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第十七話 「リリアさんの幼なじみ」
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暑~い。テレサさん、麦茶プリース!
「はいよ。」
テレサさんが、テーブルに、冷たい麦茶を出した。
サンキューです。
私は、麦茶をゴクゴク飲み干した。
「あっちぃ~!テレサ、俺にも麦茶をくれぇ~!」
ジュンブライトが、うちわをあおいでいる。
「はいよ。」
テレサさんが、ジュンブライトに冷たい麦茶を出した。
「サンキュー。」
ジュンブライトは、麦茶をゴクゴクと飲み干した。
台所には、ちびっこ軍団が集まっている。
「ルクト!アイス食べた~い!」
道華がわがままを言っている。
「もうしわけございません。アイスクリームがなくなってしまって・・・・・・。リリア様とクリス様が、買って来てくれると思いますから、しばしおまちを。」
冷凍庫の中は、冷凍食品だけ並んでいる。
「私、いちごアイスが食べたいですぅ~!」
「王女様、わがままを言わないでください。」
「アイス食べた~い!」
「私、チョコバナナアイス食べた~い!」
道華達、ルクトさんを困らせないの。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
「誰かしら?」
紅葉が不思議そうに、玄関まで行って、ドアを開けた。
「あれ?」
どうしたの?紅葉。
「誰もいない。いたずらかしら。」
「いや、いるねぇ。ヴァンパイアキャット一匹。」
テレサさんが、下を指さした。
下を見ると、黄緑色のヴァンパイアキャットがいた。
あの・・・・・・誰ですか?
「俺ですか?俺は・・・・・・。」
「おぉ!ギロじゃねぇか!」
ジュンブライトがやって来ると、ヴァンパイアキャットのギロさんは、ジュンブライトを見て驚いた。
「先輩!久しぶりですねぇ。」
「元気にしてたか?」
「はいっ。」
「王子、知り合いですか?」
ルクトさんが聞くと、ジュンブライトは、私達の方を振り向いた。
「紹介しよう!俺とテレサがヴァンパイア暴力団に入っていたころの後輩、ギロだ!」
ジュンブライトと、テレサさんの後輩~?
「久しぶりだねぇ、ギロ。」
「テレサ先輩こそ、相変わらず、べっぴんさんですねぇ。」
テレサさんは、べっぴんという言葉に反応したのか、顔を真っ赤にした。
「そ、そんなに人前でべっぴんさんとか、言わないでくれるかい?恥ずかしいよぉ~。」
ボン!
ギロさんが、イケメンに変身した!
黄緑色の髪で、髪を少し結んでいて、黄緑色の着物を着ていて、身長は175cmで、黄緑色の目をしていて、とんがった耳のイケメンヴァンパイアさん♡
「かっこいい~♡」
討馬くんとギロさん、どっちがかっこいい?
「ギロ♡」
「紅葉お姉様、ギロお兄様にホレましたね。」
「討馬っていう人、かわいそー。」
☆
私達は、ギロさんと仲良くおしゃべりをしていた。
「いやぁ、まさかここで会えるとは思ってもいなかったぜ~。」
ジュンブライトは、ギロさんのグラスに、麦茶を注いだ。
「先輩が生き返ったって聞いて、駆けつけたんですよぉ。」
駆けつけるの、遅くないですか?
「お前、今なにやってるんだ?」
「医者ですよ、医者。」
ギロさん、すごーい!お医者さんなんだぁ。
「へぇー。すげーじゃねぇか!お前、医者になるのが夢だったなぁ。」
「ところで先輩。先輩が、人間の女の子とつきあっていると聞いたんですが・・・・・・。」
ギロさんが、私達をじろじろ見つめ始めた。
「この子ですか?」
ギロさんが、道華の方を指さした。
「ずいぶん、歳が離れてますねぇ。」
「おい、ギロ!道華は俺の娘だ!」
「もう!まちがえないでよっ!」
道華がぷんぷん怒ってる。
「え~!?」
「あたし、未来から来たの。」
「え~!?」
ギロさん、驚きすぎ。
「お前、相変わらず、天然だなぁ。俺の彼女は、こいつだ!」
どーも。春間真莉亜でーす。13歳で、中学二年生でーす。
「・・・・・・歳、どんだけ離れてるんですか?」
「19だ。」
「19~!?」
と、ギロさんが驚いた、その時。
「ただいまぁ~。」
「アイス、買って来たよぉ~。」
リリアさんとクリスさんが帰って来た!
