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第二十二話 「ソアンさんの告白大作戦!」

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「はぁ、はぁ、はぁ。もう、追って来ないだろ。」
 
「そうね。」
 
ブーン!
 
「!?」
 
「ひゃ―っはっはっはっはっは!見つけたぞぉ、ソアンくん。」
 
「逃げろ!」
 
「おじいちゃん!もう、やめて!」
 
「やーだよーだ。」
 
「こうら!ハゲ頭じじい!」
 
「もう、そこまでよ!」
 
「観念しなさいっ!」
 
クリスさんと、アキちゃんと、ソラちゃんが、マシンに追いつこうとしている。
マシンと三人の距離感は、だんだん、縮んでく。
 
「ニャ―ッ!」
 
ペタッ。
三人の胸に、アンクさんが、なにかをはった。
 
「な、なにこれ!」
 
猫の足跡のシールだ。
 
「ニャンか、はられた!」
 
アキちゃん、猫語になってなかった!?
 
「バカ言わニャイでよ・・・・・・ん!?」
 
アキちゃんは、口を両手でおさえた。
 
「自然と猫語になってしまうニャ―!」
 
うそ!
 
「本ニャイニャラ、魚で反応する時、猫顔になる時に、ニャルのに・・・・・・。」
 
ソラちゃんまで!
 
「このシールのせいだニャ!」
 
クリスさんが、怒りながら、シールを指さした。
 
「テッテッテーン!猫語シールぅ~。」
 
猫語シール?
 
「そのシールをはられると、あら大変!どんな人でも、猫語になってしまうのだ~!たとえ、猫族の者でもね。」
 
まーた、逃げられたよぉ。
 
「そうだな。」
 
って、ジュンブライト!?あんた、いつの間に、戻って来たのよぉ!
 
「さっき。」
 
「王子、無事でなによりです。」
 
「ジュンブライト様ぁ~♡大丈夫でしたかニャ―?」
 
「三人とも、なんだ、そのしゃべり方は。」
 
「そんなことは、あとで話しましょう!アンクおじい様を、追いかけましょう!」
 
 

 
 
「まてぇ~!小ぞうどもぉ~!」
 
「ひぃぃぃぃぃ!」
 
「もう、いやだぁ~!」
 
「おじいちゃん、もうやめろ!」
 
「ジャン!」
 
「ジャン!祖父に向かって、よくもそんな態度がとれたなぁ~!」
 
ジャンさん!がんばってくださいっ!
 
「これも、リナンのためだ~!」
 
ジャンさんは、必死で、マシンに追いつこうとしている。
 
「うんしょっと!」
 
ギロさん!そんなでっかい注射器を持ち上げて、なにをするんですか!
 
「半分頭がハゲているおじいさんに向かって、刺すのさ。」
 
「だから、アンクさんだってば!」
 
「ゔ~ん。」
 
ギロさんは、でっかい注射器を、両手で持ち上げながら、バランスを、整えようとしている。
 
「ゔ~ん。」
 
ギロさんは、でっかい注射器を、両手で持ち上げながら、走り出した。
 
「ギロエンジェクト!麻疹予防接種!」
 
ツルッ。
ギロさんは、バランスを崩し、でっかい注射器の下敷きになっちゃった。
 
「お・・・・・・重たいよぉ。」
 
「お前がそんなにでっかい注射器を持つからだろ!」
 
「ひゃ―っはっはっはっはっは!」
 
逃げ足が速いですっ!
 
「真莉亜!作戦を考えましょう!」
 
作戦?
 
「あのね、ごにょごにょごにょごにょ・・・・・・。」
 
紅葉が、耳打ちをした。
 
「わかった。」
 
私と紅葉は、一緒に走り出した。
 
「そこのおじいさーん。」
 
「そのマシン、かっこいいわねぇ。」
 
操作をしているアンクさんに、私達は、話しかけた。
 
「そ、そうかなぁ~?」
 
アンクさんは、操作をしながら、顔を真っ赤にそめた。
 
「ねぇ、私達にもさせて~。」
 
「お・ね・が・い♡」
 
「わかった、わかった。特別に、してやろう。」
 
「そりゃあどーも、ありがとねぇ。」
 
マシンに乗りこんだ私達は、アンクさんを、マシンの外につまみ出し、そのまま操作をした。
 
「ああ!この、おじょうちゃん達め~!わしをだましたなぁ~!」
 
ごめんなさい、ごめんなさ~い!
春間真莉亜、初めて人を、だましました。
 
「二人とも、あったまいいじゃねぇか!」
 
うわぁ!ちょっ、みんな、いっせいに乗らないでよぉ。
 
「お母さん。次、交代して!」
 
これは遊びでやってるんじゃないの。
 
「真莉亜!前!」
 
テレサさんが、指をさしている方を見ると・・・・・・。
プ―ッ!
キャ―ッ!ぶつかるぅ!
 
「カーブして!」
 
どうやってするのぉ~?
 
