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第二十六話 「道華の思い出」
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一カ月後。
「道華ぁ、おばあちゃんちに行こうか。今日は寒いから、ジャンパーを着ろうねぇ。」
「う、う!」
道華・・・・・・道華が立ってる!
「ジュンブライト、ジュンブライト!」
私は寝室でねているジュンブライトを、起こした。
「う、う~ん。なんだよぉ。」
ジュンブライトは目をこすりながら、起きて来た。
「あのね、道華がね、立ったの!つかまり立ちだけど。」
私は興奮しながら、道華の方を指さした。
「だ、だ!」
歩こうとしてる!
「頑張れ、道華!」
「あきらめないで!」
私達が応援していくたび、道華はつまずきながら、がんばって、私達の方へと向かおうとしていく。
「うんしょ、うんしょ。」
あと一歩!
そして、とうとう・・・・・・。
「あう!」
10歩、歩いたよ!
「道華~♡すごいなぁ。さっすが、俺の娘だぜっ!」
私達はうれしさのあまり、道華をぎゅっと、だきしめた。
ポタポタポタポタ。
それのせいか、私達の目から、涙が出て来た。
☆
一年後。
「お母しゃん、お母しゃん。」
はいは~い。今、行くね~。って、誰が私を呼んだ?
「お母しゃん、お母しゃん。」
ま、まさか!
「道華!」
うそ!道華がしゃべった!
しかも、私のこと、「お母さん。」って!
「お母しゃん、お母しゃん。」
うわぁ~。道華、成長したね。
「どうした、真莉亜。」
ジュンブライト!あのね、道華がね、しゃべったんだよ!
「お父しゃん、お父しゃん!」
ほら!
「俺のこと、「お父さん。」って、呼んだ・・・・・・すごいぞ道華!さっすが、俺の娘だぜっ!」
「大ちゅき。」
うわぁ~。
「俺のこと、大好きだってぇ~♡俺も、道華のこと、大ちゅきでちゅよぉ~♡」
チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ・・・・・・。
親バカパワー、さくれつです。
☆
二年後。
道華は今年の春で、幼稚園に入ります。
本人は、とてもわくわくしています。
昨日、幼稚園の制服とか、カバンとか、道具とか、体操服とか、体操帽子とか、シューズとか買ったし。
今、私は、道華の体操袋と、シューズ袋と、コップ入れをつくっています。
コップはなにに使うかって?それは、歯みがきとか、おやつを食べる時とかに使うって、幼稚園の説明会で、言ってたんだ。
あと、道華が通う幼稚園はなんと、私のお母さんが働く、天使幼稚園ですっ!
ほかの幼稚園を見に行ったけど、どれも人数が多くて入れなくて・・・・・・。お母さんに相談したら、「うちの幼稚園に来たら?人数はそんなに多くないし。」って、言ってくれて!もう、助かったよ~。
幼稚園の先生の娘でよかったぁ~。
「道華ぁ、もうできたよ~。」
「うわぁ―い!」
道華はうれしそうに、私がつくった体操袋と、シューズ入れと、コップ入れに飛びついた。
「これで、幼稚園に通えるねっ。」
「うん!」
道華は、笑顔で大きくうなずいた。
☆
私と道華は、うどんを食べていた。
「ごちそうさまでした。」
うどん、おいしかったなぁ。
さ、仕事に行くか。
「ごちそうさまでした!」
道華、えらいねぇ~。残さずに食べたねぇ~。
「うん!だって、明日から幼稚園に行くんだもん!」
けど、にんじんは、ちゃ―んと食べてねっ。
「はーい。」
昨日、若山さんからつくってもらった昼ご飯のカレーライス、にんじんだけ、食べなかったらしいね。
「ぎくぅ!バレたか・・・・・・。」
もう、バレてますけど。
「・・・・・・ねぇ、道華。」
私はいすにすわった。
「なに?」
「お友達、何人つくるの?」
「もっちろん、100人!」
道華がとびっきりの笑顔で答えた。
「あと、彼氏もつくるんだ!優しくて、運動神経バツグンで、お勉強ができて、お父さんよりイケメンな人♡」
おいおい、彼氏をつくるの、まだ早いんじゃないの?
