悲しみの向こう側

雲龍神楽

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負の連鎖の始まり

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佑奈が入院して数日たったとき、いつも通り佑奈のところに杏奈と一緒に行っていた。
私が、花瓶の水を変えようと病室を出たとき、立ちくらみなのか、めまいがして、手すりに掴んだ。私はいつものことだろうとだいじょうぶ。と思って、その場を後にした。今思えば、これがきっかけだったのかもしれない。

翌日、朝起きたとき、身体に違和感があったため、学校を休んで病院に行くことにした。
杏奈には、事情を話して、分かってもらえた。でも、テレビ電話越しの杏奈は、不安な表情だった。
私は杏奈に、
『だいじょうぶだから。心配することはない。杏奈を1人にはしないから。』
と伝えた。けど、私自身佑奈のことがあったから、不安になっていた。
検査をして、検査結果は明確ではないから、まだ言えない。とお母さんから言われた。
この時お母さんは、担当の先生に、病名の告知はまだ、しないで。と伝えていたらしい。
翌日、学校に行った。
杏奈は、学校についてすぐに私のところに来て『身体だいじょうぶなの?』と聞いてきた。
私は、『だいじょうぶだよ。』と答えた。
今日もいつも通りの生活を送っていた。

佑奈の余命が近づいて来たときだった。
私の病名が分かった。
それは、
『脊髄小脳変性症』
という、難病だった。
今、この病気は治療法のない病気。

病名がわかった頃から私の身体は、この病気に蝕んでいっていた。
うまく歩けない、うまく身体を動かせないなどの症状が出ていた。

佑奈のところに1人でお見舞いに行ったときに、私は佑奈に病気のことを話した。
『佑奈ごめんね。約束守ることができなくて。
この病気は、難病でだんだん筋力が落ちていく病気。車椅子生活になって、寝たきりになる病気だって。でもだいじょうぶ。佑奈は心配しなくていいんだよ。』
『約束は守れてるよ。佑奈がいなくなってからも麻耶がいるじゃん。今も、杏奈のそばに居てくれてるじゃん。』と佑奈は笑いながら話してくれた。

翌日、二人でお見舞いに行ったとき、佑奈の病室が慌ただしかった。
杏奈は急いで、病室に行った。
この時、佑奈は時すでに遅かった。杏奈は先生からの言葉が通ってなかったから、私が話を聞くことにした。

『佑奈さんは、さっきは、食べ物をのどに詰まらせてしまっていたけど、だんだんと体力が落ちています。覚悟はしていてください。』
そう、担当の先生から言われたとき、私は、ただ呆然としていた。

私は、杏奈にこの事を伝えないといけないと思っていたが、今の杏奈の状態からみて、言い出すことができなかった。
私は、杏奈の状態が良くなってから伝えることにした。
数時間後、杏奈の状態が良くなったので、佑奈のことを話した。

『佑奈は、今夜か明日がお別れの時かもしれない。』と伝えると、思った通り、杏奈は嫌がって泣きわめいた。
そしたら佑奈が目を開けて、
『杏奈とはしばらく、離ればなれになるけど、杏奈が佑奈に逢いたいと思ったら、まんまんちゃんの前で、お姉ちゃんに逢いたいと伝えな。』と言って、また、静かに眠りについた。
それが、佑奈と話した最後の会話だった。

佑奈は6/25に変わった日の早朝息を引き取った。
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