夫の親友〜西本匡臣の日記〜

2024年3月

3月12日

幼稚園に長男を送り車に戻ろうとすると、頬に絆創膏をした子とすれ違った。
暖かくなってきたので、外で遊ぶ機会が増えて怪我をしたのだろうか。
昨日の長男とは違い元気よく登園する様子が少し羨ましかった。

出社すると、佐々木君から「工房の人からあの男の家って教えてもらうことはできないですか？」と聞かれた。
あの人は自分のことや自分の家のことを話したりしない人だから難しいかもしれないと言うと、昨日の朝に藤木さんがアパートから出ていくのを見たとのことだった。
職場出トラブルがありいつもより早く出社していたため、ヘトヘトで追いかけたが捕まえることは出来なかったと。
後で工房に行く用事があるのでついでに聞いてくると言うと、仕事関係の人間である自分が嫌なら大家さんか藤木さんの連絡先を教えるのでそっちと直接話すことも出来ると伝言を預かった。

工房に行く前に片岡さんに体調どうかと連絡すると、明日にでも出社出来そうとのことだった。
若干喉イガイガでと言っていた声は少し掠れていた。
工房につくと、あの男の事を教えてくれた篠田さんが話しかけて来た。
「東くんからもう少し詳しく話を聞いて、家のかあちゃんにも話したら、町内会の集まりで話を聞いてきてくれたんだよ。名前はタカヒロかタカシって話だった。朝見かけなくなったからあれ？って思ってたんだけど、仕事変えたみたいだって。」と言われ、佐々木君からのお願いについて聞いてみた。
教えても良いが、近所付き合いもあまり無いから親もどんな人か分からないから危なくないかと聞かれた。
多分男二人で行くから大丈夫だと思うと言うと、教えてくれた。
電話番号はわからないとのこと、だったので直接行くしかないだろうと思うと大丈夫だとは思うが心配だ。
社長も退院した頃かと思い聞くと、社長の奥さんが怒っていて、このまま手術するような話が出ているそうだ。

家に帰ると、長男がとても機嫌が良かった。
玄関まで好きなアニメの歌を歌いながら出迎えてくれたと思えば、ソファーの上で軽やかにジャンプし、カーテンにも包まっていた。
何かあったのかと妻に聞くと、幼稚園でガーゼと絆創膏が流行っているようだとのことだった。
おでこの1番目立つ位置にガーゼをしている長男はファッションリーダーのような存在らしい。
朝すれ違った子も別に怪我をしていたわけではなかったのかもしれないと思うと、家でお母さんに絆創膏を腫れと言って困らせている様子が目に浮かぶようだ。