「ん!?」
ギロさんは、真っ先に玄関に向かった。
「どうしたんだ?ギロ。」
ジュンブライトが、ギロさんのあとをついていくと、ギロさんはリリアさんを見て、口をポカーンと開けている。
リリアさんも、口をポカーンと開けて、スーパーの袋を落とした。
「・・・・・・リッちゃん?」
リッちゃん?
「あんた達、知り合いなのかい?」
テレサさんが聞くと、リリアさんは、うんっとうなずいた。
「ギロ!」
「リッちゃん!」
二人はうれしそうにだきあった。
「あのイケメン、誰?」
ギロさんです。お医者さんをやっていて、ジュンブライトとテレサさんの暴力団時代の後輩なんです。
「リリア、ギロお兄様にだきついちゃって。」
二人は、だきあうのをやめて、私達の方を向いた。
「あなた達に言ってなかったわね。私とギロは、幼なじみなの。」
リリアさんが、にこっと笑った。
「え~!?」
私達は、大きな声で驚いた。
☆
私達は、おしゃべりしながら、アイスクリームを食べた。
「まさか、ギロ様とリリア様が幼なじみだったとは、びっくりしましたぁ~。」
ルクトさんが、コーヒーの中にバニラアイスを入れて、コーヒーとバニラアイスをかきまぜながら言った。
「ごめんなさい。びっくりさせて。」
ギロさんの子供のころは、どんな子だったんですか?
「あ、あの・・・・・・。」
ガチャッ。
玄関のドアが開いた音が聞こえた。
「誰か、来たみたいだねぇ。」
テレサさんが、玄関の方を振り向いた。
すると、身長が172cmで、刀をもっている女の人が現れた。
「ネルさん!」
久しぶりです!元気にしてましたか?
「うっせぇ!ん?」
ネルさんは、ギロさんをじっと見つめた。
「よっ、ネルちゃん。久しぶりだなぁ。元気にしてた?」
ギロさんが、ニッと笑うと、ネルさんは、「あー!」と声を上げて、ギロさんの方を指さした。
「お前、泣き虫のギロだろ?かっこよくなったなぁ。」
「泣き虫のギロ?」
「ギロ、お前、泣き虫だったのか。」
「ち、ちがいますぅ!」
ギロさんの顔は、まっかになってる。
「ジュンブライト様、聞いてください。こいつはよく、近所のガキ達にいじめられてたんです。昔、泣き虫のギロって、呼ばれてたんです。」
「そーゆーあなたも、いじめられてたんじゃない。」
「やっかましい!お前に言われたくないわ、ボケーッ!」
「ところで、ギロ。あなた、お医者さんになるまで、なにをしてたの?」
ギロさんの顔が、急にヤバイ顔になった。
「こいつ、俺とテレサの後輩なんだ。」
ジュンブライトが、話に入ってきた。
「後輩?」
「そ、その・・・・・・大学の先輩で・・・・・・。」
「そ。ギロは医者になる前に、ヴァンパイア暴力団に入ってたんだ・・・・・・。」
「あ―!先輩!それ以上、言わないでくださいっ!」
ギロさんが、ジュンブライトの口をふさいだ。
ギロさんは、つくり笑いをして、リリアさんの方を振り向いた。
「アハハハハ。リッちゃん、じょーだんなんだ、じょーだん。この人とは、なんの関わりもないよぉ。」
「うぐぐぐぐ!」
ジュンブライトは、「うそつくな!」と、言っている。
「・・・・・・。」
リリアさんは、アイスを落として、唇をぶるぶるふるわせている。
「リリア?」
紅葉がかけよると、リリアさんはすっと、立ち上がった。
「信じらんない!あの優しかったギロが、ヴァンパイア暴力団に入ってたなんて!しかも、ジュンブライトとテレサの後輩だったなんて、信じらんない!」
「リッちゃん!ちがうんだ・・・・・・。」
