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2話 私はなんだか先生の顔が見たくなってリビングのドアを見つめていた
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あいたー、私、まだ二日酔いで動けない。頭がぐわんぐわんしている。スマホで時間を確認したらもう十一時だった。今日が土曜日で良かったよ……。
今はリビングに置かれた大きめのソファーをお借りしている。リビングは冷房が入っていて快適だ。
「腹……減ってないか? 何か食べられそうなものを買って来よう。すまないな、この家には何もないんだ」
シャワーを浴びてさっぱりした吉野先生は鼻の下まですっぽりタオルケットをかぶった私の顔をのぞき込んで言った。濡れた髪が色っぽい……。
しかし、こういうお世話好きなところはやっぱり小学校の先生らしい。職業柄慣れている感じがする。
「……アリガトウゴザイマス、ご迷惑をお掛けしてスミマセン……」
申し訳なくて私はタオルケットを頭までかぶった。
「いいよ、気にしないで。こっちこそ昨日は介抱してもらったんだから」
吉野先生は優しい声でそういうと買い物に出掛けて行った。
「広い家だなぁ……」
私は改めて部屋の中を見回す。これ、独身男の住む部屋じゃない。片付いてはいないけれど部屋に置いてある一つ一つのものはすごく調和がとれていておしゃれだ。
テレビボードやリビングテーブル、ダイニングテーブルは全部明るいオークで、床や扉の色味ともちゃんと合わせてある。
私の家は好きな時に好きなものを買い足していったから、なんだかちぐはぐなんだけど、この部屋にそういうものは感じられない。
「あ……そういうことか」
ここはきっと、結婚生活のために整えた部屋だったんだろう。もしかしたらこの家具の趣味は当時の婚約者のものかも知れない。
「それは、つらいな……」
私は勝手に佐藤先生に恋心を抱いて何も伝えられないままに失恋した。それでもこんなに辛いのだ。
吉野先生は沢山の元婚約者の思い出に囲まれて暮らしている。
忘れられないのかな……?
なんだか先生が気の毒になった。そして勝手に親近感を抱いてしまう。
私達、失恋仲間だね。
さっき吉野先生は私が泣いていた理由を聞かずにいてくれた。
その優しさに心がホッとしたのは事実だ。
最近眠れない日が続いていたけど、夕べは夢も見ずに眠った。
「早く帰ってこないかなー」
私はなんだか先生の顔が見たくなってリビングのドアを見つめていた。
ハッ、寝ていた……。
気が付いたら人の家のソファーで熟睡していた……。
吉野先生は?
あたりを見回すとテラスで煙草をくゆらせていた。なにかを思い悩んでいるような苦しそうな表情にこっちまで苦しくなる。あんなに、にがそうに煙草を吸わなくても……。
先生は長く煙を吐き出すと火を消して部屋に戻って来た。
「ゴメン、起こしたかな?」
私は首を左右に振る。
「さっき、起きました……先生は煙草、やめないんですか?」
最近わが校は禁煙ブームだ。校内が完全禁煙になったことで喫煙者はますます居場所を失っている。まだ煙草を吸っているのはほんの数人だ。
「うん……そのつもりだったんだけどね……」
先生は、また少し苦しそうな表情だ。しまった!これ地雷だ。私、地雷を踏んでしまったかも? 一人暮らしなのにどうしてテラスで煙草を吸っているのか考えるべきだった。きっと婚約者さんは煙草が嫌いだったのだ。結婚までにやめる約束とかしていたんじゃないの?
あー、私のバカ!
