52 / 60
〜episode40〜
しおりを挟む
かずside
それから、クラスは違うけど学校ですれ違う度、見かける度に
「こっちを見てくれないかな」
と思うようになった。
ヒナが笑顔の時はすごく嬉しくなった。
たとえそれが僕に向けてじゃなかったとしても。
ヒナはもう僕のことは忘れているのだろう。
ありふれた“ある日”の中で出会った“名前も知らない人”なんて。
でも…僕にとってはすごく大切な“ある日”なんだ。
それからも今までとは特に変わらない毎日を送った。
親からは完璧を求められ、学校でも完璧を維持する為に偽りの自分を演じる日々。
それでも、前よりは気が楽だった。
ヒナという存在がいたから。
きっとあの時、ヒナに話しかけられてなかったら僕はもう壊れていただろう。
今年になってヒナと同じクラスになれた。
接点があるから、話しかけても何ら不自然ではない。
これからたくさん関わって、いつかはヒナと恋人に…なんて柄にもなく考えていた僕がいた。
だけど。
現実はそう甘くはないのだと思い知った。
ヒナはずっと一人の人しか見ていなかった。
幼馴染の…相馬葵だ。
特別目立った奴、というわけでは無いが整った顔立ちに、男女ともに優しいということに結構人気だそうだ。
ヒナの態度からして相馬のことを大好きなのだと、すぐに分かった。
だから諦めようと思った。
相馬に彼女がいると知るまでは。
彼女がいるのなら、ヒナの想いは届かないわけで。
そうなると僕にもチャンスがあるのでは、なんて考える最低な自分がいた。
そこからはヒナにたくさん話しかけて、アピールして…と色々と試した。
そんな中で徐々に相馬もヒナのことを好きなことが見て取れた。
今は彼女がいるけど、もし別れたら…ヒナと付き合うのかな。
そう考えると無性にイライラしてきた。
今まで好きなことにすら気づかなかったのに。
彼女つくってヒナに悲しい思いをさせてたのに。
僕だったら。
僕だったらヒナにそんな想いさせない。
気づけば僕はヒナに告白していた。
相馬を忘れさせる、という条件付きで。
正直、出来るかどうか分からないけれど、絶対に忘れさせてやりたい。
僕のことを心の底から好きになってほしい。
そして心の底から笑顔になってほしい。
“あの日”僕に見せた笑顔みたいに。
これからはその夢が叶う…いや、叶える、と思っていた。
今日までは。
それから、クラスは違うけど学校ですれ違う度、見かける度に
「こっちを見てくれないかな」
と思うようになった。
ヒナが笑顔の時はすごく嬉しくなった。
たとえそれが僕に向けてじゃなかったとしても。
ヒナはもう僕のことは忘れているのだろう。
ありふれた“ある日”の中で出会った“名前も知らない人”なんて。
でも…僕にとってはすごく大切な“ある日”なんだ。
それからも今までとは特に変わらない毎日を送った。
親からは完璧を求められ、学校でも完璧を維持する為に偽りの自分を演じる日々。
それでも、前よりは気が楽だった。
ヒナという存在がいたから。
きっとあの時、ヒナに話しかけられてなかったら僕はもう壊れていただろう。
今年になってヒナと同じクラスになれた。
接点があるから、話しかけても何ら不自然ではない。
これからたくさん関わって、いつかはヒナと恋人に…なんて柄にもなく考えていた僕がいた。
だけど。
現実はそう甘くはないのだと思い知った。
ヒナはずっと一人の人しか見ていなかった。
幼馴染の…相馬葵だ。
特別目立った奴、というわけでは無いが整った顔立ちに、男女ともに優しいということに結構人気だそうだ。
ヒナの態度からして相馬のことを大好きなのだと、すぐに分かった。
だから諦めようと思った。
相馬に彼女がいると知るまでは。
彼女がいるのなら、ヒナの想いは届かないわけで。
そうなると僕にもチャンスがあるのでは、なんて考える最低な自分がいた。
そこからはヒナにたくさん話しかけて、アピールして…と色々と試した。
そんな中で徐々に相馬もヒナのことを好きなことが見て取れた。
今は彼女がいるけど、もし別れたら…ヒナと付き合うのかな。
そう考えると無性にイライラしてきた。
今まで好きなことにすら気づかなかったのに。
彼女つくってヒナに悲しい思いをさせてたのに。
僕だったら。
僕だったらヒナにそんな想いさせない。
気づけば僕はヒナに告白していた。
相馬を忘れさせる、という条件付きで。
正直、出来るかどうか分からないけれど、絶対に忘れさせてやりたい。
僕のことを心の底から好きになってほしい。
そして心の底から笑顔になってほしい。
“あの日”僕に見せた笑顔みたいに。
これからはその夢が叶う…いや、叶える、と思っていた。
今日までは。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
官能令嬢小説 大公妃は初夜で初恋夫と護衛騎士に乱される
絵夢子
恋愛
憧れの大公と大聖堂で挙式し大公妃となったローズ。大公は護衛騎士を初夜の寝室に招き入れる。
大公のためだけに守ってきたローズの柔肌は、護衛騎士の前で暴かれ、
大公は護衛騎士に自身の新妻への奉仕を命じる。
護衛騎士の目前で処女を奪われながらも、大公の言葉や行為に自分への情を感じ取るローズ。
大公カーライルの妻ローズへの思いとは。
恥辱の初夜から始まった夫婦の行先は?
~連載始めました~
【R-18】藤堂課長は逃げる地味女子を溺愛したい。~地味女子は推しを拒みたい。
~連載中~
【R-18有】皇太子の執着と義兄の献身
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる