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第三章 クラス丸ごと異世界転生!? 追放された野獣が進む、復讐の道は怒りのデスロード!

3-24.マジュヌーン(精霊憑き)(24) -未来は僕らの手の中

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「真嶋くん、駅前けっこうヤベェ事ンなってるらしーぜ」
 午後の授業も終わり、後はゲーセンかマクドにでも寄って帰るぐらい、ってなときに、そう樫屋が言ってくる。
「何だよ、またくっだらねェ喧嘩の話か?」
「おいおいおい、何言ってくれちゃってンのよ? 市松の特服がとうとう動いたんだぜ? 西北高連もこうなりゃなりふり構ってらんねーし、陸山のナンバーズも動き出すかもしんねーべ? 超、戦国時代よ?」
 相も変わらず喧嘩の話にゃ目がないヤツだが、俺はそんなのにかまけるつもりはまるでない。
 
「へっ、モンキーちゃんよ、焚き付けたって無駄だぜ。真嶋くんにはショーライがあんだからよ。
 高三にもなって喧嘩ばっかしてらんねえの」
 こればっかは猪口の言うとおり。一応これでも大学受験が控えてる。底辺近くの私立でも、経済学部を受ける予定だ。ま、滑り止めのさらに滑り止め、みたいなことになるかもしれねーけどな。
 在原に言わせりゃ俺は地頭は悪くないらしい。だから、あとは受験向けの勉強が出来れば大丈夫とかって話だが、その受験向けの勉強ってのが俺にはキツい。どーにも、そういうのは昔ッから苦手だ。
 
「お、オタブーが青い顔して走ってンじゃん」
 前からやってくる大野を目ざとく見つけた足羽がそう言って、見ると確かにみっともなくバタバタと汗塗れでやってくる。
「ま、まじ、ま、じま、じ……」
 喘いでいるのか、話しているのか。何を言ってるのか分からないその声に、
「落ち着け、バカ。何なんだよ?」
 と聞くと、一旦大きく息をしてから、
「真嶋くん、ひのっちが、え、駅前、捕まっ……かねやんも……で……」
 言葉そのものは全く分からんが、どうやら日乃川と金田が危ないらしい。
 
「おぉっと、こりゃ、行かなきゃなんねーなぁ!」
 嬉しそうな樫屋に乗せられるワケじゃねーが、確かにこいつはトラブル有りだ。
「大野、案内しろ」
「う、うんっ……!」
 
 相変わらずの不細工な走りでバタバタする大野を追いかけ、俺達は駅前へと向かう。
 
 駅前は相変わらずの人で、どこもかしこも買い物客やら塾へ向かう学生に、営業途中のサラリーマンやらでなかなか進めない。
「おー、こりゃヤベェわ。マトモに歩けねー」
 人の波にまみれて、真っ先に姿が見えなくなる樫屋。
「アホかおめー。ちっちぇんだから下じゃなくて上を行けよ」
 猪口のその言葉に、樫屋は「そりゃそーか! おい、田上ー!」と呼び掛けると、ずしんずしんと地響きのような足音と共に田上が現れ、人並みの中からひょいとつまみ上げた樫屋をその頭の上に乗せる。
 
「おっほーう、良い眺めだぜ! お、見ろよあのねーちゃん、めっちゃボン、キュ、ボンで超セクシーだぜ!」
 指指す先には、半裸のような際どい格好の白猫がいる。

 瓦礫の山と、汚らしい奴隷や捕虜の群れを押し退けて、辿り着いたところには血の海におびただしい死体の山。
「おおー、派手にやらかしてンなー!」
 一番高い位置から物見遊山な樫屋の声と、聞こえる雄叫び喧騒悲鳴に断末魔。
 
