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第三十四話 「恋ゴコロン」
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おはようございます。春間真莉亜です。
今日も、テレサさんと、紅葉と、栗栖さんと、マドレーヌちゃんと、道華と一緒に、学校に行きます。
ガチャ・・・・・・。
部屋に入ると、ウルフ一郎さんが、こっちに飛びついて来るのが、見えた。
「真莉亜ちゅわ~ん♡おは・・・・・・。」
「よっ、真莉亜。」
おはよう、ジュンブライト。
「お父さん!あたしね、朝ご飯、ちゃんと食べたよ!」
「おっ、えらいなぁ。さっすが、俺の娘だぜっ!おーい、早くしねぇと、遅刻すっぞぉ。」
ドタバタと、足音が聞こえた。
「紅葉、クリス、マドレーヌちゃん!早くして!」
「フルーツヨーグルト、食べたかったですぅ。」
「仕方ないでしょ?時間を守らなくちゃ。」
「ジュンブライト様、アキとソラのめんどう、よろしくお願いしますっ!」
「おう!」
「いってきまーす!」
私はジュンブライトに手を振った。
「いってらっしゃーい。」
かわいい笑顔で、ジュンブライトは私達に手を振った。
ガチャン。
「さーてと、テレビを観るかぁ。」
「・・・・・・コンヤロー!」
☆
「鼻はギロのおかげで治ったが・・・・・・。」
(ヴァンパイア界の王子め!いっつも、真莉亜ちゃんを独り占めにしやがって!)
(いくら彼女だからって、イチャイチャして!ゆるさん!)
(あの日、俺様の人生が変わった。)
「『私の大切な人を離してください!どうせ、食べたらおいしくないし、それと、食べたら解決しないからですっ。お願いします!どうか、食べないでくださいっ。』」
(あんなに美しき女神が舞い降りるなんて、思ってもいなかった。だが・・・・・・それをじゃまする者がいた!)
「『真莉亜ちゅわーん♡会いたかったよぉ・・・・・・。』」
ドン!
「『ゔ!』」
「おっのれ~!ヴァンパイア界の王子!俺様、必ずお前と真莉亜ちゃんを、引き離してやる!」
「おやおや、そこのあんちゃん、なに一人でさけんでいるんだい。」
「誰だ?お前。」
「わしは恋の神様じゃ。」
「へーいへい、さよーならー。」
「こら!通りすぎるなっ!」
「・・・・・・!」
「まて~!」
「追いかけて来るなっ!だいたい、恋に神様なんて、いるわけねぇ。」
「屋台を見てごらん!」
「屋台を・・・・・・?うわ!なんじゃこりゃあ!恋愛グッズが、いっぱいじゃねぇか!」
「あんちゃんの恋のなやみは、なんだい?」
「・・・・・・聞いてくれんのか!?ありがとー!俺様には・・・・・・。」
ポリ、ポリ、ポリ、ポリ。
「・・・・・・。」
「せんべい食うな、クソじじい!」
ドッ!
「暴力反対じゃよぉ。」
「俺様には、好きな人がいる。その子はかわいくって、アイドルみてぇんだ!しかし、その子には、彼氏がいる!」
「不倫じゃな。」
「てめぇ、チキンにするぞ。俺様は、そいつをその子から引き離してぇ!お願いだ!なにかいい方法、ねぇか!?」
「あるよ。」
「本当か!?」
「はい。」
「なんだこれ。」
「恋ゴコロンじゃよ。」
「ギャグか。」
「恋ゴコロンは、相手にかけると、まあ不思議!相手が自分のことを、好きになるよ。ほれ。」
シュッ!
「う・・・・・・じじい!俺様、おめぇのことが、好きになった!つきあってくれ!」
「ふほほほほ。」
バシャ!