ギロさんが言いかけると、リリアさんは、玄関の方へ歩みよった。
「ギロなんか、大っ嫌い!」
リリアさんは怒りながら、部屋を出た。
「う・・・・・・うわ~ん!」
ギロさんが、急に泣き出した。
「リッちゃんから嫌われたよぉ~!リッちゃんから嫌われたよぉ~!」
「ギロ!男は泣く生き物じゃねぇ!」
「相変わらず、泣き虫だなぁ。」
「うわ~ん!」
ギロさん、泣かないでください。ほら、鼻水、出てますよ。
私は、ギロさんにティッシュを1枚渡した。
「あ・・・・・・ありがどゔ・・・・・・。」
ギロさんは、ティッシュで鼻水をふいた。
「ギロって、ソラにそっくりだねっ。泣き虫なところが。」
「アキちゃん!そんなこと、言わないでよっ!」
ところで、リリアさん、どこに行ったんだろ。
「なんか、心配。」
紅葉が、とても心配そうな顔をした。
「大丈夫。あいつのことだから、きっと、のん気に散歩しているにちがいない。」
「だといいが・・・・・・。」
プルプルプルプル。
急に電話が鳴り始めた。
「あたしが出るぅ~!」
道華が笑顔で、受話器を取った。
「きっと、リリアからかもしれません!」
「もしもし?」
「『こんにちは、おじょうちゃん。』」
男の人の声で、声がこもってて、誰かわかんない。
「誰?おじさん。」
道華!勝手にしゃべらないの!
「『私は、優しい優しいおじさんだよ。』」
「だから誰なんだよ。」
「『私は、宇宙一、かっこいいおじさんだよ。』」
あやしさが、ぷんぷんですっ。
「『好きな食べものは、和牛ステーキ。』」
「好きな食べもの、聞いてないから。」
「『ごめん。ふざけただけ。』」
「ふざけてたんかいっ!」
ジュンブライトがつっこんだ、その時!聞き覚えのある、女の人の声が聞こえた。
「『み・・・・・・みんな・・・・・・。』」
その声は・・・・・・!
「リッちゃん!」
ギロさんが、ぱっと、道華がもっている受話器を取り上げた。
「リッちゃん!今、どこにいる!?」
「『は・・・・・・廃墟の工場・・・・・・来たらだめ!』」
え!?
「リッちゃん!それ、どういうこと!?」
ギロさんが聞くと、さっきの男の人に代わった。
「『楽しいお話はここまでだ。』」
「うわぁぁぁぁぁぁ!リッちゃんが、男になったぁぁぁぁ!」
「『私は本物の男だっ!』」
ギロさん、どこまで天然なんですかっ。
「リッちゃんになにをした!」
男の人は、鼻でふっと笑った。
「『人質にした。』」
!?
「リリアが、人質に!?」
マドレーヌちゃんが驚いた。
「リッちゃんを返せ!」
「『返してほしけりゃ、一億円用意するんだな。』」
「一億円!?」
「そんなの、絶対無理よ!」
「ギロ!そんなデタラメなこと、受け入れたらだめよ!」
クリスさんがさけぶと、ギロさんは口を開いた。
「・・・・・・わかった。すぐに持って来る。だから・・・・・・。」
「『だから?』」
ギロさんは、顔をぱっと上げた。
「注射器洗ってまっていろ!」
そうさけぶと、ギロさんは電話をきった。
「お前、そこ、「首を洗ってまっていろ!」だろ。」
「俺バージョンっす。」
「その天然パワー、どうにかならんかねぇ。」
「あれ?」
ギロさんは、私達の方を振り向いた。
「俺、なにをしようとしてたっけ?」
「あだ―っ!」
私達は、お笑い劇みたいにコケた。
「リリアを助けるために、一億円を用意しようとしたの。」
道華が教えると、ギロさんは、手をポンッとたたいた。
「そうだった!ありがとう、教えてくれて。」
ギロさん、本当にもってるんですか?
