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第九話 「ジュンブライトのデート大作戦!」

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喫茶店に着いた私達は、お茶をすることにした。
で、ネルさんはというと・・・・・・まだ、泣いています。

「イ・・・・・・イケメンこわいよぉ~!ゆ・・・・・・ゆうかいされるよぉ~!」

泣いているネルさんを、お客さんがめいわくそうに見ている。

「ネル!静かにしなさい!目立ってるわよ!」

姉であるリリアさんが、恥ずかしそうな顔で、ネルさんを怒った。

「俺はゆうかいなんかしねぇって、言ってんだろ!俺を信じろ!」

「ゔ・・・・・・。」

ネルさんが泣きやんだとたん、男の人が現れた。

「ご注文、お決まりになりましたら、こちらのベルを鳴らしてください。」

うわぁ~。すっごく、顔が美形のイケメンさんだぁ~♡

「あたしの好みのタイプだねぇ。」

テレサさんが、顔をニヤニヤさせながら言った。

「つきあえばいいじゃん。」

道華がそう言うと、テレサさんは、首を振った。

「歳、離れてそー。」

そっちですかっ!

「ん?」

イケメンのウエントレスさんが、泣きそうな顔をしている、ネルさんの顔をのぞきこんだ。

「どうなされましたか?お客様。」

「ギャャャャャャア!」

ネルさんは、また泣きさけんだ。

う・・・・・・うるさい・・・・・・。
怒りにたえきれなくなったジュンブライトは、テーブルをバン!とたたいて、立ち上がった。

「静かにしろ!」

「いやぁぁぁぁぁ!イケメンが、二人いるぅ~!」

チーン。
リリアさんが、ベルを鳴らすと、イケメンのウエントレスさんは、私達のテーブルの前に、ささっと、移動した。
リリアさん、イケメンさんを呼んでくれて、ありがとうございますっ。
ネルさんはすっかり、泣きやんでるよ。

「ご注文を、どうぞ。」

「いちごパフェ1つと、ショートケーキを1つと、メロンパフェを1つと、アップルパイを1つと、チーズケーキを1つと、コーヒーを2つ。真莉亜、なににするの?」

私は、オレンジジュースと、ガトーショコラで。

「・・・・・・で。」

「かしこまりました。では、少々お待ちください。」

イケメンのウエントレスさんが、ネルさん達の前を通ろうとすると、ベルが鳴った。
ルクトさんのテーブルだった。

「は、はーい。ただいまぁ。」

イケメンさんは、大急ぎで、ルクトさんのテーブルの前に立った。

「ご注文を、どうぞ。」

「え―っと、コーヒーを1つと、ショートケーキを2つ、お願いします。」

「あ、はい。少々おまちくださ・・・・・・。」

「あ―と、それから・・・・・・。」

「なんでしょうか。」

「通る時、遠回りして、通ってください。」

ルクトさん、気づかい、いい~!

「・・・・・・変なお客さんだなぁ。」

イケメンさんは、ぶつぶつ言いながら、遠回りして、行っちゃった。
すると、ネルさんが、すくLと立ち上がって、イケメンさんの方を向いた。

「二度と来るなよな!絶っっっっっ対、来るなよな!」

「はいはい。」

よくない返事をしたってことは、二度と来ないってことだよ!
これで、ネルさんもひと安心だねっ。

「・・・・・・。」

ネルさんは、いすにすわった。

「なぁ、なににするんだ?」

「え・・・・・・?」

「食べもんだよ、食ーべーもーの1ほら、好きなもの、選びな。」

ジュンブライトが、ネルさんにメニューを渡すと、ネルさんは、メニューを少しずつ開いた。
メニューを開くと、ネルさんは、ん?という顔になった。

「どうしたんだ?」

「カステラって、なんだ?」

ネ、ネルさん、まさか・・・・・・。

「人間界の料理を知らねぇのかよ!」

ジュンブライト、声、大きい。
お客さんが見てるよ。

「・・・・・・すまん。」

ジュンブライトの顔は、まっかっかになってる。

「別にいいよ。ところで、カステラって、なんだ?」

「カステラっていうのはな、長崎で有名なお菓子なんだ。お前、人間界の料理を知らないなんて、びっくりしたなぁ。」

「あぁ。あたし、トカゲとカエルをつかまえて、塩焼きにしたり、ねずみをつかまえて、丸焼きにして、食べたんだ。」

グ・・・・・・グロい・・・・・・。

「それ、うまそーだな。」

「だろ?」

いいなぁ。二人で仲良く話して。
ぷくぷくぷくぷく。
私は、オレンジジュースを、ぷくぷくし始めた。

「真莉亜、ぷくぷくするのはやめなさい。」

「そうだよ。行儀悪いよ。」

ぷくぷくぷくぷく。

「もしかして、お父さんにやきもちやいてるの?」

ちがーう!

「顔、赤くなってますよ?」

マドレーヌちゃん、だまってて!