「なにするんだよ、じじい!」
「く、苦しい・・・・・・恋ゴコロンは、相手が自分を好きになるんじゃが、水をかけると、元に戻るんじゃよ。」
「おい!それを俺様にくれ!」
「いいよ。一万円ね。」
「値段、テキトーに言ってるなぁ。」
☆
私は、ジュンブライトと一緒に、寝室にいた。
「ジュンブライトぉ。」
「なんだ?」
「・・・・・・大好き。」
「俺もだ。」
コトン。
あ・・・・・・。
「どうした、そのハート型のもんは。」
ウルフ一郎さんから、もらったの。
ハート型のコロン、かわいいなぁ。
「・・・・・・あやしい。」
なに、あやしい目で見つめてんのよ。
私は、コロンのふたを、パカッと開けた。
ん~。いいにおい。
バラの香りがする。
シュッ、シュッ、シュッ。
あ、あれ?かけたとたん、私の頭の中が、みるみる変わっていくぞ。
ジュンブライト・・・・・・。
その時、私の頭の中から、ジュンブライトが消えた。
う、うそでしょ・・・・・・。
ん?あの黒いオオカミさんは・・・・・・。
ウルフ一郎さん・・・・・・。
私、ウルフ一郎さんのことが、好きになっちゃった・・・・・・。
「おい!真莉亜!しっかりしろ!」
ジュンブライトが、私の肩を、ぶるんぶるん振る。
「・・・・・・よう。」
「へっ?」
「別れよう。」
「え―っ!?ちょっとまったぁ!」
離してよぉ!
「お前、おかしいぞ!どうしたんだ!」
あんたには、興味がない!私の愛しき人は、ウルフ一郎さんしか、いないのよ!
ジュンブライトは、がくんと、腰を落とした。
「そ・・・・・・そんな・・・・・・。」
すると、ドアがガチャッと開いて、黒いオオカミさんが入って来た。
あれは・・・・・・。
「ウルフ一郎さん!」
私は、走って、ウルフ一郎さんにだきついた。
「会いたかったです~。」
ウルフ一郎さんは、私を優しくだきしめた。
「夢だ・・・・・・これは、妄想ではない!現実だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
大好き。
「俺様も~♡真莉亜ちゅわ~ん♡アイ・ラブ・ユー♡」
うふふふふ。
ウルフ一郎さんは、私の手をにぎって、くるりと、ジュンブライトの方を振り向いた。
「アッハッハッハッハ!見たか、ヴァンパイア界の王子!貴様は、一から独身の世界でやり直せ!」
「そんなぁ~。」
ジュンブライトは、落ちこんでる。
「ウルフ一郎さんっ。どこに行く?」
「君と一緒なら、たとえ、火の中水の中だよーん♡」
「もう、調子いいんだから!」
「アハハハハハ!」
私達は、寝室を出た。
「・・・・・・じ・・・・・・じ!じいやぁぁぁぁぁぁぁあ!」
☆
私達は、お部屋のベッドにすわった。
「ウルフ一郎さーん。」
「なにぃ?」
私は、ほおずりをした。
「・・・・・・愛してる。」
「うおぉぉぉぉぉぉ!その名言、忘れないよーん♡」
まあ♡
(このまま、この状態が続いたら・・・・・・。)
(ウルフ一郎の妄想)
カラン、カラン。
「『おめでとー!』」
「『兄貴、結婚、おめでとうございますっ!』」
「『真莉亜ちゃん、超~かわいいっス!』」
「『ウルフ一郎さんっ。』」
「『真莉亜ちゃん。俺様が、君をしあわせにするよ。』」
しあわせな二人に、子供ができ・・・・・・。
「『う、う!』」
「『お母さーん。お腹空いたぁ。』」
「『私、お肉食べたーい。』」
「『ちょっとまってね。ウル恵のめんどうを見てから、つくるから。』」
「『死ぬ~。』」
「『肉がないと、生きていけねぇ~。』」
「『お母さん、見て!お花畑で、摘んで来たの!』」
「『まぁ、きれーい。』」
「『ホンギャー、ホンギャー!』」
「『どうしよう・・・・・・ウル恵が泣き出しちゃった。』」
「『真莉亜ちゃん、俺様がめんどうを見るから、安心して。』」
「『ありがとうございますっ。』」
「『困った時は、お互い様だよーん♡』」
(ウルフ一郎の妄想 終わり)
「俺様の人生は、ハネムーンだ―♡」
☆
「うわ~ん!」
俺はじいやのうでの中で、泣いていた。
「王子、しっかりしてください。」
しっかりできねぇよぉ!