「ま……いずれやめるよ。煙草代もばかにならないからね」
先生はそういって笑った。
「で? どれがいい?」
買い出しに行った先生が買ってきてくれたのは、『カップ麺』だった……。先生は自分用にデカ盛りサイズのカップラーメン。
「うーん、悩みますね……。赤か緑か……? じゃあ、赤で」
「了解」
吉野先生がダイニングテーブルでカップ麺にお湯を注いで、出来るのを待っている間に私はリビングテーブルの上を片付けた。
これ、ビール飲みすぎでしょ? 空き缶をキッチンに運ぶと、洗い桶の中にはグラスがいっぱいたまっている。
うー、私こういうの気になっちゃう方なんだよね。ささっと洗うか! 私はスポンジに洗剤を付けてグラスを洗う。
「え? いいよ、原先生。あとで俺が洗うから」
吉野先生はそういうけれど、先生、ほら、タイマーが鳴ってますよ。
ラーメンは三分で食べられるのだ。
私はうどんだからあと二分待たないといけない。
「吉野先生、麺が伸びないうちに食べてください、私はすぐに終わりますので」
「そう? ごめんね、ありがとう」
吉野先生はきちんと手を合わせて『いただきます』と言ってからラーメンをすすり始めた。
うん、やっぱり先生だね。
そういうところはしっかりしてる。
しかし……このキッチンの持ち主はいかにも料理ができそうだ。鍋も調理家電も一通りのものがそろっている。
だけど洗い桶にはグラスだけ。
先生、家ではお水かお酒を飲むだけなのだろう。
ゴミ箱にはビールの空き缶。そして、ゴミ袋にはお弁当の空容器やカップ麺の器しか入っていない。
「原先生、うどん出来たよー」
「は、はーい」
吉野先生の食生活は大丈夫なんだろうか? 私はなんだか心配になって来た。
というのも、夏休みに入ると給食がお休みになるのだ。私や吉野先生のような一人暮らしの人間にとって給食程ありがたいものはない。なにしろ、栄養バランスがばっちりなのだ。おまけにわが校は自校方式といって校内で給食を作っていて出来立てが食べられるから本当に美味しい。私が子供の頃に通っていた小学校はセンター方式で、まあ勿論美味しかったけど、今勤めているところはもっと美味しいのだ。
最初の頃は、うん? 味薄い? なんて思ったこともあったけど慣れたら最高! 毎日食べられる味付けなんだよね。和食が多いのも嬉しいところ。子供たちは喜ばないけど先生はハンバーグよりも煮物派なのです。大人になって給食の時間が本当に楽しみになった。
夏休み、私達は近隣のお店にランチに行くか、お弁当を買ってくるか、出前を取る。費用もかかるし正直面倒くさい。そしてちょっぴり不健康だ。久しぶりに店屋物を食べると味が濃くてびっくりする。おまけに家でもカップ麺じゃ……吉野先生体壊すよ……。
「ごちそうさまでした」
まだ胃が本調子じゃない私は半分も食べられなかったけど、吉野先生はスープまで飲み干しそうな勢いだ。
「吉野先生、スープは全部飲んじゃダメですよ。体に悪いです」
私がそう言うと、先生は名残惜しそうにカップをテーブルに置いた。
「ダメ?」
「ダメです」
私はさっさとカップを片付けた。
今はリビングに置かれた大きめのソファーをお借りしている。リビングは冷房が入っていて快適だ。
「腹……減ってないか? 何か食べられそうなものを買って来よう。すまないな、この家には何もないんだ」
シャワーを浴びてさっぱりした吉野先生は鼻の下まですっぽりタオルケットをかぶった私の顔をのぞき込んで言った。濡れた髪が色っぽい……。
しかし、こういうお世話好きなところはやっぱり小学校の先生らしい。職業柄慣れている感じがする。
「……アリガトウゴザイマス、ご迷惑をお掛けしてスミマセン……」
申し訳なくて私はタオルケットを頭までかぶった。
「いいよ、気にしないで。こっちこそ昨日は介抱してもらったんだから」
吉野先生は優しい声でそういうと買い物に出掛けて行った。
「広い家だなぁ……」
私は改めて部屋の中を見回す。これ、独身男の住む部屋じゃない。片付いてはいないけれど部屋に置いてある一つ一つのものはすごく調和がとれていておしゃれだ。
テレビボードやリビングテーブル、ダイニングテーブルは全部明るいオークで、床や扉の色味ともちゃんと合わせてある。
私の家は好きな時に好きなものを買い足していったから、なんだかちぐはぐなんだけど、この部屋にそういうものは感じられない。
「あ……そういうことか」
ここはきっと、結婚生活のために整えた部屋だったんだろう。もしかしたらこの家具の趣味は当時の婚約者のものかも知れない。
「それは、つらいな……」
私は勝手に佐藤先生に恋心を抱いて何も伝えられないままに失恋した。それでもこんなに辛いのだ。
吉野先生は沢山の元婚約者の思い出に囲まれて暮らしている。
忘れられないのかな……?
なんだか先生が気の毒になった。そして勝手に親近感を抱いてしまう。
私達、失恋仲間だね。
さっき吉野先生は私が泣いていた理由を聞かずにいてくれた。
その優しさに心がホッとしたのは事実だ。
最近眠れない日が続いていたけど、夕べは夢も見ずに眠った。
「早く帰ってこないかなー」
私はなんだか先生の顔が見たくなってリビングのドアを見つめていた。
ハッ、寝ていた……。
気が付いたら人の家のソファーで熟睡していた……。
吉野先生は?
