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171 魔法生物にゃんこキラー

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 キジメロが、ぶっちぎりの独走状態だった。

 第二関門でどこかへ飛ばされたねこさんは、未だに姿を消したままである。

 対戦相手のいなくなった彼女は、それでも全力で第三、第四関門を突破し、今、最終第五関門に到達したのだ。

「ふん、ちょっとは骨がある相手だと思ったのに……所詮は三流トレハンギルドの名ばかりSSSスリーエスだったって訳か……」

 言葉とは裏腹に、どこか寂しそうなキジメロ。

 ずどーん!

 そんな彼女の目の前に、巨大な何かが降ってきた。

 衝撃で舞い上がった埃に巻き込まれたキジメロが、口もとを押さえながらバックステップで距離を取った。

 ふしゅ~っ……。

 視界を奪われ、聞こえてくるのは異様な吐息のような音……。

 彼女はその恐怖から、逃れることが出来なかった。

 そして、埃の遮りが晴れてくると、そこには……どす黒い魔法生物がいた。

 軽く10メートルはある巨体をくねらせながら、侵入者を威嚇するように鎌首をもたげる。

「……」

 まるっきり漆黒の大蛇のようなそれに、流石のキジメロも言葉を失っていた。

 きしゃーっ!

 咆哮と同時に、巨体からは想像できない素早さでその牙が迫ってきた。

「あ……!?」

 猫の天敵とも言える蛇を模したそれに、足がすぐんだ。

 大きく開いた口のような器官が、迫ってくる。

 キジメロには、それが、なぜだかスローモーションのようにゆっくりと見えた。

「……」

 だが、彼女は反応できない。驚愕した表情のまま……。

 ばぁ……くんっ!

 丸吞みにされた。


「き、きゃああぁああっ!?」

 ダンジョン内に、シロにゃんの悲鳴がこだました。

 巨大モニター前のギルドメンバーたちもざわつきだす。

 そんな中、キジマスが泡を吹いて、どたーん、と卒倒した。

「ネ、ネコサン様……いくらなんでもこれはやりすぎなんじゃ……」

 キジマスを介抱しながらギルマス。

『問題ない。最終ステージは、魔法生物にゃんこキラーの体内からの脱出だからな』

 いや、丸吞みは大問題ですって! そうギルマスの目が、言っていた。
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