「ふられたぐらいで、男が泣くもんじゃないよ。」
真莉亜~!
「先輩。先輩のために、一曲歌います。」
歌など聴きとーない!
ギロがギターケースからギターを取り出した。
ジャン。
「聴いてください。『桜坂』。」
福山雅治かよっ!
「♪君をずっとしあわせにぃ 風にそっとうたーうよぉ U yeah 愛は今も愛のままでぇ。」
愛など消えた―っ!
「ギロ、そのくらいにしときなさい。」
「それ以上歌うと、ジュンブライトが、どんどんせつなくなるから。」
「はい・・・・・・。」
ギロは、歌を歌うのをやめた。
「オオカミヤローからもらったコロンをかけたら・・・・・・かけたら!」
「ウルフ一郎お兄様を、好きになったんですね。」
そうなんだよぉ!
「王子・・・・・・。」
「あいつ、全然空気が読めないわね!」
「あったまきた!」
クリスとアキが、俺のために怒っている。
「・・・・・・ちょっといい?」
「どうしたんだい?ソラ。」
「あのね、真莉亜お姉ちゃんに、コロンを見せてもらったの。」
俺は、その瞬間、泣き止んだ。
「なんだと?」
「おかしくなる前にね。」
「そのコロンは、なんていうんだい。」
「えーっとぉ、確か・・・・・恋ゴコロンだった。」
ギャグか。
「あ―!」
道華が思わず、手をパンッとたたいて、立ち上がった。
「どうした。」
「ひょっとして、お母さんはそのコロンのせいで、ウルフ一郎を好きになったかもしれない!」
ぬわんだとぉ!?
あいつ、俺の彼女を盗んでぇ!
ゆーるさん!
「王子、立ち直りましたね。」
じいやがにっこり笑っている。
あったり前だぁ!
オオカミヤロー、絶っっっっっっ対、こらしめてやる!
「怒っているのはいいけど、元に戻す方法は、知ってるの?」
知らん。
「あだ―っ!」
みんながお笑い劇のように、コケた。
「だってぇ、テキトーに見つければ、いいだろ?」
「じゃあ、やめろ。」
・・・・・・。
「うわ~ん!」
「テレサ先輩、その言い方、ないでしょ。」
「あー、わかったから、泣くのはおやめ。」
俺はまた泣き止んだ。
「ウルフ一郎に聞く?」
聞かねぇーよ。どーせ、教えてくれんだろーし。
「じゃあ、無理ですね。」
・・・・・・。
「うわ~ん!」
俺はまたまた、じいやのうでの中で泣き出した。
「俺、死にた~い!もう一回、死にた~い!」
「弱音を吐かないでください。そういうの、王子らしくないですよ。」
「ギロ、空気を読みなさい。」
「ごめんなさい、先輩。」
俺はまたまた、泣き止んだ。
いーぜ。気にすんな。
「テレビ観ーよおっ。」
道華がリモコンをテレビに向けて、ポチッと電源を入れた。
「アハハハハハ!」
「道華、こんな状況で、テレビを付けないでくれる?」
道華が笑顔で、俺の方を振り向いた。
「お父さーん、おもしろいのがあるよー。」
道華、テレビを消しなさい。
「いやだ。」
言うことを聞け―っ!