「じゃあ、カステラとコーヒーと、プリンパフェで、いいんだな。」

「あ、はい。」

ネルさんの様子が、さっきよりちがう。
チーン。
ジュンブライトが、ベルを鳴らすと、ネルさんは、両手をにぎって、目を閉じてから、ぶつぶつ言い始めた。

「お願い!神様!どうか、さっきのイケメンじゃ、ありませんよーにっ!」

「ご注文を、どうぞ。」

今度はものすごく野太い声。
見ると、体型がものすごく太ってて、中年で、マリオにそっくりな男の人。

「・・・・・・なぁ。お前、みんなからなんて呼ばれてるんだ?」

「マリオですけど・・・・・・それが?」

そのとたん、ジュンブライトとネルさんが、ぷっと笑い出した。

「ぷはははは!聞いたか!」

「マリオだって!」

「し・・・・・・失礼なお客さんだなっ!」

いいなぁ。仲良く笑っちゃって。
ぷくぷくぷくぷく。

「だからやめろって!」




ネルさんの初デートが、あっという間に終わっちゃった。

「今日、楽しかったか?」

ネルさんは、返事をしないで、うんっとうなずいた。

「ネル、ジュンブライトに、お礼、言いなさい。」

すると、ネルさんが、ぎゅっと、ジュンブライトの両手をにぎって、ジュンブライトの顔を、目をキラキラさせながら見た。

「お前のおかげで、イケメン恐怖症がなくなった!ありがとう!このご恩は、決して忘れんぞ!」

そう言われると、ジュンブライトは、二カッと笑った。

「そうか。それはよかったな。」

「では、さらば。」

ネルさんは、夕日とともに、歩いて帰っちゃった。






「『そうか。それはよかったな。』」

「・・・・・・なんか、さっきから、あの男のことばっかり、考えている気がするが・・・・・・気のせいか?」

「『よっ、桜吹雪のネル。また会ったな。』」

「あ―!なんで頭ん中に出てくるんだ、ちくしょー!」

「『ネル。』」

「だから、出て来るなって言ってんだろ!こんちくしょーが!」

(ん!?まてよ。もしかして、あたし、あの男に、恋に落ちた!?んなわけない。まさか、このあたしが、あの男に恋に落ちるなんて・・・・・・。)

「ある。」

(うわぁぁぁぁぁ!恋、しちまったぁぁぁぁぁぁ!)

「『ネル、愛してるよ。』」

「『あたしも。愛してますよ、ジュンブライト様♡』」

「デヒヒヒヒ・・・・・・♡あ、でも・・・・・・。」

(ジュンブライト様には、恋人がいるんだった!その名は、春間真莉亜!まずは、あいつとジュンブライト様の赤い糸をきるしかねぇなぁ。)





なーんか、胸がモヤモヤするなぁ。
こんな気持ち、初めてだよ。

「お母さん、どうしたの?」

なんでもない。さ、早くねよっ。

「お父さんに、やきもちやいたんだねっ。」

「・・・・・・みたいだね。」

「ん?」

道華が、首をかしげた、その時。
トントントントン。
誰だろ。こんなおそくに。

「あたし、出る!」

道華が、カーテンを開けた。

「あ!ネルだぁ!」

ネルさん?ほんとだ。ネルさんだ。

「今、窓を開けるねっ。」

道華が窓を開けると、ネルさんは、なにも言わずに、だまって入った。

「・・・・・・春間真莉亜。」

ネルさんは、ヴァンパイアの姿になって、刀を手に取った。
もももももしかして、私をきるの!?
ネルさんは、私の方に向かって、ニッと笑って、刀を出して、私の方に向かって走った。

「でや―っ!」

いやぁぁぁぁ!
春間真莉亜、上手によけました。

「ちっ。」

ネルさんは、くやしそうに、舌打ちした。

「なかなか切れねぇ赤い糸だなぁ。」

赤い糸?

「なに言ってんの!あんた、なんで、お母さんをきろうとするの!」

ネルさんは、刀を、私の前に立ちはだかる道華の前に出した。

「ガキはだまってろ。春間真莉亜。お前は、しあわせもんだなぁ。未来でジュンブライト様と結婚して、おまけに、ガキをつくりやがって!」

ジュンブライトのこと、今、ジュンブライト様って・・・・・。

「そう。あたしは、あの方を、好きになったんだ。お前がジュンブライト様とつきあっていることを思い出し、お前とジュンブライト様の赤い糸をきりたくなったんだ。今、ここで赤い糸を、きらしてもらうわ―っ!」

いやぁぁぁぁぁ!こっちに向かってくるぅ~!
誰か助けてぇ~!

「なにしてるの!」

女の人の声が聞こえて、ネルさんは、ぴたっと止まった。
後ろを振り向くと、ネルさんは、びっくりした顔になった。

「リリア!」

リリアさん!助けてくれて、ありがとうございますっ!

「いやなにおいがしたとおもったら、まさか、こーなってるとは、思わなかったわ。一体、なにがあったの?」

ネルさんが、赤い糸があーだこーだって言って、わけを聞くと、ネルさん、ジュンブライトのことが、好きになったんですって!

「なんですって!?」

リリアさんは、ネルさんの顔を見た。

「ちっ、バレっちまったか。」

ネルさんは、くやしそうな顔をして、ヴァンパイアキャットになった。

「ジュンブライトにはね、真莉亜っていうすてきな彼女がいるの。人の恋をじゃまするなんて、最低だわ!」

「恋をじゃましてねぇ!本気で好きになったんだ!お前こそ、人の恋をじゃますんなぁ!」

ネルさんが反発すると、リリアさんはため息をついた。

「あなたにはわからないのよ。恋っていう意味がどういう意味か。」

かっこいい~。

「ちっ、覚えてろ!春間真莉亜!リリア!」

ネルさんは、ヴァンパイアになって、ベランダから飛び降りて、ささっと走って行っちゃった。
ど、どうしましょ~。リリアさん。恋のライバルが、また増えたよぉ~。

「大丈夫よ。恋のライバルが増えたってことは、また、やっかいなことになるんじゃない?」

リリアさんは、私に向かって、にこっと笑った。
もう、リリアさん、笑わないでよぉ~。
私の人生、これからどうなるんだろ。


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