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女子会
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本日の授業も終わり、私は友人達と恒例になっている女子会に参加する為にサロンへ足を運びました。
サロンを開けると白を基調としたロココ調のテーブルやソファが並べられ、花瓶にはパステルカラーの可愛らしい花束が飾られています。
テーブルには焼き菓子が摘めるようになっており、早速摘んでいる友人もいました。
「遅れてしまってすみません。私が最後のようですね。」
「待っていましたわ、レイラ様。さぁ、おかけになって。」
私に声を掛けてくれたのは綿毛こと、リゼルさんだった。
「今日はずっとアルク殿下と手を繋いでいたんですって?羨ましいわ~。」
おっとりとお色気たっぷりに話しかけてきたのはエロスこと、セリーナさん。
さすがエロスの称号。エロ過ぎますお姉様。
「相変わらず仲がよろしいようで。私も羨ましい限りです。」
継いで声を掛けてきたのは健気こと、マリアさん。
羨ましさの中に寂しさが見え隠れしているのは、婚約者のセルゲイ先生が原因でしょう。
のらりくらりとしている彼は誰にも本心を語らない。
マリアさんという婚約者がいながら女性に対して来る者拒まず去るもの追わずのタイプ。
そんな彼を陰ながら見守っている彼女は健気過ぎる。
「しかもあの憧れの恋人繋ぎですよ!いいなー。私もザック様と繋いでみたいなー。」
目をキラキラ輝かせ、祈るように両手を組んだリゼルさんは明後日の方向を見ながら夢見ている様。
「そうね~。私もレイド様仕掛けてみたことあるけど、真っ赤になっちゃって、猫のように嫌がって離されてしまいましたわ~。何回狙ってもダメですの~。」
レイド様はお堅いタイプなので恋人繋ぎなどと目立つ様な事はもちろん、セリーナさんの色気も毒だと思いますよ。
「そういえば、今朝、レイラ様が変な令嬢に絡まれていたと耳にしましたが大丈夫でしたか?」
「え?そうだったんですか!?」
「初めて聞いたわ~。大丈夫でした?変なことされてません?」
そういえば、そんな事もありましたね。
ヒロインちゃんとエンカウントしたことよりアルク様との手繋ぎ事件の方が私的に重要だったのですっかり忘れてましたわ。
「ええ。問題ございませんわ。どうやら他の生徒とぶつかった拍子に転んでしまったようで、アルク殿下が助けに入られたのです。」
「さすがアルク殿下!紳士ですわね!」
「でも、それがどうして絡まれた事になってるんです?」
「実は、私とアルク様が絡まれたのではなく、私が彼女に絡んでしまったのです。」
嫌われてしまうかもと思い、しょんもりしました。
でも、仕方が無いのです。
今、私に必要なのは好かれる勇気より嫌われる勇気ですわ!
「アルク様を呼び捨てにしたので叱ってしまったのです!」
さぁ!罵られましょう!ドンと来いよ!
友人に嫌われるのは悲しいけど、仕方ありません。
これも悪役令嬢の為の第一歩ですわ!
「な~に?そんな事~?」
「自分の婚約者が自分より格下の令嬢に呼び捨てにされるのを叱るのは当たり前の事ではないでしょうか?」
「そうですわ!レイラ様は何も悪くありません!」
「で、でも、アルク様から手を差し伸べられて羨ましいとか、転んで汚れた顔を余計なお世話で拭ってしまったし、他の生徒もいるんだから気をつけなさいと叱りつけてしまいましたわ。」
「そんな事~?普通な事ですわよ?教師が注意する様な範囲じゃない~。私だったら平手打ちしてますわ~。」
おっとりエロス系お姉様は意外と過激派でした。
「なんだー。レイラ様悪くないじゃないですか。いつも清らかで天使の様なレイラ様が絡みに行くなんて何事かと思いましたー。」
リゼルさん?私、そんな風に見られてるの?リゼルさんにはフィルターが何枚も重なって見えてるのかしら?