「他の番組をつけてくださいっ。」
「あたし、『おかあさんといっしょ』がいい!」
「ニュース観た―い!」
ちびっこ達が続々と、テレビの前に集まった。
もう、知らないからなぁ。
「みんな、来て!」
道華が手招きをしている。
「どうしたんだい。」
「あれ。」
道華が指をさしたのは・・・・・・。
「『魔女っ子コロン』!」
アニメじゃねぇか。
ピンク色のツインテールに、三角帽子。そして、星の形がてっぺんにある魔法のつえに、魔女の服。
この少女マンガに、どんなヒントが・・・・・・。
「『あー、暑い暑い。あせが止まらないから、お風呂にはーいろっ。』」
あせまみれになった主人公が、服をパッパッパッとぬいで、お風呂に入った。
「『ふぅ、気持ちいー。』」
本当だなぁ。
俺も、風呂に入りてぇ。
「『さーてと、お風呂に上がったし、魔法をかーけよっ!』」
主人公が、つえを振りかざして、ゆっくり目を閉じた。
「『コロンコローン、マジカルウェーブ!かえるさんよ、子犬さんになれ!』」
ところが、なにも変化はない。
主人公は、目を点にして、かたまっている。
「『あ、あれ?おかしいなぁ。』」
呪文、まちがえたんじゃねぇのか?
「『コローン!』」
魔法のほうきに乗った、オレンジ色のおだんごヘアの女の子が現れた。
「『マミ!』」
知り合いかな?
マミと呼ばれた女の子は、ほうきから降りた。
「『どうしたの?』」
「『実は・・・・・・魔法が全然、使えなくて・・・・・・。』」
「『あんた、ドジねぇ。あのね、魔法のコロンをつけたまま、水につかると、コロンのにおいが消え、魔法が使えなくなるの。』」
「『うっそーん!』」
ん?さっきのって、まさか・・・・・・。
「元に戻す方法だよ。」
うお!すげーぞ道華!さっすが、俺の娘だぜっ!
俺は道華の頭を、がっしりなでた。
「えへへへへ。」
「ふふふふ、ふはははは!オオカミヤロー、地獄を味わせてやる!」
☆
今日も、テレサさんと、紅葉と、栗栖さんと、マドレーヌちゃんと、道華と一緒に、学校に行きます。
ガチャ・・・・・・。
部屋に入ると、ウルフ一郎さんが、こっちに飛びついて来るのが、見えた。
「真莉亜ちゅわ~ん♡おは・・・・・・。」
「よっ、真莉亜。」
おはよう、ジュンブライト。
「お父さん!あたしね、朝ご飯、ちゃんと食べたよ!」
「おっ、えらいなぁ。さっすが、俺の娘だぜっ!おーい、早くしねぇと、遅刻すっぞぉ。」
ドタバタと、足音が聞こえた。
「紅葉、クリス、マドレーヌちゃん!早くして!」
「フルーツヨーグルト、食べたかったですぅ。」
「仕方ないでしょ?時間を守らなくちゃ。」
「ジュンブライト様、アキとソラのめんどう、よろしくお願いしますっ!」
「おう!」
「いってきまーす!」
私はジュンブライトに手を振った。
「いってらっしゃーい。」
かわいい笑顔で、ジュンブライトは私達に手を振った。
ガチャン。
「さーてと、テレビを観るかぁ。」
「・・・・・・コンヤロー!」
☆
「鼻はギロのおかげで治ったが・・・・・・。」
(ヴァンパイア界の王子め!いっつも、真莉亜ちゃんを独り占めにしやがって!)
(いくら彼女だからって、イチャイチャして!ゆるさん!)
(あの日、俺様の人生が変わった。)
「『私の大切な人を離してください!どうせ、食べたらおいしくないし、それと、食べたら解決しないからですっ。お願いします!どうか、食べないでくださいっ。』」
(あんなに美しき女神が舞い降りるなんて、思ってもいなかった。だが・・・・・・それをじゃまする者がいた!)
「『真莉亜ちゅわーん♡会いたかったよぉ・・・・・・。』」
ドン!
