転生令息の、のんびりまったりな日々

○僕とお家訪問

◆７２

「ふっふふーん！」
『ユーリ様、ご機嫌ですね！』

　ぴょん太の言葉に、僕はニッコリと笑う。
そう、僕はご機嫌なのです！
　だって、ようやくお庭に、そしてありさんのお家に行けるようになったからなのです！
むっふー！

　マティアスからのダメダメ攻撃は、僕の心をしなしなーっとさせましたが、それでも何とか耐えました！
僕、頑張りました！
　『ちょっとお目々をうるうるさせて、眉毛をへにょんと下げて小さいお声でお願いすれば、マティアス様なんかイチコロですよっ！』と言うエリーナの言葉の通りにやったら、なぜかエリーナがマティアスに怒られるという不思議な事もありました。
　怒られているエリーナを見てぴょん太がふすふすと笑っていましたが、怒られている人を笑っちゃダメですよと注意すると、ぴょん太のお耳がへにょんとなって、可愛かったです。
　そう思った僕も、ちょっと不謹慎？だったかもですね。

　こんな感じでありさんのお家に行けるようになるまで色々とありましたが、ようやく今日！ありさんのお家に行けるのです！
　勿論、前もってありさんのお家にお伺いしますとお話ししてますよ。
先触れ？なしの訪問はマナー違反ですからね。
　たまにかあ様が笑顔なのに怖く感じるお顔で言ってましたから、僕ちゃんと覚えてるのです。
えっへん！
だからまだお庭に出る事が出来ない僕は、マティアスにお願いしてありさんにお家に行きますねー！とお話ししてもらいました。
　ありさんはちょっと恥ずかしがり屋さんなので、知らない人に見つからないようお姿を隠してますが、呼びかければちゃんとお話しは聞いてくれてますので、大丈夫なのです！

「マティアス。ありしゃんのお土産、大丈夫でしゅか？」

　お家ご訪問には菓子折りが必要ですからね！
僕、ちゃんと覚えてますよ！

「はい。こちらにご用意しております」

　マティアスの後ろに立っていたエリーナが、手に持っている物を僕が見やすいように少し下に降ろしてくれました。
──四角い白色の箱と、黄金色の液体が入った小瓶。
　マティアスは僕がお願いした物を、ちゃんと用意してくれてました。
四角い白色の箱の中身は、ゴドフリーお手製のアップルパイがワンホール入ってます。
　ゴドフリーが作るアップルパイは、ほっぺたがとろーんとなるほど美味しいのです！
僕、大好きです！
　食べる時はほっぺたが落ちないように、いつも手でほっぺたを支えながらあむあむしてます。
中に入っているりんごがトロトロの甘々なので、甘いものが大好きなありさんはきっと気に入ってくれるはずです！

そして黄金色の液体は、甘くて栄養豊富な蜂蜜です！
はちさん達が頑張って集めてくれた蜜なので美味しくて甘いのは間違いないのです！
だからありさんも喜んでくれると思います！