「あぁ。一億円は、俺の給料なんだ。」
すご!
「えっと、どこにやったっけ・・・・・・あ―!」
「どうしたんですか!?」
ルクトさんが聞いた。
「ここ、俺んちじゃなかった―!」
ってことは・・・・・・。
「もって来てないんだな。」
ギロさんは、うんっとうなずいた。
「ギロお兄様!」
マドレーヌちゃんが、ギロさんにしがみついた。
「一刻も早く、その一億円を、ヴァンパイア界からもって来てくださいっ!そうしないと、リリアが・・・・・・リリアが!」
マドレーヌちゃんは、泣きそうな顔になってる。
「無茶を言うな、マドレーヌ。」
「みんなでにせものの一億円でもつくろうじゃないか。」
「いやだ、いやだですぅ!」
マドレーヌちゃんは、テレサさんの意見を反対した。
「リリアを助けるためには、本物の一億円が必要なんですっ!リリアは、私にとって、大切なしつじなんです!リリアを失いたくありません・・・・・・うわ~ん!」
マドレーヌちゃんの泣き声が、部屋じゅうに響いて、テーブル、本棚、テレビ、アイスクリーム、机、いすが浮き上がった。
「マドレーヌちゃん、やめて!」
「うわ~ん!」
私が止めても、マドレーヌちゃんは泣き続ける。
お願いだから、それ以上、泣かないで。
「マドレーヌちゃんの気持ちはわかった。だから、泣きやんでくれるかな?」
「・・・・・・ひくっ、ひくっ・・・・・・。」
マドレーヌちゃんが泣きやんだとたん、物が浮き上がるのをやめた。
ギロさんは、マドレーヌちゃんの背に合わせて、しゃがんで、目線を合わせた。
「大急ぎでもって来るから、おとなしくまっててね。」
「はいっ。」
マドレーヌちゃんの顔に、笑顔が戻った。
ギロさんは、にこっと笑って、鏡の中に入った。
☆
「はいよ。」
テレサさんが、テーブルに、冷たい麦茶を出した。
サンキューです。
私は、麦茶をゴクゴク飲み干した。
「あっちぃ~!テレサ、俺にも麦茶をくれぇ~!」
ジュンブライトが、うちわをあおいでいる。
「はいよ。」
テレサさんが、ジュンブライトに冷たい麦茶を出した。
「サンキュー。」
ジュンブライトは、麦茶をゴクゴクと飲み干した。
台所には、ちびっこ軍団が集まっている。
「ルクト!アイス食べた~い!」
道華がわがままを言っている。
「もうしわけございません。アイスクリームがなくなってしまって・・・・・・。リリア様とクリス様が、買って来てくれると思いますから、しばしおまちを。」
冷凍庫の中は、冷凍食品だけ並んでいる。
「私、いちごアイスが食べたいですぅ~!」
「王女様、わがままを言わないでください。」
「アイス食べた~い!」
「私、チョコバナナアイス食べた~い!」
道華達、ルクトさんを困らせないの。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
「誰かしら?」
紅葉が不思議そうに、玄関まで行って、ドアを開けた。
「あれ?」
どうしたの?紅葉。
「誰もいない。いたずらかしら。」
「いや、いるねぇ。ヴァンパイアキャット一匹。」
テレサさんが、下を指さした。
下を見ると、黄緑色のヴァンパイアキャットがいた。
あの・・・・・・誰ですか?
「俺ですか?俺は・・・・・・。」
「おぉ!ギロじゃねぇか!」
ジュンブライトがやって来ると、ヴァンパイアキャットのギロさんは、ジュンブライトを見て驚いた。
「先輩!久しぶりですねぇ。」
「元気にしてたか?」
「はいっ。」
「王子、知り合いですか?」
ルクトさんが聞くと、ジュンブライトは、私達の方を振り向いた。
「紹介しよう!俺とテレサがヴァンパイア暴力団に入っていたころの後輩、ギロだ!」
ジュンブライトと、テレサさんの後輩~?
