上 下
74 / 185

第三十二話 「マドレーヌちゃんの名前の由来」

しおりを挟む
次の日。
 
「じゃーん!全部買って来ちゃった~!」
 
赤ちゃんの名前辞典!気がきくなぁ。
 
「役に立つと思うからぁ、この中からぁ、気にいった名前を選んでぇ♡」
 
サンキュー。
 
「私達は、赤ちゃんのめんどうを見るから。」
 
いよーし!ジャン、ソアン、アルマ!赤ちゃんの名前を決めるぞ!
 
「おう!」
 
俺達は早速、事典を開いた。
 
一分後。
 
「う、う!」
 
「ハイハイ上手ねぇ。」
 
う~ん。
 
二分後
 
「あい、あい!」
 
「こらこら。人の髪をひっぱるな。」
 
「これはだめだ。」
 
三分後
 
「どう?」
 
「かっわい~♡」
 
「う!」
 
「赤ちゃんは着せかえ人形じゃねぇんだぞ。」
 
五分後
 
「あ―、つかれた―。」
 
「あった?」
 
「全然。アルマは?」
 
「全くだ。」
 
なかなかいい名前、見つからないなぁ。
ジャスミンとか、アリエルとか、ベルとか、オーロラとか、全部ディズニーだし。
 
「ジュンくん!ちょっと来て!」
 
なんだよぉ。人が考えてる時に。
 
「い―から早くぅ!」
 
へーい、へい。
赤ちゃんが、みけんにしわをよせて、唇をMの字にして、かみしめていた。
 
「う~ん。」
 
「うなってるねぇ。」
 
「りきんでる・・・・・・。」
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
どうしたんだ?
ほーら、べろべろばぁ!
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
泣きやまねぇ!
 
「かせ!」
 
アルマが、赤ちゃんを取り上げた。
アルマ!お前にまだ、なれてない・・・・・・。
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
赤ちゃんの泣き声が、どんどん大きくなってゆく。
くんくん。ん?なにか、におわねぇか?
 
「いや。」
 
「超~くさ―い。」
 
アクアが鼻をつまんでる。
まさか!
 
「おい!こいつ、う○こしてるぞ!」
 
ぬわんだとぉ!?
おむつを出してぇ・・・・・・こっからの展開が、わかんねぇ。
 
「私にまかせて!」
 
リナン!たのむ!
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
「ゔぅ、くっせぇ~。」
 
「あんたもこーゆー時があったんだよ。」
 
「よし、これで完ペキ!」
 
「う!」
 
ありがとー。
 
「どういたしまして。」
 
「リナン、赤ちゃんのおむつかえるの、上手だな。」
 
リナンは、右手をグーにして、胸にポンッとおいた。
 
「えっへん!私はこー見えて、バイトでベビーシッターをやっていたのよ。」
 
す・・・・・・すんげぇ。
だって、鼻をひくひくさせているんだぜ。
 
 

 
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
今度はなんだよぉ。
 
「お腹が空いているみたいね。」
 
ジャン、ソアン、アルマ。お前達で名前を見つけろ。
 
「はーい。」
 
なんだよ、その返事は。
あいつら、つかれてるな。
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
「は―い、はい。お兄ちゃんが、ミルクをつくりまちゅからねぇ。」
 
「い・・・・・・!」
 
テレサ、アクア、リナン。顔が真っ青になってるぞ。
 
「な、なんでもないよ!」
 
「が、頑張って!」
 
応援してくれて、ありがとう!
テレッテテンテレン、テレッテテンテレン、テレッテレンテレーン。
 
「ジュンブライトクッキングゥ~。」
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
「さっさとつくれっ!」
 
「今日のメニューはミルクです。」
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
「メニューはいいから、早くつくって!」
 