「こーするんだよっ!」
 
ジュンブライトが、ハンドルを、右に回すと、マシンは右に曲がった。
ふぅ、死ぬかと思ったよぉ。
 
「もう、ハラハラさせんなよぉ。免許、取ってないくせに、運転するなんて、根性あるなぁ。」
 
そーゆーあんたも、免許取ってないくせに、よくハンドルを回せたねぇ。
 
「誰でも回せるわ。」
 
「わしのマシーンを、返せぇ~!」
 
「うっさい!じじい!お前の首を、取るぞ!」
 
わわわ!ネルさん!身乗り出さないでください!
 
「僕とリナンのおじいちゃんを、殺そうとするなっ。」
 
「ネル!危ない!」
 
「ん?」
 
ネルさんが、後ろを振り向くと、トラックが、ネルさんの距離を縮んでいた。
 
「わあぁぁぁぁ!」
 
ボン!
ネルさんは、ヴァンパイアキャットになって、道華にだきついた。
 
「まてぇ~!」
 
「アンクさん!マシンを返して欲しけりゃ、ソアンをリナンとつきあわせてやれ!」
 
「あいつは、リナンのことが、好きなんだ!」
 
「やっだね~。孫娘は、誰にも渡さん!」
 
アンクさん・・・・・・。
 
「アンクさん、リナンさんをそんなに愛している気持ちは、わかります。けれど、人は、恋をしないと、生きていけない生き物なんです。リナンさんに、恋という経験を、させてください。」
 
私が、アンクさんに向かって言うと、アンクさんは、その場で立ち止まった。
私は、アンクさんが追いかけて来ないことに気づき、マシンを止めようとした。
 
「ねぇ、どうやって止めるの?」
 
ジュンブライトの方を、振り返る。
 
「そんなことも知らねぇなら、最初っからすんなよ。」
 
「そーゆーあんたも、知らないでしょ?」
 
「・・・・・・。」
 
ジュンブライトは、顔を真っ赤にして、そのままだまりこんだ。
 
「わたくしがやりましょう。」
 
ルクトさん、お願いします。
 
「はい。」
 
ルクトさんは、運転席にすわると、早速、マシンを道端に駐車した。
 
「こんなものです。」
 
「うわぁ~。ルクトじいや様、すごいですぅ~!」
 
「ルクトさんにたのめばよかったぁ。」
 
「んじゃあ、最初っからたのめよ。」
 
私達は、マシンから降りて、アンクさんの方に、向かった。
 
「これでわかっただろ?アンクさん。」
 
アンクさんは、下を向いている。
 
「ああ。ソアンくんにいたずらをした、わしが悪かった。」
 
アンクさん、反省しているみたい。
そして、アンクさんは、ジュンブライトの方に、目を向けた。
 
「ジュンブライトくん、ソアンくんに伝えてくれ。「うちの孫娘を、たのむ。」ってな。」
 
「ああ。ちゃんと、伝えるぜっ。」
 
ジュンブライトは、二カッと笑った。
 
 

 
 
アンクさんとジャンさんは、ヴァンパイア界に帰った。
ジュンブライトは、アンクさんが言ったことを、全部話した。
 
「そうかぁ。」
 
「想いを伝えるのは、今だよ。」
 
「がんばって!」
 
「リナさんに、本当の気持ちを、伝えるんだ!」
 
「お前、何回、人の名前をまちがってんだよ。」
 
ソアンさんは、リナンさんの方へ、近づいてゆく。
ソアンさん、ファイトぉ~。
 
「・・・・・・リナン。」
 
リナンさんは、ソアンさんの方を、振り向いた。
 
「なに?ソアンくん。」
 
「実は、大切な話があるんだ。」
 
「大切な話?」
 
「ああ。」
 
ソアンさんはうなずくと、深呼吸をして、真剣な顔で、リナンさんを見つめた。
 
「実は俺、子供のころから、お前のことが、好きだった。」
 
「!?」
 
リナンさんは、びっくりして、口を両手でおさえた。
 
「びっくりさせて、ごめん。俺、ずっとこの28年間、お前のことだけを想い続けていた。28年経った今、ここでお前に告白するなんて、夢みたいだよ。リナン、俺と、つきあってくれないか?たのむ!答えは、どーでもいいんだ!」
 
ソアンさんは、必死に土下座した。
 
「・・・・・・顔を上げて。」
 
ソアンさんは、顔を上げて、立ち上がった。
 
「ソアンくんの気持ちは、よくわかったよ。」
 
って、ことは?って、ことは?
 
「これからよろしくね、ソアンくん。」
 
おめでとうございます、ソアンさん!
 
「よかったなぁ、ソアン!」
 
「ゔぅ、ゔぅ・・・・・・。」
 
ソアンさん、うれしくて泣いている。
 
「ちゃ―んと、大切にするのよっ。」
 
クリスさんが、元のしゃべり方に戻って、よかったです。
 
「浮気はしないでねっ。」
 
「もし、私が、真莉亜お姉ちゃんだったら・・・・・・。」
 
ソラちゃん、妄想するのは、おやめ。
 
「とにかく、仲良くやってねっ。」
 
道華は二人に向かって、にこっと笑った。
 
「あぁ。ジュンブライトも、真莉亜ちゃんと、仲良くやるんだぞ!」
 
「おう!」
 
「うふふふふ。」
 
こうして、ソアンさんと、リナンさんは、つきあうことに、なりました。
 
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