「久しぶりだねぇ、ギロ。」
「テレサ先輩こそ、相変わらず、べっぴんさんですねぇ。」
テレサさんは、べっぴんという言葉に反応したのか、顔を真っ赤にした。
「そ、そんなに人前でべっぴんさんとか、言わないでくれるかい?恥ずかしいよぉ~。」
ボン!
ギロさんが、イケメンに変身した!
黄緑色の髪で、髪を少し結んでいて、黄緑色の着物を着ていて、身長は175cmで、黄緑色の目をしていて、とんがった耳のイケメンヴァンパイアさん♡
「かっこいい~♡」
討馬くんとギロさん、どっちがかっこいい?
「ギロ♡」
「紅葉お姉様、ギロお兄様にホレましたね。」
「討馬っていう人、かわいそー。」
☆
私達は、ギロさんと仲良くおしゃべりをしていた。
「いやぁ、まさかここで会えるとは思ってもいなかったぜ~。」
ジュンブライトは、ギロさんのグラスに、麦茶を注いだ。
「先輩が生き返ったって聞いて、駆けつけたんですよぉ。」
駆けつけるの、遅くないですか?
「お前、今なにやってるんだ?」
「医者ですよ、医者。」
ギロさん、すごーい!お医者さんなんだぁ。
「へぇー。すげーじゃねぇか!お前、医者になるのが夢だったなぁ。」
「ところで先輩。先輩が、人間の女の子とつきあっていると聞いたんですが・・・・・・。」
ギロさんが、私達をじろじろ見つめ始めた。
「この子ですか?」
ギロさんが、道華の方を指さした。
「ずいぶん、歳が離れてますねぇ。」
「おい、ギロ!道華は俺の娘だ!」
「もう!まちがえないでよっ!」
道華がぷんぷん怒ってる。
「え~!?」
「あたし、未来から来たの。」
「え~!?」
ギロさん、驚きすぎ。
「お前、相変わらず、天然だなぁ。俺の彼女は、こいつだ!」
どーも。春間真莉亜でーす。13歳で、中学二年生でーす。
「・・・・・・歳、どんだけ離れてるんですか?」
「19だ。」
「19~!?」
と、ギロさんが驚いた、その時。
「ただいまぁ~。」
「アイス、買って来たよぉ~。」
リリアさんとクリスさんが帰って来た!
「ん!?」
ギロさんは、真っ先に玄関に向かった。
「どうしたんだ?ギロ。」
ジュンブライトが、ギロさんのあとをついていくと、ギロさんはリリアさんを見て、口をポカーンと開けている。
リリアさんも、口をポカーンと開けて、スーパーの袋を落とした。
「・・・・・・リッちゃん?」
リッちゃん?
「あんた達、知り合いなのかい?」
テレサさんが聞くと、リリアさんは、うんっとうなずいた。
「ギロ!」
「リッちゃん!」
二人はうれしそうにだきあった。
「あのイケメン、誰?」
ギロさんです。お医者さんをやっていて、ジュンブライトとテレサさんの暴力団時代の後輩なんです。
「リリア、ギロお兄様にだきついちゃって。」
二人は、だきあうのをやめて、私達の方を向いた。
「あなた達に言ってなかったわね。私とギロは、幼なじみなの。」
リリアさんが、にこっと笑った。
「え~!?」
私達は、大きな声で驚いた。
☆
私達は、おしゃべりしながら、アイスクリームを食べた。
「まさか、ギロ様とリリア様が幼なじみだったとは、びっくりしましたぁ~。」
ルクトさんが、コーヒーの中にバニラアイスを入れて、コーヒーとバニラアイスをかきまぜながら言った。
「ごめんなさい。びっくりさせて。」
ギロさんの子供のころは、どんな子だったんですか?
「あ、あの・・・・・・。」
ガチャッ。
玄関のドアが開いた音が聞こえた。
「誰か、来たみたいだねぇ。」
テレサさんが、玄関の方を振り向いた。
すると、身長が172cmで、刀をもっている女の人が現れた。
「ネルさん!」
久しぶりです!元気にしてましたか?