「私が聞いた話と少し違いますね。なんでも、レイラ様が注意された後悲痛な面持ちでアルク殿下の元に戻られたので、周囲に聞こえないか見えない程度に何か嫌がらせを受けたのではないかと。でも、レイラ様がご無事で何よりです。」
あ、アルク様に嫌われたと思って絶望した時の顔をそんな風に解釈されてしまってたのですね。
ヒロインちゃん、とばっちりでしたね。申し訳ないですわ。
「あの、それは、アルク様に嫌われてしまったと思って·····」
「まぁ!そんな事はこの国が滅びても有り得ませんわ!あのアルク殿下の溺愛様!!しかもレイラ様は何も悪くありませんもの。嫌われる要素などありません。」
「そうですよ。私達も話をお伺いしましたが、アルク殿下がレイラ様を嫌いになる要素などありませんでした。もちろん、私達もです。むしろレイラ様は暴力ではなく、諭したのでしょう?立派です。」
「そうよ~。気にすることじゃないわ~。他の令嬢だったら私の様に平手打ちしてたわ~。」
3人はうんうんと頷くのをシンクロさせて私を励ましてくれました。
やはり私の友人は素敵です。
サロンを開けると白を基調としたロココ調のテーブルやソファが並べられ、花瓶にはパステルカラーの可愛らしい花束が飾られています。
テーブルには焼き菓子が摘めるようになっており、早速摘んでいる友人もいました。
「遅れてしまってすみません。私が最後のようですね。」
「待っていましたわ、レイラ様。さぁ、おかけになって。」
私に声を掛けてくれたのは綿毛こと、リゼルさんだった。
「今日はずっとアルク殿下と手を繋いでいたんですって?羨ましいわ~。」
おっとりとお色気たっぷりに話しかけてきたのはエロスこと、セリーナさん。
さすがエロスの称号。エロ過ぎますお姉様。
「相変わらず仲がよろしいようで。私も羨ましい限りです。」
継いで声を掛けてきたのは健気こと、マリアさん。
羨ましさの中に寂しさが見え隠れしているのは、婚約者のセルゲイ先生が原因でしょう。
のらりくらりとしている彼は誰にも本心を語らない。
マリアさんという婚約者がいながら女性に対して来る者拒まず去るもの追わずのタイプ。
そんな彼を陰ながら見守っている彼女は健気過ぎる。
「しかもあの憧れの恋人繋ぎですよ!いいなー。私もザック様と繋いでみたいなー。」
目をキラキラ輝かせ、祈るように両手を組んだリゼルさんは明後日の方向を見ながら夢見ている様。
「そうね~。私もレイド様仕掛けてみたことあるけど、真っ赤になっちゃって、猫のように嫌がって離されてしまいましたわ~。何回狙ってもダメですの~。」
レイド様はお堅いタイプなので恋人繋ぎなどと目立つ様な事はもちろん、セリーナさんの色気も毒だと思いますよ。
「そういえば、今朝、レイラ様が変な令嬢に絡まれていたと耳にしましたが大丈夫でしたか?」
「え?そうだったんですか!?」
「初めて聞いたわ~。大丈夫でした?変なことされてません?」
そういえば、そんな事もありましたね。
ヒロインちゃんとエンカウントしたことよりアルク様との手繋ぎ事件の方が私的に重要だったのですっかり忘れてましたわ。
「ええ。問題ございませんわ。どうやら他の生徒とぶつかった拍子に転んでしまったようで、アルク殿下が助けに入られたのです。」
「さすがアルク殿下!紳士ですわね!」
「でも、それがどうして絡まれた事になってるんです?」
「実は、私とアルク様が絡まれたのではなく、私が彼女に絡んでしまったのです。」
嫌われてしまうかもと思い、しょんもりしました。
でも、仕方が無いのです。
今、私に必要なのは好かれる勇気より嫌われる勇気ですわ!
「アルク様を呼び捨てにしたので叱ってしまったのです!」
さぁ!罵られましょう!ドンと来いよ!
友人に嫌われるのは悲しいけど、仕方ありません。
これも悪役令嬢の為の第一歩ですわ!
「な~に?そんな事~?」
「自分の婚約者が自分より格下の令嬢に呼び捨てにされるのを叱るのは当たり前の事ではないでしょうか?」
「そうですわ!レイラ様は何も悪くありません!」
「で、でも、アルク様から手を差し伸べられて羨ましいとか、転んで汚れた顔を余計なお世話で拭ってしまったし、他の生徒もいるんだから気をつけなさいと叱りつけてしまいましたわ。」
「そんな事~?普通な事ですわよ?教師が注意する様な範囲じゃない~。私だったら平手打ちしてますわ~。」
おっとりエロス系お姉様は意外と過激派でした。
「なんだー。レイラ様悪くないじゃないですか。いつも清らかで天使の様なレイラ様が絡みに行くなんて何事かと思いましたー。」
リゼルさん?私、そんな風に見られてるの?リゼルさんにはフィルターが何枚も重なって見えてるのかしら?
「私が聞いた話と少し違いますね。なんでも、レイラ様が注意された後悲痛な面持ちでアルク殿下の元に戻られたので、周囲に聞こえないか見えない程度に何か嫌がらせを受けたのではないかと。でも、レイラ様がご無事で何よりです。」
あ、アルク様に嫌われたと思って絶望した時の顔をそんな風に解釈されてしまってたのですね。
ヒロインちゃん、とばっちりでしたね。申し訳ないですわ。
「あの、それは、アルク様に嫌われてしまったと思って·····」
「まぁ!そんな事はこの国が滅びても有り得ませんわ!あのアルク殿下の溺愛様!!しかもレイラ様は何も悪くありませんもの。嫌われる要素などありません。」
「そうですよ。私達も話をお伺いしましたが、アルク殿下がレイラ様を嫌いになる要素などありませんでした。もちろん、私達もです。むしろレイラ様は暴力ではなく、諭したのでしょう?立派です。」
「そうよ~。気にすることじゃないわ~。他の令嬢だったら私の様に平手打ちしてたわ~。」
3人はうんうんと頷くのをシンクロさせて私を励ましてくれました。
やはり私の友人は素敵です。
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