 ごす、とでも言うかの何かを殴る音は、固い木製の柄に、先端に金属が巻かれた棍棒で犬獣人リカートの一人が殴り殺されたもの。返り血と脳漿を浴びて歯をむき出しにして笑うのはブルドッグみてーな顔のカリブル。
 その横で縦横無尽に走り回る南方人ラハイシュの女はルチアだ。その素早さは入れ墨魔法の賜物じゃああるが、格闘技術は見事な修練のたまものだ。
 その拳に撃ち抜かれ吹っ飛ばされているのは日乃川。
「ひのっち!」
 叫ぶ大野を、カリブルが盾で受けて殴り返す。
 
「おい、待てよ! お前らが争ってどーすんだ……!!」
 止めに入るつもりでそう叫ぶと、横合いから現れた巨大な影が、ルチアを掴んで持ち上げる。
 
「か細い女だ」
 めきめきと軋むような音を立てて捻り潰されるルチア。それをするのは身長5メートルはあろうかという大男の大賀。
「やめろって! 死んじまうぞ!」
 その脚を殴り蹴りするも、全く動じる様子はない。
 
「どうした? 櫂?」
 不意に聞こえる声。懐かしささえ感じさせるその響きは、当然のようにそこに立つ静修さんのもの。
 既に手にした剣の先には、串刺しにされたカリブルの頭がある。
 
「静修……さん」
 声につまり、ただそう口に出すのが精一杯の俺を、静修さんは不思議そうに見つめて小首を傾げ、それから右手の剣を振り下ろしてカリブルの頭を地面に叩きつけるようにしてから、脚で踏みつけて潰す。
 
「何だ、まだ殺しに慣れんか?
 いいか、ここはもう日本じゃないんだぞ。
 力さえあれば、何もかも思い通りになる世界なんだ」
 高貴さすら感じさせる整った顔立ちで、静修さんは静かにそう告げる。
 
「そうだ! 力が全てだ! お前も! もっと好き勝手に! 暴れれば良いだろ!?」
 辺り構わず金属の棒を振り回して、呆然として佇んだままの奴隷や捕虜達を血祭りにあげる猪口。
「ひのっち! 次、あれだよ、あれ!」
「おおー! やっちまおうぜー!」
 大野の指した捕虜の女に、巨大な火柱をぶつける日乃川。
 いつの間にか現れたオオネズミの群が、捕虜たちに噛みつき食いちぎり、あっという間に骨に変えると、その様子を影から見ていた小森がクスクスと忍び笑いを漏らす。
 手にした礫を次々鉄に変えて投げまくる金田もまた、笑いながらそこら中に新たな死体を山積みにしていく。
 
「おい、待てよ、何やってんだよおめーら!? イカれちまったンかよ!?」
 周りを渦巻く光景は、どこもかしこも血飛沫と反吐と糞尿に焼け焦げた肉の匂い。
 
「お前も、力を受け入れろ」
 背後からしたその声は───父、宍堂静太郎のもの。
 
 振り向くとやはり記憶の通り、上等なオーダーメイドのダブルのスーツを着た父の姿。だがおかしい。何がかと言えば、顔が無いことだ。
 のっぺらぼうのように、というよりは、顔の部分がごっそりと削られ、穴のようになっている。
 その顔に開いた虚空のような穴の奥から、こだまのように声が響いて聞こえてくる。
 
「力だ。お前には何もかも足りぬが、何より力が足りん。
 賢くなるため必死に勉強する必要も、身体を鍛えて一流を目指す必要も、何もない。
 己に足りぬ賢さが、腕力が必要なら、金で雇え。脅して知恵を出させろ。奪い、踏みにじれ。
 まずは力だ。力を持つものが、結局は何もかもを手に入れる」
 
 ずぬぬ、とその陥没し大穴の開いた穴の奥から、何かがゆっくりとせり上がってくる。
 
「力を手に入れ、受け入れよ。さすればこの世界は───」
 
 その穴の奥からぬらりと現れた骸骨みたいな爺。
 ダブルのスーツを着ていたはずの静太郎は、いつの間にかボロボロの黒い布を身にまとい、痩せこけた枯れ木のような身体を揺らしている。
 
