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7話
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***
(あれから何日、経ったのだろう……)
恒に身体を初めてを奪われ、子宮奥に何度も彼の精を注がれた。
至る場所に所有の痕。
赤い花が無数に咲き誇っている。
所々、同じ場所を吸われ鬱血すらしている。
(声が掠れて、喉が痛い……)
心は凍てついているのに、身体だけがあの人の愛撫に反応する。
触れられるだけで、身体が熱を帯び反応する。
ぴくり、と打ち震える身体が忌まわしい。
「結衣……」
耳朶を食まれ囁かれる声に、自然と下肢が潤んでくる。
「愛している……」
情熱的に愛を囁かれても、心に響く事は、無い。
無理やり身体を奪われ、番だと言われ初めてを奪われて、何が愛している?
人の心を無視した行為。
あの人に恋情すら感じない。
番だと言われて、だから、何?
番って、愛と同等だと思っているの?
番だから、こんな風にsexをするのが当たり前なの?
好きだと言う感情を抱く事すら出来ない人に、愛を告白されても、私が素直に受け入れると思っているの?
私が好きなのは佑なのに……。
ずっと好きだった。
初恋で、優しい気持ちを抱かせてくれる。
この人とは違う。
何時も冷たい目で見詰められて。
その度に身体は萎縮し、畏怖すら感じていた。
ずっと怖かった。
この人の視線が。
醸し出す冷ややかな空気が。
なのに今は有り有りと私を愛していると、情熱的に愛を囁いている。
見詰める瞳が熱を帯び、蠱惑的な笑みを浮かべ私の身体に触れていく。
とろり、と蜜を含んだ吐息。
肌を騒つかせる触れ合いに、私の身体が段々と彼の愛撫に呼応する。
気持ちに相反する身体の熱に嫌悪すら抱く私の心に彼は気付いているの?
ふふふ、何を馬鹿な事を考えるの、結衣。
私の心を分かるのなら、こんな抱き方をする訳無いでしょう?
心を伴わない繋がりを強要する訳無いでしょう?
泣いて叫んで何度も抵抗した。
私が好きなのは佑であって、貴方では無い。
なのに私の心からの訴えもあの人には通じなかった。
ただ私が番だと。
ずっと愛していたと。
ただそれだけ。
そして、佑が義母であるみのりさんを抱いていると。
蜜月に入っていると。
佑と恋人同士であった私にそれがどれだけ残酷な言葉か、知っての告白なの?
では佑が私に囁いた愛の言葉は全て偽りだったと言う事なの?
私の事を好きでは無かったの?
では何故、佑は私に告白したの?
結衣の事が誰よりも大切だと、佑は柔らかく微笑んで言ってくれたのに。
それが全て嘘だったと言うの?
「佑……」
涙が溢れて止まらない。
心の中に膨れ上がる疑問に心が侵食される。
そんな私を彼は顔を歪ませながら見詰め、強引に唇を奪う。
嫌々と頭を振り、キスから逃れようとしても更にキスが深まっていく。
クチュクチュとわざと音を立たせ羞恥を煽らせる。
ぼう、と意識が薄れていく。
抵抗する力が削がれ、だらりと身体がベッドに沈んでいく。
唇が解かれ、結衣、と耳元でささやかれ、そして強引に中に入ってくる。
ずくんと、奥深く彼を感じる。
結衣、結衣、と何度も名前を囁かれながら奥を強く穿つ彼に、はしたなく嬌声を上げるばかり。
佑の姿が脳裏に過るのに、いつの間にか佑の姿は薄れ彼が与える快楽に思考が塗り潰される。
一瞬、薄れゆく思考の中、私は心の中で囁いていた。
ねえ、恒さん……。
どうして私を愛していたのなら、冷ややかな目でずっと私を見ていたの?
どうして私が佑に告白されているのを黙って見ていたの?
私が佑に心惹かれていく様に心は揺さぶられなかったの?
私が番だと言うのなら、何故、何もせず私と佑の恋愛を見詰めていたの?