あたりを見回すとテラスで煙草をくゆらせていた。なにかを思い悩んでいるような苦しそうな表情にこっちまで苦しくなる。あんなに、にがそうに煙草を吸わなくても……。
先生は長く煙を吐き出すと火を消して部屋に戻って来た。
「ゴメン、起こしたかな?」
私は首を左右に振る。
「さっき、起きました……先生は煙草、やめないんですか?」
最近わが校は禁煙ブームだ。校内が完全禁煙になったことで喫煙者はますます居場所を失っている。まだ煙草を吸っているのはほんの数人だ。
「うん……そのつもりだったんだけどね……」
先生は、また少し苦しそうな表情だ。しまった!これ地雷だ。私、地雷を踏んでしまったかも? 一人暮らしなのにどうしてテラスで煙草を吸っているのか考えるべきだった。きっと婚約者さんは煙草が嫌いだったのだ。結婚までにやめる約束とかしていたんじゃないの?
あー、私のバカ!
「ま……いずれやめるよ。煙草代もばかにならないからね」
先生はそういって笑った。
「で? どれがいい?」
買い出しに行った先生が買ってきてくれたのは、『カップ麺』だった……。先生は自分用にデカ盛りサイズのカップラーメン。
「うーん、悩みますね……。赤か緑か……? じゃあ、赤で」
「了解」
吉野先生がダイニングテーブルでカップ麺にお湯を注いで、出来るのを待っている間に私はリビングテーブルの上を片付けた。
これ、ビール飲みすぎでしょ? 空き缶をキッチンに運ぶと、洗い桶の中にはグラスがいっぱいたまっている。
うー、私こういうの気になっちゃう方なんだよね。ささっと洗うか! 私はスポンジに洗剤を付けてグラスを洗う。
「え? いいよ、原先生。あとで俺が洗うから」
吉野先生はそういうけれど、先生、ほら、タイマーが鳴ってますよ。
ラーメンは三分で食べられるのだ。
私はうどんだからあと二分待たないといけない。
「吉野先生、麺が伸びないうちに食べてください、私はすぐに終わりますので」
「そう? ごめんね、ありがとう」
吉野先生はきちんと手を合わせて『いただきます』と言ってからラーメンをすすり始めた。
うん、やっぱり先生だね。
そういうところはしっかりしてる。
しかし……このキッチンの持ち主はいかにも料理ができそうだ。鍋も調理家電も一通りのものがそろっている。
だけど洗い桶にはグラスだけ。
先生、家ではお水かお酒を飲むだけなのだろう。
ゴミ箱にはビールの空き缶。そして、ゴミ袋にはお弁当の空容器やカップ麺の器しか入っていない。
「原先生、うどん出来たよー」
「は、はーい」
吉野先生の食生活は大丈夫なんだろうか? 私はなんだか心配になって来た。
というのも、夏休みに入ると給食がお休みになるのだ。私や吉野先生のような一人暮らしの人間にとって給食程ありがたいものはない。なにしろ、栄養バランスがばっちりなのだ。おまけにわが校は自校方式といって校内で給食を作っていて出来立てが食べられるから本当に美味しい。私が子供の頃に通っていた小学校はセンター方式で、まあ勿論美味しかったけど、今勤めているところはもっと美味しいのだ。
最初の頃は、うん? 味薄い? なんて思ったこともあったけど慣れたら最高! 毎日食べられる味付けなんだよね。和食が多いのも嬉しいところ。子供たちは喜ばないけど先生はハンバーグよりも煮物派なのです。大人になって給食の時間が本当に楽しみになった。
夏休み、私達は近隣のお店にランチに行くか、お弁当を買ってくるか、出前を取る。費用もかかるし正直面倒くさい。そしてちょっぴり不健康だ。久しぶりに店屋物を食べると味が濃くてびっくりする。おまけに家でもカップ麺じゃ……吉野先生体壊すよ……。
「ごちそうさまでした」
まだ胃が本調子じゃない私は半分も食べられなかったけど、吉野先生はスープまで飲み干しそうな勢いだ。
「吉野先生、スープは全部飲んじゃダメですよ。体に悪いです」
私がそう言うと、先生は名残惜しそうにカップをテーブルに置いた。
「ダメ?」
「ダメです」
私はさっさとカップを片付けた。
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