「何も かも 思い 通り に で き る の だ ぞ お ぉ ぉ ぉ ぉ ……」
 
 蠢く渦のように絡まり溶け合いこんがらがり、その無数の枯れ枝のような手足が、辺り全てのものを掴み、握り、潰し、引き裂く。
 
「うるせぇ! 黙れ! ふざけるな! やめろ!」
  
 樫屋も、田上も、大野、日乃川、小森、金田、猪口、足羽、大賀、静修さん───アティック、カリブル、ルチア、白猫、ヒョロぶち、アナグマ、へちゃむくれ、ナップル、ヒジュル、テレンス───。
 
「マジュヌーン(精霊憑き)───」
 
 飛行機の中で夢の啓示を得たと騒いでいたアラブ人……。
 
 
▼ △ ▼
 
 
「おおぅわ!?」
 がばっとバネ人形みてーに跳ね起きた俺に、横に居た足羽が驚いて叫び声をあげる。
「あ、起きタ」
 事も無げなその返しは白猫のもの。
 俺はここ数週間でもはや見慣れた、いつものテントの中の寝床に寝かされて居た。
 
「おいおいおい、汗まみれじゃん、何よ、大丈夫?」
 心配してなさげにそう聞く足羽を無視して、俺はぐるり周りを見回す。
 居るのは足羽と白猫の他は、カリブルにルチア。それとアナグマみてーな奴もいる。
 
「何が……あった?」
「ふん! そりゃこっちが聞きたいわ!」
 むすっくれてそう吐き捨てるカリブルに、それを指差し小声で笑う足羽が、
「あのおっさん、お前運んで来た後めちゃめちゃ心配してたんだぜ」
 
 運んで来た。つまりここまで俺は自力では来てない。そして───胸元を見る。
 大きく、醜い爛れたような傷痕が心臓の上についているが、それを除けば至って健康。汗とまだやや早い鼓動だけが違ったところ。
 
「ンー。まずネ、最終試験……覚えてル?
 二班別れて、別々の場所で、別々の試験」
 白猫曰わく、俺たち……カリブル、ルチア、俺の三人と、それ以外残りの五人は別々の場所で別々の最終試験を受けた。
「へへ、俺、ぜってー受かってるぜー! 超ォー自信あるわ!」
 得意げな足羽を押しのけまた無視して、今度はルチアとカリブルへ視線を向ける。
 
「お前はあのロープを伝って見事に上まで登った。しかし何の反応も無く時間だけが過ぎ、明け方近くになりようやくロープが投げ入れられて上に登ったら、お前は意識を失い倒れておった。
 それから一昼夜だ」
 既に日は昇り、朝になってる。なってるがそれは、あのときから一日は過ぎているという───。
 
「お、おい、ヒジュルは!? ヒジュルはどうしたんだ!?」
 
 あいつが手にしていたどす黒い刃。確かにあのとき、俺はあの刃に胸板を貫かれた。幻覚や錯覚なんかじゃない。その痛みも恐怖も全てまざまざと思い起こされる。
 だが俺のその問いにはすぐさまの返しが無い。無いのみならず、やや気まずい空気が漂う。
 
「あー……、ソレなんだケドー」
 
 ▼ △ ▼
 
 布にくるまれたその遺体は、生前身にまとっていた冷え冷えとした毒気のようなものがすっかり抜け落ちたかにひっそりとしていた。
 
「アナタの横で、彼も倒れてタ。見つけた時はとっくに死ンでたみたいネ」
 白猫の言うとおりなら、恐らくヒジュルは俺をあの刃で貫いて、それから死んだという事になる。
「死因は……?」
「多分、病気」
「多分?」
「まぁっ黒い、どろっどろの血を吐いてたノ。
 結構前から、時々血を吐いてるの、見られてたみたい。でも、役目を終えるまで、意地で頑張ってタんじゃないかナー、って」
 前々から血を吐いていたというのなら、俺との格闘訓練で吐いた血も、本当はフェイクなんかじゃなく本物だったのかもしれねえな。
 
