転生令息の、のんびりまったりな日々

○僕とおうちたんけん

◆６３

『いや、あの、えーっと……。お、お目目さんと記憶さんも飛びたいと言ってるんですか？』

　ふぉっ！？
そうです、そうです。お目々さんの意見も聞かないといけませんでした。
記憶さんはロマンって言ってましたから、飛びたいのですよね？
　えっ？
　空を飛ぶのは人類の夢だし、ロマンだけどそれは別に今じゃなくていい。ですか……。
それよりもお家探検の方が興味あるし、大事だよ。ですか……。
　ううっ……。
記憶さんのお気持ち、分かったです。
それでは、お目目さんはどうですか？
　たんけんワクワクー！それだけでいいよー。ですか……。
　今すぐお空飛びたいの、僕だけ、なんですね……。分かりましたです。

「ぴょん太、とびゅの、また今度でいいでしゅ……」
『ええーっ！？　なんでそんな、涙目になってるんですか！？』
「涙しゃん、まだ出てきてないでしゅよ」
『え？　いや、あの……』
「記憶しゃんもお目目しゃんも、たんけんちたいって言ってましゅ。
　たしゅうけちゅのけっか、たんけんになりまちた」
『あー……。そうなのですねー。
　どちらにしても、ユーリ様はまだ飛ぶ事は出来ませんので、探検しか出来ませんでしたが……』
「ふぇっ！？　しょーなのでしゅか？」

　僕、今すぐ飛べるのかと思ってました。

「どうちてとべないでしゅ？」
『子供のうちは魔力も安定していませんし、体も出来てませんからね。
　あまり負荷がかかる事をすると命を縮めてしまう危険性もありますから、基本的には禁止なのです』

　ふぉっ！？
なんて事でしょう！
びっくりしてお口、大きく開いちゃいました。
　命さんが縮んじゃうのは危険です。うん、大変危険です！
きけん、きけん、デンジャーなのです！
　君子危うきに近寄らずだよー。って記憶さんも言ってますし、お目目さんもビックリしてちょっとかたまってました！

「とびゅの大きくなってからでいいでしゅ。命しゃんは大事にちないといけましぇん。
　命、大事にしゃくちぇんでしゅ！」

　それ、ちょっと違うし、ガンガンも行かないでしょー。って記憶さん。
うゆ？命、大事に作戦はそう言う事ではないのですか？

『命、大事に作戦……？　よく分かりませんが、命を大事にするのはとても大切な事ですからね。
　ユーリ様には長生きして頂きたいです』
「僕も、ぴょん太には長生きちてほちいでしゅっ！」
『ユーリ様ぁっ！』

　突然ぴょん太がプルプルと震え出しました。
あまりにも突然なので、ちょっとびっくりしちゃったのは秘密です。
どうしたのかなぁ？寒いのかな？僕は寒くないけど、ぬいぐるみ種にとっては寒いのかもしれません。
　んー。そこは触れない方がいいと思うよ。と、記憶さん。
よく分かりませんが、分かりましたです。
　それにしても記憶さん、今日はいつも以上にお話ししてくれてますね。
昨日までだったら、ほんのちょびっとしかお話ししてくれなかったのに。
今日はご機嫌さんなんですか？
　軛がひとつ外されたからかな？それが君の為になるかは分からないけど。って、よく分かりません。
くびきって何ですか？
　さぁ、何だろうね？知る事が果たして君の為になるかどうか……。知らない幸せってあると思うしね。って、ううっ、分かんなすぎです……。
記憶さん、ちょっと意地悪ですか？
僕が分からない事ばかり言ってきます。
　今はそんな事より探検だよね？時間に限りはあるよ？
はうっ！
　そーです、そーです！探検しなきゃ！です！

「ぴょん太！　はやくでしゅよ！」
『えっ？　あ、はい！
　ユーリ様、今からしーっ！　ですよ。静かにしてないと皆さん起きちゃいますからね』

　ぴょん太が可愛いお手手でお口にしーっ！てしてます。
僕もぴょん太と同じようにお口にしーっ！てしました。

「分かったでしゅ！　ちっちゃなお声で、そろーり、そろーと歩きましゅ」

　記憶さんもお目目さんも、しーっ！ですよ。そして、そろーりそろーとでお願いしますね？
では、いよいよ探検しゅっぱーつ！です！