上 下
92 / 170
第1章

第三十六話 「ネルさんの料理修行?」

しおりを挟む
はぁ~。づがれた~。

「あむあむあむ。ん~、おいしいなぁ。」

やつは、さっきのスパルタモードから、ごくふつーモードに戻ってるし。

「う、う~!」

ガオンはお母しゃんのおっぱいを飲みましょうねぇ。

「ブー!」

ガオンはほっぺたをふくらました。

「ごちそうさまでしたっ。さあてと、皿を洗うぞぉ。」

え~?あたし、もうつかれたぁ~。

「うるせぇ。料理は片付けるまでが、料理だ。」

早く終わって欲しい、スパルタ修業。

「それと、料理をする時、お前の悪かった点を三つ言う。」

むか!そこまで言われるのかよっ。

「まず一つ目。俺様をメロメロにさせようとするな。二つ目、下ネタは絶ーっ対に厳禁!そして最後、返事はちゃんとしろ。わかったか?」

はいはい。

「ほら、そこ!俺様はそこを言ってるんだよっ!」

はいっ!
イライラメーター、半分を切りました。

「う、う~。」

ご飯を食べ終わった後、あたし達は、皿洗いをし始めた。
ジャー。
キュッ、キュッ。

「これでいいか?」

あたしはウルフ一郎に皿を渡した。

「う~ん、だめ!」

え~?なんでだよぉ。

「ここ、さわってみろ!」

ここか?
キュッ、キュッ。

「そう。ぬべぬべになってる。もう一回!」

もう、もう……。
パリーン!

「あ、こら!なにやってんだよぉ!」

「もう、イライラが収まらねぇ!もう、お前のスパルタ修業を受けたくないっ!ガオン、行くぞっ。」

「う、う~!」

「あ、ネル、まて!」

バタン。

「くう~。あの、頑固ヤローめ!」


                                ☆


今日も、いい天気です。

「女王様ぁ~!」

ん?家来が、こっちへ向かって、走ってくるのが、見えるぞ。
どーしたんだろ。

「はぁ、はぁ、はぁ。」

息切れしてるし。どーしたんだろ。

「あの、どーしたんですか?」
 
家来は、ゆっくり顔を上げた。

「女王様に用があるお客様が参りましてぇ。」

私に用がある人?

「こっちへ連れて来て。」

「はっ!」

家来は、後ろを向いて、走って行った。
一体、誰なんだろ。

「連れて来ましたっ。」

ん?
背が172cmあって、美人で、黒いポニーテールで、こんなに真冬なのに、白いワンピースなんか着ていて、黒いポニーテールをしていて、男の赤ちゃんをだっこしているのは……。

「ネルさん!」

「ゔ……ゔぅ……。」

なーんか、いつもと、感じかちがう。
涙を目にためていて、うるうるしちゃってるし。どーしたんだろ。

「うわ~ん!」

わわわ!泣きだしたよぉ!
ど、どうしたんですか?ネルさん!

「ウ、ウ、ウルフ一郎がぁ~!」

ウルフ一郎さんが、どーしたんですか?

「ひくっ、ひくっ。じ、実はぁ……。」


                           ☆


ネルさんは私に、ウルフ一郎さんの料理修行が厳しすぎてイライラして耐えきれなくて、家を出たことを話してくれた。
なるほどぉ~。そんなことがあったんですかぁ。

「あぁ。」

ネルさんは、うなずいた。

「あいつは、料理のことになると、熱心になるからなぁ。」

「そうなんですよぉ、ジュンブライト様!あいつはどこまで、料理好きなのか……。」

「ネルさん、どーしますか?」

「……もう、料理なんかしねぇ。あいつにぜ~んぶ、まかせる。」

え~?

「そんな!自分からしたいって言い出したのに、厳しいからって、やめるなんて。」

「だって、自分で決めたことなんだもーん。あいつに罰を与えなきゃ。」

ネルさんは、口をとがらせています。  

「離婚、考えているのか?」

「……はい。少し、考えています。」

「ネルさん!」

私、思わずテーブルを、バン!とたたいて、立ち上がった。

「あきらめてどーするんですか!あきらめたら、また最初っからやり直しになりますよ!?それでもいいんですか!?また、ママ友さん達からなにか言われますよ!?それでもいいんですか!?」

「……いや。」

「そうですよね!だからネルさん!」 

私は、ネルさんの両手を、ぎゅっとにぎった。

「私が料理を教えてやりますから、一緒にがんばりましょう!」

「春間真莉亜……うん。わかった。優しく教えてくれ。」

はいっ!


                                 ☆
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

夜の公園、誰かが喘いでる

ヘロディア
恋愛
塾の居残りに引っかかった主人公。 しかし、帰り道に近道をしたところ、夜の公園から喘ぎ声が聞こえてきて…

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...