「うっせぇ!ん?」
ネルさんは、ギロさんをじっと見つめた。
「よっ、ネルちゃん。久しぶりだなぁ。元気にしてた?」
ギロさんが、ニッと笑うと、ネルさんは、「あー!」と声を上げて、ギロさんの方を指さした。
「お前、泣き虫のギロだろ?かっこよくなったなぁ。」
「泣き虫のギロ?」
「ギロ、お前、泣き虫だったのか。」
「ち、ちがいますぅ!」
ギロさんの顔は、まっかになってる。
「ジュンブライト様、聞いてください。こいつはよく、近所のガキ達にいじめられてたんです。昔、泣き虫のギロって、呼ばれてたんです。」
「そーゆーあなたも、いじめられてたんじゃない。」
「やっかましい!お前に言われたくないわ、ボケーッ!」
「ところで、ギロ。あなた、お医者さんになるまで、なにをしてたの?」
ギロさんの顔が、急にヤバイ顔になった。
「こいつ、俺とテレサの後輩なんだ。」
ジュンブライトが、話に入ってきた。
「後輩?」
「そ、その・・・・・・大学の先輩で・・・・・・。」
「そ。ギロは医者になる前に、ヴァンパイア暴力団に入ってたんだ・・・・・・。」
「あ―!先輩!それ以上、言わないでくださいっ!」
ギロさんが、ジュンブライトの口をふさいだ。
ギロさんは、つくり笑いをして、リリアさんの方を振り向いた。
「アハハハハ。リッちゃん、じょーだんなんだ、じょーだん。この人とは、なんの関わりもないよぉ。」
「うぐぐぐぐ!」
ジュンブライトは、「うそつくな!」と、言っている。
「・・・・・・。」
リリアさんは、アイスを落として、唇をぶるぶるふるわせている。
「リリア?」
紅葉がかけよると、リリアさんはすっと、立ち上がった。
「信じらんない!あの優しかったギロが、ヴァンパイア暴力団に入ってたなんて!しかも、ジュンブライトとテレサの後輩だったなんて、信じらんない!」
「リッちゃん!ちがうんだ・・・・・・。」
ギロさんが言いかけると、リリアさんは、玄関の方へ歩みよった。
「ギロなんか、大っ嫌い!」
リリアさんは怒りながら、部屋を出た。
「う・・・・・・うわ~ん!」
ギロさんが、急に泣き出した。
「リッちゃんから嫌われたよぉ~!リッちゃんから嫌われたよぉ~!」
「ギロ!男は泣く生き物じゃねぇ!」
「相変わらず、泣き虫だなぁ。」
「うわ~ん!」
ギロさん、泣かないでください。ほら、鼻水、出てますよ。
私は、ギロさんにティッシュを1枚渡した。
「あ・・・・・・ありがどゔ・・・・・・。」
ギロさんは、ティッシュで鼻水をふいた。
「ギロって、ソラにそっくりだねっ。泣き虫なところが。」
「アキちゃん!そんなこと、言わないでよっ!」
ところで、リリアさん、どこに行ったんだろ。
「なんか、心配。」
紅葉が、とても心配そうな顔をした。
「大丈夫。あいつのことだから、きっと、のん気に散歩しているにちがいない。」
「だといいが・・・・・・。」
プルプルプルプル。
急に電話が鳴り始めた。
「あたしが出るぅ~!」
道華が笑顔で、受話器を取った。
「きっと、リリアからかもしれません!」
「もしもし?」
「『こんにちは、おじょうちゃん。』」
男の人の声で、声がこもってて、誰かわかんない。
「誰?おじさん。」
道華!勝手にしゃべらないの!
「『私は、優しい優しいおじさんだよ。』」
「だから誰なんだよ。」
「『私は、宇宙一、かっこいいおじさんだよ。』」
あやしさが、ぷんぷんですっ。
「『好きな食べものは、和牛ステーキ。』」
「好きな食べもの、聞いてないから。」
「『ごめん。ふざけただけ。』」
「ふざけてたんかいっ!」
ジュンブライトがつっこんだ、その時!聞き覚えのある、女の人の声が聞こえた。
「『み・・・・・・みんな・・・・・・。』」
その声は・・・・・・!
