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第五話 「初デートで大騒ぎ!」

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連れてこられたのは、菜の花広場のふんすい前。
私の目の前にいるのは、不良高校生3人組。

「姉ちゃん、彼氏がいるなんて、うそだろ?」

ほ、本当ですっ!

「うそつけ。本当のこと言わねぇと、なぐるぞ。」

ひぃぃぃぃぃ!
だ・・・・・誰か助けてぇ~。

「おい!」

後ろから声が聞こえた。
振り返ると、そこにはジュンブライトがいた。

「おっさん、誰だ?」

「その子の彼氏だ!」

ジュンブライトがそう言うと、不良高校生3人組は、笑い出した。

「おっさんが彼氏だって~。」

「うそだろ?」

「歳の差カップルじゃん!」

不良高校生はお腹をささえながら笑った。

「バカにすんじゃねぇ!その子を返せ!」

すると、不良高校生の顔が、カッとなった。

「おっさん、やるか?」

不良高校生3人組が、私の横を通って、ジュンブライトのところまで歩いて行った。

「この~!」

一人の不良高校生が、ジュンブライトをなぐろうとした。
けれど、ジュンブライトは、高校生のパンチを右手で止めた。

「なに!?」

「お前、力弱ぇなぁ。本物のパンチの力、見せてやるぜ!」

ジュンブライトが、高校生を思いっ切りなぐった。

「いたたたた・・・・・・。」

「おっさん、つえ~。」

「おっさんじゃねぇ。お兄さんだ!」

ジュンブライトが、次々高校生をなぐったりけったりしていく。
今日のジュンブライト、かっこいい~。
あ!ジュンブライト!後ろ!

「え?」

ジュンブライトが後ろを振り向いたとたん、高校生のリーダーが、ジュンブライトのお腹をなぐった。
それと同時に、ジュンブライトの口から血が出て、ジュンブライトはその場にたおれこんだ。

「ジュンブライト!」

「おっさん、よえーじゃねぇーか。」

「ぐ・・・・・・。」

「オラオラァ!」

「かっこづけてんじゃねぇぞ!」

高校生が次々、ジュンブライトをなぐったりけったりしていく。
ジュンブライト、血が出てる・・・・・・。
もう、やめて!

「真莉亜・・・・・・。」

「じゃますんじゃねぇ!」

高校生のリーダーが、私をけとばした。

「キャ―ッ!」

「て・・・・・・てめぇら!」

「ああん?なんだよ。」

ジュンブライトが、高校生をにらんだ。

「俺の彼女に、手ぇだすなぁぁぁぁぁ!」

「うるせぇ!」

「ゔ・・・・・・!」

高校生が、ジュンブライトの顔をふんづけた。
だ・・・・・・誰か助けて!

「ニャ―!」

ん!?なんか、飛んだ!?

「うわぁ~!ねこ!見えねぇじゃねぇか!」

ねこ!?
まさか・・・・・・。
クリスさん!
助けに来てくれたんだぁ。

「クリス。そのくらいにしときな。」

その声は・・・・・・。
テレサさん!

「は~い!」

「うわぁ!ねこが人間に変身した!」


不良高校生達が、クリスさんを見て、腰をぬけている。

「おばさん、誰なんだよ?」

高校生のリーダーが、きょとんとした顔で、テレサさんの方を指さした。

「おばさん言うな!お姉さんとお呼び!」

「ひぃぃぃぃ!」

「おばさん、こえ~!」

「お姉さんだ!」

「ま、参りましたぁ~!」

降参するの、早っ!

「大丈夫かい?真莉亜。」

あ、はい。助けてくれて、ありがとうございますっ。

「よかったぁ~。無事で。・・・・・・無・・・・・・事・・・・・・で?」

「あ―!」

テレサさんとクリスさんが、血だらけのジュンブライトを見て、さけんだ。

「ジュンブライト様!大丈夫ですか!?」

「こんなにやられちゃって・・・・・・あのガキ達、手加減というものを知らないみたいだねぇ。」

二人とも!ジュンブライトがやられたこと、知らなかったんですか!?

「あたり前だろ。」

出た。「じぇじぇじぇ」と、「今でしょ!」と、「倍返し」と、「おもてなし」に負けない、流行語大賞予定の言葉。
それより、ジュンブライトが、私を助けようとして、命がけで高校生達とけんかしたんです。でも、リーダーにやられちゃって、こんなに血だらけになってしまったんです・・・・・・。
早くしないと、ジュンブライトが・・・・・・。

「大丈夫。気を失っているだけだ。」

本当ですか!?よかったぁ~。

「早くしないと、ジュンブライト様が、本当に、死んじゃうよ?」

あ、はいっ。





私達は、満月荘までジュンブライトを運んで、ジュンブライトの体に包帯を巻いて、ふとんにねかした。
あとは、ジュンブライトが目覚めるのをまつだけ。

「う、う~ん。」

ジュンブライト!

「お父さん!」

私と道華は、ジュンブライトにだきついた。

「お・・・・・・お前ら!そんなにだきつくと・・・・・・いたたたた!」

あ、ごめん・・・・・・。

「いいぜ。テレサもクリスも、ありがとな。俺の手当てをしてくれて。」

ジュンブライトが、テレサさんとクリスさんの顔を見て、お礼を言った。

「どういたしまして。」

「ねぇ紅葉!今、ジュンブライト様、あたしに向かって、「ありがとう。」って、言ったよね!?」

「うん。」

紅葉がこっくりうなずいた。

「あの・・・・・・あたしも言われたけど?」

「ジュンブライト兄貴をこんな目に遭わせたのは、どこのどいつだい!」

マドレーヌちゃん、キャラ、変えないでぇ~。

「まったく、ジュンブライト、あなた、どんだけ、正義感が強いのよ。」

「このようかん、おいしいですねぇ~。」

「ちょっとぉ!勝手に食べないでよぉ!」

「あたしも食べるぅ!」

「私にもくださ~い!」

「腹、ぺこぺこ~。」

「あたしにもちょうだい!」

みんなが買ってきたようかんを、ぱくぱく食べている。
あそこのようかん、すっごくおいしかったんだ。
抹茶とか、あずきとか、コーヒーとかあったし。

「真莉亜・・・・・・。」

ジュンブライトが、急にしゅんとなった。

「ごめんな。初デートを、急に最悪の初デートにさせちゃって。」

ううん。最悪の初デートじゃなかったよ。

「え?」

私を助けようとしてくれたし、こんなに血だらけになりながら、恋人を助けようとする男の人は、初めて見たよ。
また、デートしようね。

「あぁ!」

ジュンブライトがいつものようにニカッと笑った。
ジュンブライトって、正義感が強いんだ。
私、初めて知ったよ。
そんなジュンブライトが、一番大好きだよ。

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