「材料は、粉ミルク、お湯、そんだけです。」
 
「そんだけ。」
 
「まず、粉ミルクの缶に表示されている量を見て、その通りに、はかりまーす。」
 
俺は、粉の分量を、ミルク専用の計量スプーンで、一杯、二杯、三杯、哺乳瓶の中に入れた。
 
「続いて、お湯を入れまーす。」
 
俺は、お湯をジャ―と、入れた。
冷めているお湯だから、湯気は出て来てない。
 
「これを振って溶かしまーす。」
 
シャカシャカシャカ、シャカシャカシャカ。
 
「人肌程度に冷やしまーす。」
 
冷める間、『ОNEPICE』を読みまーす。
 
「それ、つくり方じゃないだろっ!」
 ・ ・ ・ ・ ・
「オーナーゼフ!!!長い間!!!くそお世話になりました!!!このご恩は一生・・・・・・!!!忘れません!!!!」
 
「・・・・・。」
 
「あたり前だ!!!!!」
 
「なんてつっこめばいいか、わからん。」
 
もう、そろそろかな?
俺は服のそでをめくった。
 
「イヤーン♡ジュンくんのうで、筋が見えてるぅ~♡」
 
「アクアちゃん、だまってて。」
 
「一番うすいうでに、落としてみまーす。」
 
俺のうすいうでに、チョンッと、ミルクのしずくがこぼれた。
つっめてぇ~。
 
「これで、ミルクの完成でーす。」
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
「ジュンブライトくん!早く飲まして!」
 
おう!
俺は赤ちゃんに、ミルクを飲ませた。
 
「んく、んく、んく、んく・・・・・・。」
 
おいしそうに飲んでる。
 
「不器用でも、こんな簡単に、つくれるんだな。」
 
うっさい。
 
「誰に教わったの?」
 
「おばさん。」
 
「すっご~い♡ジュンくん、私のダーリンになってぇ~♡」
 
断わる。
 
「う、う!」
 
おいしかったか?
 
「あ、う!」
 
ゲップ、させねぇとな。
優しく背中をたたいてっと。
 
「ゲホ、ゲホ。」
 
「いいなぁ~。いとこがいて。」
 
ソアンがうらやましそうに、赤ちゃんを、見つめてる。
だろ?
 
「う、う!」
 
いたい、いたい、いた―い!お兄ちゃんの顔をたたいたら、だめだろ―がっ!
 
「うふふふふ。」
 
「人懐っこいね。」
 
「ジュンブライトのことが、大好きなんだな。」
 
こいつは、俺の妹みてぇなもんだ。
 
「俺にだかせろ!」
 
いいぜ。
俺はソアンに、赤ちゃんを渡した。
 
「赤ちゃ―ん。ソアンお兄ちゃんでちゅよぉ~。」
 
「う!」
 
「僕にもだかせてくれ!」
 
「いいとも。」
 
ソアンがジャンに、赤ちゃんを渡した。
 
「この子の目、むらさき色だね。」
 
ジャンが赤ちゃんの目を、じっと見つめてる。
すると、赤ちゃんが、ジャンのめがねに手を出した。
 
「あう!」
 
「前が見えない!ジュンブライト、助けてくれ~!」
 
アハハハハ。
楽しい空気の中に、一人、なれない人がいた。
 
「アルマ。どうしたんだ。」
 
俺は、アルマによりそった。
アルマはため息をついて、赤ちゃんと仲良くしているみんなを、細い目で見つめていた。
 
「いいなぁ。あんなにみんなになついて。」
 
アルマは、下を向いた。
 
「なんで、なんで・・・・・・。」
 
突然、アルマが泣き出して、顔を上げた。
 
「俺だけ、好かれてないんだよぉ!」
 
顔がこわいからだよ。
 
「それ以上、言うなっ!」
 
俺は、アルマの背中を、バンっとたたいた。
 
「元気を出せ、アルマ。なついてないのは、お前だけじゃないんだぞ。さ、名前を見つけるか。」
 
アルマは、笑顔に戻った。
 
 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。

木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。 そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。 ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。 そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。 こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。

処理中です...