「ところでさ、道華に話したいことがあるの。」
「話したいこと?なにそれ。」
道華が首をかしげた。
「道華にとって、難しい話だと思うけど・・・・・・お父さんの名前、黒月潤っていうでしょ?」
「うん。」
「それ、本当の名前じゃないんだ。」
「え!?」
道華は大きな声で驚いた。
「本当の名前は、ジュンブライト。」
「ジュン・・・・・・ブライト?」
そう。
「お父さんは、ヴァンパイア界の大王なの。」
「ヴァンパイアって、なに?」
道華はまた、首をかしげた。
「人間の血を吸う、怪物だよ。」
そのとたん、道華の目が大きく見開いた。
「お父さん、人間じゃないの?」
「えぇ。ヴァンパイアなの。」
私は、電話の横にある、ヒアン様と、レオン様と、ルクトさんの遺影を指さした、
「あそこに、写真があるじゃない?左の女の人が、レオン様。ヴァンパイア界の女王様で、お父さんのお母さん。道華のおばあちゃん。でも、幼いころから体が弱くて、お父さんを産んだ後、死んじゃった。真ん中の男の人は、ヒアン様。お父さんのお父さん。道華のおじいちゃん。とっても、えらい人だったんだよ。そして、右の男の人が、ルクトさん。お父さんのしつじだったんだ。とっても、優しかったんだよ。」
「あの三人も、ヴァンパイア?」
道華が不思議そうに、遺影を指さした。
「うん。そうだよ。」
私はこくりとうなずいた。
「道華はね、ヴァンパイアと人間のハーフなの。」
「えぇ!?あたし、人間じゃないの!?」
ううん。半分人間で、半分ヴァンパイア。
人の血を欲しがったりする時もある。
けどね、ヴァンパイアはね、にんにくと、十字架が苦手だから、具合が悪くなる時もあるの。
あなたも一緒よ、道華。
だから、お約束してくれる?
「人の血を吸わないって。」
「お母さん・・・・・・。」
すると、道華がニッと笑った。
「うん!お母さんとのお約束、守る!あたし、今日からお友達の血を吸わない!けど・・・・・・。」
けど?
「もし、吸ったら、どうなるの?」
その人が、ヴァンパイアになるの。
私の発言で、道華がぶるぶるふるえ始めた。
「こ、こわ~い。」
道華、ちゃんと約束、守ってね。
「うん!」
道華はまた、笑顔でうなずいた。
☆
ー現在ー
「ゔぅ、うわ~ん!いい話じゃねぇか!」
ウルフ一郎さんが、滝のように、涙を流した。
「聞いててよかったぁ。」
「・・・・・・。」
アキちゃんも、ネルさんも、泣いている。
「泣きすぎだろっ。」
「お父さ―ん。」
「なに~?」
出た。親バカパワー。
「大好き。」
チュ・・・・・・。
道華がジュンブライトのほっぺにキスをすると、ジュンブライトの顔が、真っ赤になった。
「うひょ~♡テレサ、マドレーヌ、じいや、リリア、クリス、紅葉、真莉亜、アキ、ソラ、ネル、ギロ、ウルフ一郎!見たか、さっきの!かわいいかわいい俺の娘が、俺のほっぺたに、キスしたぞぉ~♡このほっぺたは、洗えないぜぇ~♡」
「はいはい。」
テレサさんは、ジュンブライトの親バカパワーにあきて、料理をし始めた。
「親バカなところが、私のお父様に似ています。」
そうだねぇ。
「道華!あんた、ずるい!」
「ジュンブライト様のほっぺたにキスをするなんて、ゆるさない!」
「私がもし、真莉亜お姉ちゃんだったら・・・・・・うらやましがる!」
「あなた、どんだけ妄想してんの?」
「あたしの予約席を取るなんて、ゆるさん!」
予約席だったの!?
