128 / 218
126 バイト、再開!
しおりを挟む
梅雨が明けるや、容赦ない日差しが街を焼く。
かりかりタウンも連日の猛暑日だった。
魔力枯渇から回復したねこさんがドアを開け放ち、そんな地獄へと足を踏み出す。
『ご主人、気をつけてな』
(まだ遅刻する時間じゃないから、慌てないでね!)
二人の言葉に頷くと、ゆっくりとドアを閉めた。
「あ、暑いのね‥‥‥」
一分も歩かないうちに汗が滝のように流れ落ちる。
熱気と共にねこさんに再び緊張感がまとわりついた。だがその反面、久し振りのバイトにちょっぴり心が躍るのであった。
「おはようございます」
「お、ねこさん久し振りだね。もう体の具合はいいのかい?」
クロ主任ののほほんとした笑顔が、じんわりと心にしみる。
「はい、もう大丈夫です。この度はご迷惑をおかけいたしました」
珍しくまともな語尾のねこさんが、きっちりと頭を下げた。
「そうかいそうかい。それは良かったね」
「ありがとうございます」
頭を上げたねこさんとクロ主任は互いに微笑み合った。
「ああっ! 先輩発見!」
そんなホンワカ空間をぶち破り、ヤツがやってきた。
「おはようございます、みけ子ちゃん」
「‥‥‥んん?」
そのまともな挨拶に、暴れん坊は訝しむ。
「本当に先輩でっすか?」
「ほ、本当にねこさんです‥‥‥」
眉根を寄せて覗き込んでくる後輩に、ねこさんはたじろいだ。
「こらこら、みけ子くん。ねこさん病み上がりなんだから、いつもみたいなのはダメだよ」
流石管理職、といった注意がすぐに飛ぶ。
「は、はーいでっす‥‥‥」
クロ主任の言葉に『重度のまたたび中毒』だったという事実が、彼女の脳裏によみがえった。
「すいませんでっした」
一瞬心配そうな視線を向けたみけ子がぺこりと頭を下げると、そのまま更衣室に消えていった。
「ん?」
そんな彼女にどこか違和感を感じたねこさんだった。
かりかりタウンも連日の猛暑日だった。
魔力枯渇から回復したねこさんがドアを開け放ち、そんな地獄へと足を踏み出す。
『ご主人、気をつけてな』
(まだ遅刻する時間じゃないから、慌てないでね!)
二人の言葉に頷くと、ゆっくりとドアを閉めた。
「あ、暑いのね‥‥‥」
一分も歩かないうちに汗が滝のように流れ落ちる。
熱気と共にねこさんに再び緊張感がまとわりついた。だがその反面、久し振りのバイトにちょっぴり心が躍るのであった。
「おはようございます」
「お、ねこさん久し振りだね。もう体の具合はいいのかい?」
クロ主任ののほほんとした笑顔が、じんわりと心にしみる。
「はい、もう大丈夫です。この度はご迷惑をおかけいたしました」
珍しくまともな語尾のねこさんが、きっちりと頭を下げた。
「そうかいそうかい。それは良かったね」
「ありがとうございます」
頭を上げたねこさんとクロ主任は互いに微笑み合った。
「ああっ! 先輩発見!」
そんなホンワカ空間をぶち破り、ヤツがやってきた。
「おはようございます、みけ子ちゃん」
「‥‥‥んん?」
そのまともな挨拶に、暴れん坊は訝しむ。
「本当に先輩でっすか?」
「ほ、本当にねこさんです‥‥‥」
眉根を寄せて覗き込んでくる後輩に、ねこさんはたじろいだ。
「こらこら、みけ子くん。ねこさん病み上がりなんだから、いつもみたいなのはダメだよ」
流石管理職、といった注意がすぐに飛ぶ。
「は、はーいでっす‥‥‥」
クロ主任の言葉に『重度のまたたび中毒』だったという事実が、彼女の脳裏によみがえった。
「すいませんでっした」
一瞬心配そうな視線を向けたみけ子がぺこりと頭を下げると、そのまま更衣室に消えていった。
「ん?」
そんな彼女にどこか違和感を感じたねこさんだった。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる