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前編 あの人に会えるまで

【32話】本当の別れ

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私は、元夫に会いに行った。

そして、この間面会に来た時に

ママと子供を見た事を告げた。

本当は子供は見てないのだけれど…

知り合いに聞いたとは言えないので…


「そんな状況で私によく待って欲しいって言えるよね」

「ずっと私をだましておいて…」

元夫は

「ずっとじゃない。そんな状況になったから…」

と何か言っていたけれど

私にはどんな言葉も入らなかった。

「もう二度と私達に関わらないで、二男にも絶対に会わせない」

元夫「じゃ、二男に会いたくなったらどうすればよいのか」

私「陰からそっと見ればいい」

元夫は、無言だった…

私は「さようなら、もう二度と会うことはないから」

面会時間はまだあったのだが

そう言って面会室から出て行った。


これが、私が元夫に会った最後となった…


私は、復讐してやりたいくらい悔しかった…

でも、思い直した。

関わらないのが復讐だと…

そう考えることにした。

何があっても、もう二度と関わらない。

そう誓った。


こうして、私は本当に別れることができた…


長男にお父さんが捕まったことを告げると

「どうせ、また待つんでしょ」と…

私は、子供がいたことなど話し、別れたことを話した。

「どこかに兄弟がいるってことなんだね

ま、会うことはないだろうけど」

私は

「あんたは大人だから、お父さんと

会いたいと思えば会えばいいよ」と言った。

「そうだね…」と長男は言った。


関わらないと言っても、色々と話は入って来た。

その後、ママと籍を入れたとか

裁判の行方など…


長男の所にも、元夫から手紙が来ていた。

お母さんと別れたと…

「お母さんの事を本当に愛していた…

でも、どうにもならないこともあるなんだと悟った」

と書いてあったと聞いた。


それから突然、元夫と刑務所で一緒だった

という人が訪ねて来た。

元夫は逮捕されたこと

離婚したから、もう状況は分からないと告げた。

それから少しして、またその人が訪ねて来た。

拘置所に面会に行ったと…

元夫に家を訪ねたことを話すと

「元気でしたか」

「男がいる雰囲気だったか」

と言ったらしい。

どこまで、アホな男なんだと…呆れた。


仲良くしていた捜査員の人は

転勤になっていたから

電話ですべてを話した。

仕事でこっちに戻るという話になった時に

自然と会おうということになった。

私は、初めて捜査員の人と二人であった。

「逮捕した男の元奥さんと会ってるなんて

色んな意味でバレたら大変…

元夫も、まさか二人で会ってるなんて

夢にも思ってないだろうね」

そう言いながら、色んな話をした。

この人とは、飲みに行っただけで

本当に何もなかったのだけど

私は、元夫に対して小さな裏切りをしている気分だった。

捜査員の人は、私に勇気を与える言葉を

沢山言ってくれた。

これまでも本当にお世話になった…

感謝しかなかった。


元夫と一緒に行くはずだったフェスも

花火も長男家族と一緒に行った。

去年、花火を見に行った時に

ヘリコプターに乗れるイベントをしていて

私が飛行機に乗ったことがないからと

元夫が、なけなしのお金を出してくれて

みんなで乗ったことを思い出した…


悪いことばかりではない、楽しいこともあった…

そう、思えるようになりたい。

未来に記憶がある私は、そう思えるけど…

1度目の人生の私には、無理だった。

ただ、悲しいだけだった…
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