「えへ、ごめんなさーい。」
道華が4人に向けて、てへぺろをした。
「ゆるさ―ん!」
怒りおさえきれなくなった4人は、道華を追いかけ始めた。
はぁ、うるさいなぁ。
「道華ぁ、おばあちゃんちに行こうか。今日は寒いから、ジャンパーを着ろうねぇ。」
「う、う!」
道華・・・・・・道華が立ってる!
「ジュンブライト、ジュンブライト!」
私は寝室でねているジュンブライトを、起こした。
「う、う~ん。なんだよぉ。」
ジュンブライトは目をこすりながら、起きて来た。
「あのね、道華がね、立ったの!つかまり立ちだけど。」
私は興奮しながら、道華の方を指さした。
「だ、だ!」
歩こうとしてる!
「頑張れ、道華!」
「あきらめないで!」
私達が応援していくたび、道華はつまずきながら、がんばって、私達の方へと向かおうとしていく。
「うんしょ、うんしょ。」
あと一歩!
そして、とうとう・・・・・・。
「あう!」
10歩、歩いたよ!
「道華~♡すごいなぁ。さっすが、俺の娘だぜっ!」
私達はうれしさのあまり、道華をぎゅっと、だきしめた。
ポタポタポタポタ。
それのせいか、私達の目から、涙が出て来た。
☆
一年後。
「お母しゃん、お母しゃん。」
はいは~い。今、行くね~。って、誰が私を呼んだ?
「お母しゃん、お母しゃん。」
ま、まさか!
「道華!」
うそ!道華がしゃべった!
しかも、私のこと、「お母さん。」って!
「お母しゃん、お母しゃん。」
うわぁ~。道華、成長したね。
「どうした、真莉亜。」
ジュンブライト!あのね、道華がね、しゃべったんだよ!
「お父しゃん、お父しゃん!」
ほら!
「俺のこと、「お父さん。」って、呼んだ・・・・・・すごいぞ道華!さっすが、俺の娘だぜっ!」
「大ちゅき。」
うわぁ~。
「俺のこと、大好きだってぇ~♡俺も、道華のこと、大ちゅきでちゅよぉ~♡」
チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ・・・・・・。
親バカパワー、さくれつです。
☆
二年後。
道華は今年の春で、幼稚園に入ります。
本人は、とてもわくわくしています。
昨日、幼稚園の制服とか、カバンとか、道具とか、体操服とか、体操帽子とか、シューズとか買ったし。
今、私は、道華の体操袋と、シューズ袋と、コップ入れをつくっています。
コップはなにに使うかって?それは、歯みがきとか、おやつを食べる時とかに使うって、幼稚園の説明会で、言ってたんだ。
あと、道華が通う幼稚園はなんと、私のお母さんが働く、天使幼稚園ですっ!
ほかの幼稚園を見に行ったけど、どれも人数が多くて入れなくて・・・・・・。お母さんに相談したら、「うちの幼稚園に来たら?人数はそんなに多くないし。」って、言ってくれて!もう、助かったよ~。
幼稚園の先生の娘でよかったぁ~。
「道華ぁ、もうできたよ~。」
「うわぁ―い!」
道華はうれしそうに、私がつくった体操袋と、シューズ入れと、コップ入れに飛びついた。
「これで、幼稚園に通えるねっ。」
「うん!」
道華は、笑顔で大きくうなずいた。
☆
私と道華は、うどんを食べていた。
「ごちそうさまでした。」
うどん、おいしかったなぁ。
さ、仕事に行くか。
「ごちそうさまでした!」
道華、えらいねぇ~。残さずに食べたねぇ~。
「うん!だって、明日から幼稚園に行くんだもん!」
けど、にんじんは、ちゃ―んと食べてねっ。
「はーい。」
昨日、若山さんからつくってもらった昼ご飯のカレーライス、にんじんだけ、食べなかったらしいね。
「ぎくぅ!バレたか・・・・・・。」
もう、バレてますけど。
「・・・・・・ねぇ、道華。」
私はいすにすわった。
「なに?」
「お友達、何人つくるの?」
「もっちろん、100人!」
道華がとびっきりの笑顔で答えた。
「あと、彼氏もつくるんだ!優しくて、運動神経バツグンで、お勉強ができて、お父さんよりイケメンな人♡」
おいおい、彼氏をつくるの、まだ早いんじゃないの?