「ヒジュル教官殿は……真の武人であッた……!」
 何故か感極まったかに泣いているカリブル。その横に付き添うかのアナグマも肩を震わせている。
 
 多分、の死因である病。それはもしかしたらそうなのかもしれねえ。
 だが───結局のところあのぐねぐねの黒い刃と、それに刺し貫かれたのに死なずにいた俺。
 その理由も意味もまるで分からない。
 分かるのは───これは間違いなく「嬉しい奇跡」なんかじゃねえってことだ。
 あの夢……いや、悪夢と言うのもはばかられる、おぞましく嫌らしく、何よりも激しい怒りを沸き立たせたあの夢を思い出す。
 そしてヒジュルが俺に言っていた様々な言葉も。
 
 ───怒りを引き出し力に変えろ。
 
 奴が見抜いた俺の魂の奥底にある怒り。
 それは俺を突き放し見捨てた静修さんへのものでも、俺の生死も確認せず去って行った樫屋たち仲間へのものでもない。
 父……そしてあの骨と皮の骸骨みてえな爺。
 あいつらのような、「力さえあれば何でも思い通りになる」と思い上がり、他の奴らを平然と騙し踏みにじる傲慢な連中。
 そういう奴らへの怒りだ。
 
 ヒジュルが何を考えていたのか。あのどす黒い刃は何なのか。分からないことばかりで、これから何をどうすれば良いのかも分からない。
 だが一つだけ、俺の奥底にある怒りのことは───十分に分かってきた。
 

 
「整列しろ」
 今までの訓練でヒジュルの手伝いをしていた別の戦団員が、おそらくは代理として締めくくりをする。
 前に立つ戦団員の横には、布にくるまれたままのヒジュルの遺体。
 ここでの発表を終えてから、“砂漠の咆哮”流の葬儀をするらしい。
 
 まずは、と発表されるのは今回は入団資格を得られなかった者。
 ひょろりと背の高い猫獣人バルーティのヒョロぶち、アナグマみてーな目の周りの黒い奴、へちゃむくれの三人は、今回は失格になった。
 ただ希望すれば下働きや誰かの従者として雇われつつ、次の機会を待つことも出来る。アナグマは既にカリブルと従者契約をしたそうだ。
 合格したのは俺を含めた残りの五人。
 そして合格した俺たちは、ここで改めて名を呼ばれて“砂漠の咆哮”の一員であることの証となるメダルが渡される。
 
猫獣人バルーティ、“白き踊り子”、マハ」
「アハーい!」
 
 付けられたら二つ名は、一応生前のヒジュルによる命名らしい。
 
空人イナニース、“天空を貫く風” 、アシバ」
「やった! カッケー!」
 
南方人ラハイシュ、“漆黒の竜巻”、ルチア」
「ああ」
 
犬獣人リカート、“砂岩の柱”、カリブル」
「おう!」
 
 そして最後に呼ばれるのは、
 
猫獣人バルーティ、“精霊憑き”、マジマ」
 ───驚いたな。何でその呼び名を知ってたんだ? 偶然なのか何なのか。分からねえがただ、これは……。
 
「悪ィ、訂正が一つあるぜ。
 俺の名前は、“マジマ”じゃなく───“マジュヌーン”……。
 そういうことにしてくれ」
 
 怒れる精霊憑き。このイカれた世界でのイカれた新しい人生には、似合いの名前だ。
 
 
 



▼ △ ▼
[ここまでのまとめ]
 
