎えしましょう。」

母に促され、母とミリヤと玄関に向かうと、父と兄達がいた。

「おかえりなさい。あなた。」

父が母を抱きしめ、母は父の腕の中で乙女の様に顔をうっとりさせている。
母は父が大好きなようで、いつも父が仕事をしている時以外はベッタリとくっ付いている。

「あぁ、ネル!寂しかったろう。すまなかったね。」

父も父で母が大好きなので、朝の光景は今生の別れの様に、帰りはやっと巡り会えた恋人の様に情熱劇場わ繰り広げている。
前世ではケッとか思うだろう光景も、この2人を見てると美男美女のハリウッド映画のワンシーンを観ている感覚なので、逆に憧れ的な気持ちになってしまう。

「「ただいま。レイラ。」」

「おかえりなさい。ジル兄様、ロビン兄様。」

ジル兄様は頭をロビン兄様は肩を優しく撫でてくれた。
この2人は、二卵性双生児だけど、父と母の良いとこ取りなので、世の中の女子にモッテモテだったりする。

「ただいま、ミリヤ。」

「おかえりなさいませ。ジル様。」

そして、実はジル兄様とミリヤは両想いだったりする。本当は家を継ぐのは長男であるジル兄様なんだけど、自分は身体を動かして国を助けたいのだと騎士団に就職した。
だけどそれは建前で、実はミリヤと結婚したいからだったりする。
ミリヤの家は男爵家の為、格上の公爵家へ嫁ぐ事は出来ない。良くて子爵か伯爵だ。
騎士団に入ると平民も貴族も関係なくなり、個人となる。
そして、隊長になれば功績により爵位が与えられる。ジル兄様は公爵位を捨て、伯爵位を賜る計画を建てているそうだ。
2人の結婚式に出席出来たら良いな。

そんな事を考えていると、夕食を告げる声がかかった。

「お嬢様、参りましょうか。」

「えぇ。」

父と兄達は着替えに部屋へ戻り、母とミリヤと一足先に食堂へと向かった。
しばらくすると、父と兄達が食堂へ現れた。

「お待たせたね。さぁ、食事にしようか。」

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