「『ゔ!』」
「おっのれ~!ヴァンパイア界の王子!俺様、必ずお前と真莉亜ちゃんを、引き離してやる!」
「おやおや、そこのあんちゃん、なに一人でさけんでいるんだい。」
「誰だ?お前。」
「わしは恋の神様じゃ。」
「へーいへい、さよーならー。」
「こら!通りすぎるなっ!」
「・・・・・・!」
「まて~!」
「追いかけて来るなっ!だいたい、恋に神様なんて、いるわけねぇ。」
「屋台を見てごらん!」
「屋台を・・・・・・?うわ!なんじゃこりゃあ!恋愛グッズが、いっぱいじゃねぇか!」
「あんちゃんの恋のなやみは、なんだい?」
「・・・・・・聞いてくれんのか!?ありがとー!俺様には・・・・・・。」
ポリ、ポリ、ポリ、ポリ。
「・・・・・・。」
「せんべい食うな、クソじじい!」
ドッ!
「暴力反対じゃよぉ。」
「俺様には、好きな人がいる。その子はかわいくって、アイドルみてぇんだ!しかし、その子には、彼氏がいる!」
「不倫じゃな。」
「てめぇ、チキンにするぞ。俺様は、そいつをその子から引き離してぇ!お願いだ!なにかいい方法、ねぇか!?」
「あるよ。」
「本当か!?」
「はい。」
「なんだこれ。」
「恋ゴコロンじゃよ。」
「ギャグか。」
「恋ゴコロンは、相手にかけると、まあ不思議!相手が自分のことを、好きになるよ。ほれ。」
シュッ!
「う・・・・・・じじい!俺様、おめぇのことが、好きになった!つきあってくれ!」
「ふほほほほ。」
バシャ!
「なにするんだよ、じじい!」
「く、苦しい・・・・・・恋ゴコロンは、相手が自分を好きになるんじゃが、水をかけると、元に戻るんじゃよ。」
「おい!それを俺様にくれ!」
「いいよ。一万円ね。」
「値段、テキトーに言ってるなぁ。」
☆
私は、ジュンブライトと一緒に、寝室にいた。
「ジュンブライトぉ。」
「なんだ?」
「・・・・・・大好き。」
「俺もだ。」
コトン。
あ・・・・・・。
「どうした、そのハート型のもんは。」
ウルフ一郎さんから、もらったの。
ハート型のコロン、かわいいなぁ。
「・・・・・・あやしい。」
なに、あやしい目で見つめてんのよ。
私は、コロンのふたを、パカッと開けた。
ん~。いいにおい。
バラの香りがする。
シュッ、シュッ、シュッ。
あ、あれ?かけたとたん、私の頭の中が、みるみる変わっていくぞ。
ジュンブライト・・・・・・。
その時、私の頭の中から、ジュンブライトが消えた。
う、うそでしょ・・・・・・。
ん?あの黒いオオカミさんは・・・・・・。
ウルフ一郎さん・・・・・・。
私、ウルフ一郎さんのことが、好きになっちゃった・・・・・・。
「おい!真莉亜!しっかりしろ!」
ジュンブライトが、私の肩を、ぶるんぶるん振る。
「・・・・・・よう。」
「へっ?」
「別れよう。」
「え―っ!?ちょっとまったぁ!」
離してよぉ!
「お前、おかしいぞ!どうしたんだ!」
あんたには、興味がない!私の愛しき人は、ウルフ一郎さんしか、いないのよ!