【一年生】
 真島櫂マジマ・カイ :第三章主人公の一人。修学旅行帰りの飛行機が墜落しクラスメイト共々死亡するが、謎の老人の導きにより別世界で生まれ変わる。“血の髑髏事件”を発端とするティフツデイル王国軍によるクトリア邪術士討伐のさなかにその地下で前世の記憶に目覚め、落ち合った仲間たちと脱出するも、離れ離れになる。
 その後“砂漠の咆哮”という戦士団へと入団し、“精霊憑き”の二つ名をもらい、マジュヌーンと名乗ることにする。
 
 樫屋健吾カシヤ・ケンゴ :ゲンコツ健吾。殴るぞ! 猿獣人シマシーマ へと転生するも、「見た目たいして変わらねえな」との評。
 田上雷蔵タウエ・ライゾウ:ずんぐり体型でおにぎり顔のアマレス選手。細目だが視力が良い。怪力巨躯の 犀人オルヌスに転生する。歌舞伎役者みたいな名前は祖父のごり押しで決められたらしい。

 山元裕紀ヤマモト・ヒロキ :ガリ勉で根暗。実はSFマニア。 消息不明。
 金田鉄人カネダ・テツヒト :野球部の次期エースを自称。物を鉄に変える魔力を持つ魔人ディモニウムへと生まれ変わる。
 大野崇オオノ・タカシ:ぽっちゃり系オタク。魔法の炎を操る魔人ディモニウムに生まれ変わる。
 日乃川始ヒノガワ・ハジメ :大野の友人で、痩せて小柄なオタク。発火能力を持つ魔人ディモニウムとなる。
 小森紫コモリ・ムラサキ:内気で動物好き。動物を操る女南方人ラハイシュ の魔人ディモニウムへと生まれ変わる。
   
 足羽大志アシバ・タイシ :そこそこ面が良くそこそこの成績でそこそこ金持ち。基本的にチャラくて軽薄。学校では大野達をよくいじめていた。 空人イナニースに転生し、“砂漠の咆哮”に入団が許され、“天空を貫く風” との二つ名を貰う。
 猪口雄大イグチ・ユウダイ :筋肉自慢の小デブ。足羽と連んで共にセコいいじめをしてたが、腹の底では足羽を小馬鹿にしていた。柔道部。猪人アペラルに転生する。
 
【三年生】
 宍堂静修シシドウ・セイシュウ:宍堂グループの跡取りで成績優秀スポーツ万能のイケメン。真島の腹違いの兄。 犬獣人リカートへと生まれ変わるも持ち前のリーダーシップで周りの皆を率いるが、真嶋のことを「切り捨てたかった前世のしがらみ」とみなし、崖から突き落とす。
 足羽の目撃情報によると、その後西へと向かいリカトリジオスの軍とかち合った際、五連戦の決闘に打ち勝ち、その武勇を認められ歓迎されて軍へと入ったらしい。
 大賀高樹オオガ・タカキ:宍堂の友人でラグビー部の主将。オーガに転生する。
 宮尾真亜子ミヤオ・マアコ :三年生クラスのお色気女子。消息不明。

【教員等】
 在原秀美アリハラ・ヒデミ :副担任。きょどり気味で小動物みたいだと評されていた。消息不明。
 駒井黄美雄コマイ・キミオ :貧相で存在感のない担任教師。 消息不明。
 
【その他の飛行機搭乗者】
 テレンス:フリージャーナリスト。王国軍の従軍書記官としてクトリア解放に立ち会う。宍堂と行動を共にした学園関係の生まれ変わりを除く元乗客や、その他の地下街に逃げていた生き残りたちを連れて王国軍へと帰還する。
 アフマド:ドバイのビジネスマン。飛行機の中で墜落の夢の啓示を得たと騒ぎ、テロリストと誤解される。真嶋のことを最初に「 精霊憑きマジュヌーン」と呼ぶ。消息不明。
 マイケル・マクレガー:キング・オブ・ロックの物まね芸人。

