実らなかった初恋の…奇跡

秋風 爽籟

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11話 合コン

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空は、学校での成績も良かったことから、大きな病院に早くから就職が決まっていた。

そして、無事に専門学校を卒業して社会人になった。



病院は、家から遠いのが難点だったが…車で通った。

病院では、事務室に勤務しシステムを担当している。



栞と別れてから、栞とは会っていない。

そして、新しい恋をする気にもなれずにいた。



就職してからも、特に出会いも無く…日々は過ぎて行った。



何時の頃か…栞が職場の人と結婚したと…風の噂で聞いた。

空は、それを聞いても、揺らがないぐらいに傷は癒えていたようだ…



でも、そんな空を心配して…

専門学校の友達が、空にメールをしてきた。



―――空、元気か?ちょっと合コンのメンバーが足りないんだ…お前が合コンに行く気がないのは、分かってるんだけど、俺を助けると思って…来てくれないかな??



また、こいつが…面倒なことを言って来たなって思ったけど…

なんだか、行ってもいいかなって気持ちになった。



―――分かったよ。行くよ…



―――助かるよ!ありがとう。



栞と別れて、もう3年が経つ…

栞も結婚したことだし…俺も、そろそろ吹っ切らないとな…

その時は、ふと、そう思った…





      *****





舞は、大学を卒業後、大手のアパレルに就職した。

スタッフは女子が多く…お客も女性ばかりだ…

まったく出会いもない…



毎日、仕事と家の往復…

友達とも、休みが合わないから休みは、家でゴロゴロするばかり…

私の、人生って本当につまらない…



大学時代の彼と別れてから2年…

出会いもないから、彼も出来やしない…

空くんの事を忘れるには、新しい恋をするしかないのに…



そんな時、同僚から合コンに誘われた…



「友達から、合コンに誘われたんだけど…舞さん、彼氏いなかったよね?」



「いないけど……」



「一緒に行ってみない?」



舞は、合コンが苦手だ…

でも、合コン以外での出会いもないし…

無理に恋愛をしなくてもいいって気持ちもあるけど…



舞の心から、空の存在を消したかった…

自分勝手かもしれないけど、誰かに忘れさせて欲しかった…



すごく迷ったけど…



新しい人生を踏み出すために…

行ってみようって思った。



「私なんかが行ってもいいのかな?」



「全然いいよー。行こう行こう」



「分かった…行ってみる……」



合コンって、何を着ていけばいいんだろう?

こういうの久しぶりだし…

あまりに着飾って行って、張り切ってると思われても嫌だし…

考えてみたら、最近の舞は髪を伸ばしっぱなしで…

ロクに手入れもせずに、お団子にしている。



久しぶりに美容院くらいは行っておこうか…



舞は、久しぶりに髪を切って…パーマをかけた。



くすっ…

結局、張り切ってると思われそうだな…



だから服装は、あまり張り切らない程度におしゃれをして行った。

いつも舞を見ている同僚は、張り切ってると思うだろうなって思いながら

待ち合わせ場所に行くと…

同僚の方が、張り切っていた…



合コンの店に入って行くと…

すでに、男の人が待っていると同僚の友達がつぶやいた。



舞は、店の中に…

空に似ている人を、すぐ様見つけた…



私って…

こんな時まで、空くんのことが頭にあるんだ…

どうしようもないな…



そう思いながら…

同僚の後ろに付いて席に向かった…

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