心が悲鳴を上げている。
余りにも理不尽な己の成り行きに。
(佑……)
私が好きなのは貴方なのに……。
なのに貴方は私が恒さんに身体を奪われても助けてはくれない。
頬に涙が伝わっていく。
ぷつり、と途切れる思考の中で浮かび上がる佑の姿。
優しげに微笑んで私の名を呼んでいた事が、全ては偽りであった。
そんな残酷な現実は目覚めたら夢であったと、そんな儚い望みに微笑みながら、私は意識を失ったのであった。
(あれから何日、経ったのだろう……)
恒に身体を初めてを奪われ、子宮奥に何度も彼の精を注がれた。
至る場所に所有の痕。
赤い花が無数に咲き誇っている。
所々、同じ場所を吸われ鬱血すらしている。
(声が掠れて、喉が痛い……)
心は凍てついているのに、身体だけがあの人の愛撫に反応する。
触れられるだけで、身体が熱を帯び反応する。
ぴくり、と打ち震える身体が忌まわしい。
「結衣……」
耳朶を食まれ囁かれる声に、自然と下肢が潤んでくる。
「愛している……」
情熱的に愛を囁かれても、心に響く事は、無い。
無理やり身体を奪われ、番だと言われ初めてを奪われて、何が愛している?
人の心を無視した行為。
あの人に恋情すら感じない。
番だと言われて、だから、何?
番って、愛と同等だと思っているの?
番だから、こんな風にsexをするのが当たり前なの?
好きだと言う感情を抱く事すら出来ない人に、愛を告白されても、私が素直に受け入れると思っているの?
私が好きなのは佑なのに……。
ずっと好きだった。
初恋で、優しい気持ちを抱かせてくれる。
この人とは違う。
何時も冷たい目で見詰められて。
その度に身体は萎縮し、畏怖すら感じていた。
ずっと怖かった。
この人の視線が。
醸し出す冷ややかな空気が。
なのに今は有り有りと私を愛していると、情熱的に愛を囁いている。
見詰める瞳が熱を帯び、蠱惑的な笑みを浮かべ私の身体に触れていく。
とろり、と蜜を含んだ吐息。
肌を騒つかせる触れ合いに、私の身体が段々と彼の愛撫に呼応する。
気持ちに相反する身体の熱に嫌悪すら抱く私の心に彼は気付いているの?
ふふふ、何を馬鹿な事を考えるの、結衣。
私の心を分かるのなら、こんな抱き方をする訳無いでしょう?
心を伴わない繋がりを強要する訳無いでしょう?
泣いて叫んで何度も抵抗した。
私が好きなのは佑であって、貴方では無い。
なのに私の心からの訴えもあの人には通じなかった。
ただ私が番だと。
ずっと愛していたと。
ただそれだけ。
そして、佑が義母であるみのりさんを抱いていると。
蜜月に入っていると。
佑と恋人同士であった私にそれがどれだけ残酷な言葉か、知っての告白なの?
では佑が私に囁いた愛の言葉は全て偽りだったと言う事なの?
私の事を好きでは無かったの?
では何故、佑は私に告白したの?
結衣の事が誰よりも大切だと、佑は柔らかく微笑んで言ってくれたのに。
それが全て嘘だったと言うの?
「佑……」
涙が溢れて止まらない。
心の中に膨れ上がる疑問に心が侵食される。
そんな私を彼は顔を歪ませながら見詰め、強引に唇を奪う。
嫌々と頭を振り、キスから逃れようとしても更にキスが深まっていく。
クチュクチュとわざと音を立たせ羞恥を煽らせる。
ぼう、と意識が薄れていく。
抵抗する力が削がれ、だらりと身体がベッドに沈んでいく。
唇が解かれ、結衣、と耳元でささやかれ、そして強引に中に入ってくる。
ずくんと、奥深く彼を感じる。
結衣、結衣、と何度も名前を囁かれながら奥を強く穿つ彼に、はしたなく嬌声を上げるばかり。
佑の姿が脳裏に過るのに、いつの間にか佑の姿は薄れ彼が与える快楽に思考が塗り潰される。
一瞬、薄れゆく思考の中、私は心の中で囁いていた。
ねえ、恒さん……。
どうして私を愛していたのなら、冷ややかな目でずっと私を見ていたの?
どうして私が佑に告白されているのを黙って見ていたの?
私が佑に心惹かれていく様に心は揺さぶられなかったの?
私が番だと言うのなら、何故、何もせず私と佑の恋愛を見詰めていたの?
心が悲鳴を上げている。
余りにも理不尽な己の成り行きに。
(佑……)
私が好きなのは貴方なのに……。
なのに貴方は私が恒さんに身体を奪われても助けてはくれない。
頬に涙が伝わっていく。
ぷつり、と途切れる思考の中で浮かび上がる佑の姿。
優しげに微笑んで私の名を呼んでいた事が、全ては偽りであった。
そんな残酷な現実は目覚めたら夢であったと、そんな儚い望みに微笑みながら、私は意識を失ったのであった。
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