ジュンブライトは、がくんと、腰を落とした。
「そ・・・・・・そんな・・・・・・。」
すると、ドアがガチャッと開いて、黒いオオカミさんが入って来た。
あれは・・・・・・。
「ウルフ一郎さん!」
私は、走って、ウルフ一郎さんにだきついた。
「会いたかったです~。」
ウルフ一郎さんは、私を優しくだきしめた。
「夢だ・・・・・・これは、妄想ではない!現実だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
大好き。
「俺様も~♡真莉亜ちゅわ~ん♡アイ・ラブ・ユー♡」
うふふふふ。
ウルフ一郎さんは、私の手をにぎって、くるりと、ジュンブライトの方を振り向いた。
「アッハッハッハッハ!見たか、ヴァンパイア界の王子!貴様は、一から独身の世界でやり直せ!」
「そんなぁ~。」
ジュンブライトは、落ちこんでる。
「ウルフ一郎さんっ。どこに行く?」
「君と一緒なら、たとえ、火の中水の中だよーん♡」
「もう、調子いいんだから!」
「アハハハハハ!」
私達は、寝室を出た。
「・・・・・・じ・・・・・・じ!じいやぁぁぁぁぁぁぁあ!」
☆
私達は、お部屋のベッドにすわった。
「ウルフ一郎さーん。」
「なにぃ?」
私は、ほおずりをした。
「・・・・・・愛してる。」
「うおぉぉぉぉぉぉ!その名言、忘れないよーん♡」
まあ♡
(このまま、この状態が続いたら・・・・・・。)
(ウルフ一郎の妄想)
カラン、カラン。
「『おめでとー!』」
「『兄貴、結婚、おめでとうございますっ!』」
「『真莉亜ちゃん、超~かわいいっス!』」
「『ウルフ一郎さんっ。』」
「『真莉亜ちゃん。俺様が、君をしあわせにするよ。』」
しあわせな二人に、子供ができ・・・・・・。
「『う、う!』」
「『お母さーん。お腹空いたぁ。』」
「『私、お肉食べたーい。』」
「『ちょっとまってね。ウル恵のめんどうを見てから、つくるから。』」
「『死ぬ~。』」
「『肉がないと、生きていけねぇ~。』」
「『お母さん、見て!お花畑で、摘んで来たの!』」
「『まぁ、きれーい。』」
「『ホンギャー、ホンギャー!』」
「『どうしよう・・・・・・ウル恵が泣き出しちゃった。』」
「『真莉亜ちゃん、俺様がめんどうを見るから、安心して。』」
「『ありがとうございますっ。』」
「『困った時は、お互い様だよーん♡』」
(ウルフ一郎の妄想 終わり)
「俺様の人生は、ハネムーンだ―♡」
☆
「うわ~ん!」
俺はじいやのうでの中で、泣いていた。
「王子、しっかりしてください。」
しっかりできねぇよぉ!
「ふられたぐらいで、男が泣くもんじゃないよ。」
真莉亜~!
「先輩。先輩のために、一曲歌います。」
歌など聴きとーない!
ギロがギターケースからギターを取り出した。
ジャン。
「聴いてください。『桜坂』。」
福山雅治かよっ!
「♪君をずっとしあわせにぃ 風にそっとうたーうよぉ U yeah 愛は今も愛のままでぇ。」
愛など消えた―っ!
「ギロ、そのくらいにしときなさい。」
「それ以上歌うと、ジュンブライトが、どんどんせつなくなるから。」
「はい・・・・・・。」
ギロは、歌を歌うのをやめた。
「オオカミヤローからもらったコロンをかけたら・・・・・・かけたら!」
「ウルフ一郎お兄様を、好きになったんですね。」
そうなんだよぉ!
「王子・・・・・・。」
「あいつ、全然空気が読めないわね!」
「あったまきた!」
クリスとアキが、俺のために怒っている。
「・・・・・・ちょっといい?」
「どうしたんだい?ソラ。」
「あのね、真莉亜お姉ちゃんに、コロンを見せてもらったの。」
俺は、その瞬間、泣き止んだ。
「なんだと?」
「おかしくなる前にね。」
「そのコロンは、なんていうんだい。」
「えーっとぉ、確か・・・・・恋ゴコロンだった。」
ギャグか。
「あ―!」
道華が思わず、手をパンッとたたいて、立ち上がった。
「どうした。」
「ひょっとして、お母さんはそのコロンのせいで、ウルフ一郎を好きになったかもしれない!」
ぬわんだとぉ!?