「ところでさ、道華に話したいことがあるの。」
「話したいこと?なにそれ。」
道華が首をかしげた。
「道華にとって、難しい話だと思うけど・・・・・・お父さんの名前、黒月潤っていうでしょ?」
「うん。」
「それ、本当の名前じゃないんだ。」
「え!?」
道華は大きな声で驚いた。
「本当の名前は、ジュンブライト。」
「ジュン・・・・・・ブライト?」
そう。
「お父さんは、ヴァンパイア界の大王なの。」
「ヴァンパイアって、なに?」
道華はまた、首をかしげた。
「人間の血を吸う、怪物だよ。」
そのとたん、道華の目が大きく見開いた。
「お父さん、人間じゃないの?」
「えぇ。ヴァンパイアなの。」
私は、電話の横にある、ヒアン様と、レオン様と、ルクトさんの遺影を指さした、
「あそこに、写真があるじゃない?左の女の人が、レオン様。ヴァンパイア界の女王様で、お父さんのお母さん。道華のおばあちゃん。でも、幼いころから体が弱くて、お父さんを産んだ後、死んじゃった。真ん中の男の人は、ヒアン様。お父さんのお父さん。道華のおじいちゃん。とっても、えらい人だったんだよ。そして、右の男の人が、ルクトさん。お父さんのしつじだったんだ。とっても、優しかったんだよ。」
「あの三人も、ヴァンパイア?」
道華が不思議そうに、遺影を指さした。
「うん。そうだよ。」
私はこくりとうなずいた。
「道華はね、ヴァンパイアと人間のハーフなの。」
「えぇ!?あたし、人間じゃないの!?」
ううん。半分人間で、半分ヴァンパイア。
人の血を欲しがったりする時もある。
けどね、ヴァンパイアはね、にんにくと、十字架が苦手だから、具合が悪くなる時もあるの。
あなたも一緒よ、道華。
だから、お約束してくれる?
「人の血を吸わないって。」
「お母さん・・・・・・。」
すると、道華がニッと笑った。
「うん!お母さんとのお約束、守る!あたし、今日からお友達の血を吸わない!けど・・・・・・。」
けど?
「もし、吸ったら、どうなるの?」
その人が、ヴァンパイアになるの。
私の発言で、道華がぶるぶるふるえ始めた。
「こ、こわ~い。」
道華、ちゃんと約束、守ってね。
「うん!」
道華はまた、笑顔でうなずいた。
☆
ー現在ー
「ゔぅ、うわ~ん!いい話じゃねぇか!」
ウルフ一郎さんが、滝のように、涙を流した。
「聞いててよかったぁ。」
「・・・・・・。」
アキちゃんも、ネルさんも、泣いている。
「泣きすぎだろっ。」
「お父さ―ん。」
「なに~?」
出た。親バカパワー。
「大好き。」
チュ・・・・・・。
道華がジュンブライトのほっぺにキスをすると、ジュンブライトの顔が、真っ赤になった。
「うひょ~♡テレサ、マドレーヌ、じいや、リリア、クリス、紅葉、真莉亜、アキ、ソラ、ネル、ギロ、ウルフ一郎!見たか、さっきの!かわいいかわいい俺の娘が、俺のほっぺたに、キスしたぞぉ~♡このほっぺたは、洗えないぜぇ~♡」
「はいはい。」
テレサさんは、ジュンブライトの親バカパワーにあきて、料理をし始めた。
「親バカなところが、私のお父様に似ています。」
そうだねぇ。
「道華!あんた、ずるい!」
「ジュンブライト様のほっぺたにキスをするなんて、ゆるさない!」
「私がもし、真莉亜お姉ちゃんだったら・・・・・・うらやましがる!」
「あなた、どんだけ妄想してんの?」
「あたしの予約席を取るなんて、ゆるさん!」
予約席だったの!?
「えへ、ごめんなさーい。」
道華が4人に向けて、てへぺろをした。
「ゆるさ―ん!」
怒りおさえきれなくなった4人は、道華を追いかけ始めた。
はぁ、うるさいなぁ。
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