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第1章

第三十話 「新婚生活」

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「さー♡俺様特製、スペッシャルなクッキーを食べながら、紅茶でも飲んでぇ、ゆっくりしといて~♡」

うわぁ~、おいしそーう。
いっただっきまーす!
ぱくっ。
ん!おいし~い!あまくておいしいですっ!

「でしょ~?」

「おい、俺のは。」

「てめぇはせんべいでも食べとけ。」

「俺様はぁ~?」

「てめぇは家に帰って、母ちゃんの竹の子ご飯でも食べてろ。」

そのころ、道華は……。

「う、う~!」

「道華、上手だねぇ。お城ができたねぇ。道華のおうちができたねぇ。」

「だ、だ~!」

ネルさんと楽しく、遊んでいます。

「ありがとうございます、ネルさん。遊んでくれて。」

「……礼はいらん。」

出た。ネルさんの口ぐせ。
ていうか、このセリフ、2年ぶりに聞きます。

「ツンデレのネル様も、ステキだぁ~♡あぁ!さっきの、録音すればよかったぁ~。」

「うっさい。」

「もう二度と、言わねぇかもなぁ。」

「そ、そんなぁ~。」

そこまで落ちこむ必要、ないでしょ。

「道華のやつ、寝ちまったぜ~。」

あら。本当だ。しかも、ぐっすり寝てる。
つかれちゃったのかなぁ?

「よし、ベッドで寝かせよう。」

ジュンブライトは、道華をベッドに寝かした。

「って、おい!バカか、お前はぁ!」

「ああん?」

ジュンブライトは、ウルフ一郎さんの方を見た。

「ああん?じゃねぇ!そのベッドは、俺様とネルのベビーのベッドなんだっ!今すぐだっこしろぉ!そして、道華を俺様達の寝室で寝かせろ!」

「いーじゃねぇか、別に。」

「よくねぇ!」

はぁ。
ジュンブライトの自分勝手パワーには、着いて行きませぬ。

「いーじゃねぇか、ウルフ一郎。」

ウルフ一郎さんは、ネルさんの方を振り返った。

「だ、だけどよぉ……。」

「道華もぐっすり寝ているし。今日ぐらいはいいだろ?」

ネルさん、優しーい。

「優しいネル様も、ステキだぁ~♡」

はいはい。

「ちっ。わかったよ。今日だけはゆるしてやる。今日だけはなっ!」

あっちゃ~。ウルフ一郎さん、怒りながら、寝室のドアをバタン!と閉めて行っちゃったよぉ。

「大丈夫だ。あいつ、こー見えてたまーに、頑固なところも、あるからなぁ。」

「うんうん。」

ウルフ三郎さんは2回うなずいた。

「この!この!この!クソテンパ!この、この!」

「ゔ……!」

どうしたの?ジュンブライト!胸なんかおさえちゃって。

「急に胸が、苦しくなってきたんだよ……。」

どうしてなんだろ。

「ウルフ一郎は向こうで、ジュンブライト様のぬいぐるみにパンチして、ストレス発散してるんだ。」

へぇー。
なんか、5歳児が主人公のアニメに出てくる、うさぎのぬいぐるみを殴る女の子みたーい。
ガチャッ。
あ。ウルフ一郎さん、戻ってきた。

「ふぅ、ストレス発散、できたぜぇ~。」

さっきまで苦しんでいたジュンブライトは、すっかり元気になり。

「はぁ、はぁ、はぁ。もう少しで死ぬところだったぁ。」

よかったね、ジュンブライト。

「さぁ、もう帰るか。」

「えっ!?もう帰るんですか!?もう少し、いたらいいのに……。」

ネルさんの顔が、しゅんとなっている。
よっぽどいて欲しいんだね、ジュンブライトに。

「ごめんな、ネル。また今度、来るから。」

「えっ!?じゃあ、いつになるんですか!?」

「1ヵ月後!?もしかして、来年!?」

「もしくは再来年!?」

やっぱり夫婦ともども、似ています。

「わかんねぇよ。さ、ウルフ三郎も、帰るぞぉ。」

ジュンブライトは、ウルフ三郎さんをひっぱった。

「は、離せぇ!この、バカ王子ぃ!」

うふふ。
私は道華を起こさないように、ゆっくり、だっこした。
道華も帰りましょうねぇ。

「真莉亜ちゃん!」

ウルフ一郎さんは、「はぁはぁ。」息切れしながら、ひざに両手をついて、それから、小さな袋を、私に出した。

「これ、やるよ!」

えっ!?いいんですか!?

「あたり前だよっ!これ、お城のみんなに分けてくれ!」

あ、ありがとうございます。
私は小さな袋を受け取った。
うわぁ~、クッキーだぁ。

「ウルフ一郎さん、ありがとうございます!」

私は笑顔で言った。

「はう♡やっぱり真莉亜ちゃん、かっわい~♡」

「おーい、行くぞぉ~。」

はーい。

「じゃあね、ネルさん、ウルフ一郎さん!」

「もう二度と、来んじゃねぇぞぉ。」

「また来てね~ん♡」

ウルフ一郎さんが、私に向かって、手を振った。
私はにこっと笑って、家を出て行った。

「ふぅ、やっと、静かになった。」

「さぁ、皿を洗うぞぉ~。」

ウルフ一郎は、うでまくりをしながら、皿を水道に持っていき、洗い始めた。
……あたしも、がんばらないと。

「どうかした?」

ううん、なんでもないっ。
あと2ヵ月……がんばるぞぉ~!
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