「リッちゃん!」
ギロさんが、ぱっと、道華がもっている受話器を取り上げた。
「リッちゃん!今、どこにいる!?」
「『は・・・・・・廃墟の工場・・・・・・来たらだめ!』」
え!?
「リッちゃん!それ、どういうこと!?」
ギロさんが聞くと、さっきの男の人に代わった。
「『楽しいお話はここまでだ。』」
「うわぁぁぁぁぁぁ!リッちゃんが、男になったぁぁぁぁ!」
「『私は本物の男だっ!』」
ギロさん、どこまで天然なんですかっ。
「リッちゃんになにをした!」
男の人は、鼻でふっと笑った。
「『人質にした。』」
!?
「リリアが、人質に!?」
マドレーヌちゃんが驚いた。
「リッちゃんを返せ!」
「『返してほしけりゃ、一億円用意するんだな。』」
「一億円!?」
「そんなの、絶対無理よ!」
「ギロ!そんなデタラメなこと、受け入れたらだめよ!」
クリスさんがさけぶと、ギロさんは口を開いた。
「・・・・・・わかった。すぐに持って来る。だから・・・・・・。」
「『だから?』」
ギロさんは、顔をぱっと上げた。
「注射器洗ってまっていろ!」
そうさけぶと、ギロさんは電話をきった。
「お前、そこ、「首を洗ってまっていろ!」だろ。」
「俺バージョンっす。」
「その天然パワー、どうにかならんかねぇ。」
「あれ?」
ギロさんは、私達の方を振り向いた。
「俺、なにをしようとしてたっけ?」
「あだ―っ!」
私達は、お笑い劇みたいにコケた。
「リリアを助けるために、一億円を用意しようとしたの。」
道華が教えると、ギロさんは、手をポンッとたたいた。
「そうだった!ありがとう、教えてくれて。」
ギロさん、本当にもってるんですか?
「あぁ。一億円は、俺の給料なんだ。」
すご!
「えっと、どこにやったっけ・・・・・・あ―!」
「どうしたんですか!?」
ルクトさんが聞いた。
「ここ、俺んちじゃなかった―!」
ってことは・・・・・・。
「もって来てないんだな。」
ギロさんは、うんっとうなずいた。
「ギロお兄様!」
マドレーヌちゃんが、ギロさんにしがみついた。
「一刻も早く、その一億円を、ヴァンパイア界からもって来てくださいっ!そうしないと、リリアが・・・・・・リリアが!」
マドレーヌちゃんは、泣きそうな顔になってる。
「無茶を言うな、マドレーヌ。」
「みんなでにせものの一億円でもつくろうじゃないか。」
「いやだ、いやだですぅ!」
マドレーヌちゃんは、テレサさんの意見を反対した。
「リリアを助けるためには、本物の一億円が必要なんですっ!リリアは、私にとって、大切なしつじなんです!リリアを失いたくありません・・・・・・うわ~ん!」
マドレーヌちゃんの泣き声が、部屋じゅうに響いて、テーブル、本棚、テレビ、アイスクリーム、机、いすが浮き上がった。
「マドレーヌちゃん、やめて!」
「うわ~ん!」
私が止めても、マドレーヌちゃんは泣き続ける。
お願いだから、それ以上、泣かないで。
「マドレーヌちゃんの気持ちはわかった。だから、泣きやんでくれるかな?」
「・・・・・・ひくっ、ひくっ・・・・・・。」
マドレーヌちゃんが泣きやんだとたん、物が浮き上がるのをやめた。
ギロさんは、マドレーヌちゃんの背に合わせて、しゃがんで、目線を合わせた。
「大急ぎでもって来るから、おとなしくまっててね。」
「はいっ。」
マドレーヌちゃんの顔に、笑顔が戻った。
ギロさんは、にこっと笑って、鏡の中に入った。
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