あいつ、俺の彼女を盗んでぇ!
ゆーるさん!
「王子、立ち直りましたね。」
じいやがにっこり笑っている。
あったり前だぁ!
オオカミヤロー、絶っっっっっっ対、こらしめてやる!
「怒っているのはいいけど、元に戻す方法は、知ってるの?」
知らん。
「あだ―っ!」
みんながお笑い劇のように、コケた。
「だってぇ、テキトーに見つければ、いいだろ?」
「じゃあ、やめろ。」
・・・・・・。
「うわ~ん!」
「テレサ先輩、その言い方、ないでしょ。」
「あー、わかったから、泣くのはおやめ。」
俺はまた泣き止んだ。
「ウルフ一郎に聞く?」
聞かねぇーよ。どーせ、教えてくれんだろーし。
「じゃあ、無理ですね。」
・・・・・・。
「うわ~ん!」
俺はまたまた、じいやのうでの中で泣き出した。
「俺、死にた~い!もう一回、死にた~い!」
「弱音を吐かないでください。そういうの、王子らしくないですよ。」
「ギロ、空気を読みなさい。」
「ごめんなさい、先輩。」
俺はまたまた、泣き止んだ。
いーぜ。気にすんな。
「テレビ観ーよおっ。」
道華がリモコンをテレビに向けて、ポチッと電源を入れた。
「アハハハハハ!」
「道華、こんな状況で、テレビを付けないでくれる?」
道華が笑顔で、俺の方を振り向いた。
「お父さーん、おもしろいのがあるよー。」
道華、テレビを消しなさい。
「いやだ。」
言うことを聞け―っ!
「他の番組をつけてくださいっ。」
「あたし、『おかあさんといっしょ』がいい!」
「ニュース観た―い!」
ちびっこ達が続々と、テレビの前に集まった。
もう、知らないからなぁ。
「みんな、来て!」
道華が手招きをしている。
「どうしたんだい。」
「あれ。」
道華が指をさしたのは・・・・・・。
「『魔女っ子コロン』!」
アニメじゃねぇか。
ピンク色のツインテールに、三角帽子。そして、星の形がてっぺんにある魔法のつえに、魔女の服。
この少女マンガに、どんなヒントが・・・・・・。
「『あー、暑い暑い。あせが止まらないから、お風呂にはーいろっ。』」
あせまみれになった主人公が、服をパッパッパッとぬいで、お風呂に入った。
「『ふぅ、気持ちいー。』」
本当だなぁ。
俺も、風呂に入りてぇ。
「『さーてと、お風呂に上がったし、魔法をかーけよっ!』」
主人公が、つえを振りかざして、ゆっくり目を閉じた。
「『コロンコローン、マジカルウェーブ!かえるさんよ、子犬さんになれ!』」
ところが、なにも変化はない。
主人公は、目を点にして、かたまっている。
「『あ、あれ?おかしいなぁ。』」
呪文、まちがえたんじゃねぇのか?
「『コローン!』」
魔法のほうきに乗った、オレンジ色のおだんごヘアの女の子が現れた。
「『マミ!』」
知り合いかな?
マミと呼ばれた女の子は、ほうきから降りた。
「『どうしたの?』」
「『実は・・・・・・魔法が全然、使えなくて・・・・・・。』」
「『あんた、ドジねぇ。あのね、魔法のコロンをつけたまま、水につかると、コロンのにおいが消え、魔法が使えなくなるの。』」
「『うっそーん!』」
ん?さっきのって、まさか・・・・・・。
「元に戻す方法だよ。」
うお!すげーぞ道華!さっすが、俺の娘だぜっ!
俺は道華の頭を、がっしりなでた。
「えへへへへ。」
「ふふふふ、ふはははは!オオカミヤロー、地獄を味わせてやる!」
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