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前編 あの人に会えるまで
【10話】出所
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元夫の父からの連絡
元夫の父が身元引受人になっていたので
出所の日が決まったと通知があったとのことだった。
1か月後に出所してくる…
出会って5か月で離れ離れになって
1年半後、やっと自由の身になって帰ってくる。
満期から1か月前に仮出所となった。
私は元夫の両親と迎えに行った。
本当に本当に嬉しかった…
これも分かっていることなんだけど…
しかも、これからが大変なのも分かっている。
何とも複雑だったけれど…
抗うしかなかった。
私、17歳。元夫24歳。
仮出所で出ると、まず行かなければいけないのが
検察庁…
担当の検察官に会って面談をする。
そして、保護観察官の人に会うのだ。
満期まで保護観察官の人と定期的に会わなければいけない。
それを済ませると
やっと二人きりになった…
その日は二人の時間を過ごし…幸せだった。
元夫は、もともと所属していた某右翼団体に戻った。
その頃、私の家は兄の彼女が一緒に暮らすようになっていて
私は、兄の彼女と仲が悪く
私が家のことをしないと、すぐ兄に言いつけられ
ひどい時は兄に怒られ、気が付くと
まな板等で殴られたこともあった。
だから…家にいるのが嫌だった私は
元夫の家に泊まって、帰らなくなっていた。
そのうち、元夫の家も居づらくなり…
元夫の家を出て、同棲することにした。
某右翼団体では、他の仕事を始めていたので
それを手伝う名目で、一緒に事務所に行き過ごしていた。
それから数か月して
妊娠したことに気が付いた。
けれど、私はそれに気が付かず
風邪薬を飲んでいたのだ。
風邪薬の内容を書いてもらい
産婦人科に持って行って診察してもらった。
「奇形の子どもが生まれる確率はある。奇形の内容にもよるが
指が多い場合は切り取れば良いけれど、少ない場合はどうしようもない。
奇形が出ない場合もある。生まれてみないと分からない。
よく考えて決めて下さい」
と言われた。
元夫と泣きながら話し合って…
産むことにした。
結果は分かっているから私に産まないという選択はない。
長男に会えない人生は考えられない。
絶対に産む。
それから、入籍をした。
長男は、思った通り
五体満足で生まれて来た。
ただ、子どもに黄疸が出ていたので
退院は遅くなったけれど…
無事に退院して、子どもと過ごす日々…
幸せだった。
元夫は、某右翼団体に行かなくなって
暴力団の人と付き合うようになっていた。
いつの間にか、暴力団に入っていて
若い子も家に出入りするようになり
私は、いつの間にか「姉さん」と呼ばれるようになっていた。
元夫は刺青は入れなかったが
刺青の彫士の夫婦が暫く泊まっていることもあり
目の前で刺青を彫るのを見ることもあった。
家の中は、どんどん変な雰囲気になっていった。
長男はすくすくと育っていった。
安い所に引っ越しをて環境が変わると思ったが
変わらなかった。
ある日
元夫が「暴力団のオヤジの元から逃げたい」
と言い出した。
何があったのか分からないが…
私たちは荷物を車に詰め込み
後のことも考えず、家を出た。
私19歳。元夫26歳。長男1歳半。
これから、私たちがどうなるかも
分かっている。
それでも、私は「あの人」に会うまで
耐えるしか道はなかった…
元夫の父が身元引受人になっていたので
出所の日が決まったと通知があったとのことだった。
1か月後に出所してくる…
出会って5か月で離れ離れになって
1年半後、やっと自由の身になって帰ってくる。
満期から1か月前に仮出所となった。
私は元夫の両親と迎えに行った。
本当に本当に嬉しかった…
これも分かっていることなんだけど…
しかも、これからが大変なのも分かっている。
何とも複雑だったけれど…
抗うしかなかった。
私、17歳。元夫24歳。
仮出所で出ると、まず行かなければいけないのが
検察庁…
担当の検察官に会って面談をする。
そして、保護観察官の人に会うのだ。
満期まで保護観察官の人と定期的に会わなければいけない。
それを済ませると
やっと二人きりになった…
その日は二人の時間を過ごし…幸せだった。
元夫は、もともと所属していた某右翼団体に戻った。
その頃、私の家は兄の彼女が一緒に暮らすようになっていて
私は、兄の彼女と仲が悪く
私が家のことをしないと、すぐ兄に言いつけられ
ひどい時は兄に怒られ、気が付くと
まな板等で殴られたこともあった。
だから…家にいるのが嫌だった私は
元夫の家に泊まって、帰らなくなっていた。
そのうち、元夫の家も居づらくなり…
元夫の家を出て、同棲することにした。
某右翼団体では、他の仕事を始めていたので
それを手伝う名目で、一緒に事務所に行き過ごしていた。
それから数か月して
妊娠したことに気が付いた。
けれど、私はそれに気が付かず
風邪薬を飲んでいたのだ。
風邪薬の内容を書いてもらい
産婦人科に持って行って診察してもらった。
「奇形の子どもが生まれる確率はある。奇形の内容にもよるが
指が多い場合は切り取れば良いけれど、少ない場合はどうしようもない。
奇形が出ない場合もある。生まれてみないと分からない。
よく考えて決めて下さい」
と言われた。
元夫と泣きながら話し合って…
産むことにした。
結果は分かっているから私に産まないという選択はない。
長男に会えない人生は考えられない。
絶対に産む。
それから、入籍をした。
長男は、思った通り
五体満足で生まれて来た。
ただ、子どもに黄疸が出ていたので
退院は遅くなったけれど…
無事に退院して、子どもと過ごす日々…
幸せだった。
元夫は、某右翼団体に行かなくなって
暴力団の人と付き合うようになっていた。
いつの間にか、暴力団に入っていて
若い子も家に出入りするようになり
私は、いつの間にか「姉さん」と呼ばれるようになっていた。
元夫は刺青は入れなかったが
刺青の彫士の夫婦が暫く泊まっていることもあり
目の前で刺青を彫るのを見ることもあった。
家の中は、どんどん変な雰囲気になっていった。
長男はすくすくと育っていった。
安い所に引っ越しをて環境が変わると思ったが
変わらなかった。
ある日
元夫が「暴力団のオヤジの元から逃げたい」
と言い出した。
何があったのか分からないが…
私たちは荷物を車に詰め込み
後のことも考えず、家を出た。
私19歳。元夫26歳。長男1歳半。
これから、私たちがどうなるかも
分かっている。
それでも、私は「あの人」に会うまで
耐えるしか道はなかった…
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