【非転生者たち】
 ナップル:クトリアの地下遺跡に住むコボルト。とある邪術士の“相棒”を自称し、魔法薬を作れる。
 パスクーレ:クトリア貧民窟の自警団を率いている。クトリア人至上主義で、王国軍、獣人等を毛嫌いしている。
 フリオ:クトリア郊外で暮らす狩人の一人。吹き矢を使う。
 アティック: 猫獣人バルーティの戦士であり、“砂漠の咆哮”の一員だが、クトリアで料理の道に目覚め引退することにした。
 “賢者見習い”のヒジュル:傷だらけの黒豹のような姿の猫獣人バルーティ。“砂漠の咆哮”の一員で訓練教官。新入り候補たちを鍛えた後、最終試験で真嶋を不気味な曲がりくねった黒い刃で刺した後、謎の言葉を残したまま病死を遂げる。
 
 “白き踊り子”、マハ:白い毛並みの美しい猫獣人バルーティの女剣士。舞うような鮮やかな戦い方をする。
 “漆黒の竜巻”、ルチア:南方人ラハイシュで格闘術の得意な無口な女闘士。“砂漠の砂嵐”シジュメルの加護を得られる入れ墨を入れており、素早い身のこなしをする。故郷の村がリカトリジオスの軍に焼かれ、その復讐をするため“砂漠の咆哮”へ入る。
 “砂岩の柱”、カリブル:ブルドッグのようなつぶれた顔立ちの 犬獣人リカート戦士。守りが堅く、防御からのカウンターで強烈な一撃を見舞う戦いを得意とする。武人気質で涙もろく仲間への愛着が強い。ルチアと同じく部族の仲間を奴隷にしたリカトリジオスを憎んでいる。
 ひょろブチ:“砂漠の咆哮”の入団候補になるも失格した、痩せて背が高くブチ模様のある猫獣人バルーティ。酒好きで借金まみれなため、酒代を稼ぎたくて入団しようとした。
 へちゃむくれ:小柄でへちゃっとした顔立ちの猫獣人バルーティ。従兄弟が入ってるから、というだけの理由で“砂漠の咆哮”へと入団しようとした。惜しくも最終試験に落ちる。
 アナグマ:目の回りが黒く、アナグマに似たような見た目の犬獣人リカート。最終試験には落ちたものの、カリブルと従者契約を結ぶ。


【地名など】
 シーリオ:残り火砂漠のオアシスにある宿場町。
 ボバーシオ:シーリオから北へ向かった位置にある港湾都市。かつてはクトリア王朝の属国だったが、滅びの七日間によるクトリア崩壊の後独立。しかし政情が荒れて治安も悪化し、その結果“砂漠の咆哮”の獣人戦士たちを頼るようになる。今は別名海賊都市と呼ばれるほどに。

 獅子の谷:“砂漠の咆哮”の野営地の一つ。主に新人の訓練場として使われる。
 悪魔の喉:「入ったら出られぬ」と悪名高き、毒煙立ち込める大穴。急斜面でオーバーハングして登るのも難しい。
 灰溝の蟻塚砦:古い砦跡だが、火焔蟻の巣と化している。
 ドニーシャの廃神殿: 悪霊怨霊が巣くうとされる。
 廃都アンディル: 食人鬼がうろつくという呪われた街。
 


△ ▼ △

 今回更新で一旦休止になります。
 しばらく書きため期間を経てから、次は第二章終了時からの続きの時間軸でのパートを更新する予定です。
 
 第三章では基本的にこの、「マジュヌーン視点での過去の話」と、「第二章終了時からの続きの時間軸の話」を交互にザッピングさせつつ展開させる予定です。
 なので「あれ? こいつ前のアレでソレしてね?」なキャラが登場することも多々あります。
 また、「あれ? こいつら知り合いじゃなかったけ?」な場面もあるかもしれません。
 気をつけなはれや!
 
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